ヴェラキッカ

行くきっかけ?松下優也が観たかっただけ。

 

TRUNPシリーズ、聞いたことある。繭期、聞いたことある。あれだよね、トチ狂ってるおたくいっぱいいるやつ。そんなくらいのイメージ。ちなみにはじめての繭期は何度か挑戦して挫折してる。たぶんこのノリは初見劇場で浴びたら見れる気がするけどなぁ…うーん…気にはなってる。と、思ってたら優也の出演が決まった。行ってみよ。

 

 

1幕ラスト。えぐいやつだね?えぐいやつだね!?えぐいやつだねーーー!?

2幕。ぎゃあーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!

 

 

最高に楽しい地獄だった。

 

 

  • シオンが好き

いやあの役、好きな子にやって欲しいと思わないおたくいます?いませんね?何あのてんこ盛り!マジかよ!2幕ひたすら濁音で悲鳴あげてたよ!最高!

ちょっとチャラくて優しくて、あぁ何か秘めてるんだね?って誘うその去り際がとりあえず好き。髪の毛どうなってんの?ふわふわハーフアップ?左側長めでおろしてるだけ?(双眼鏡持っていかなかった後悔その1)キャンディを迎えた宴のシーン、ひたすら上手で飲んでるんだけど、高めのところに腕かけて寄りかかるとか楽しそうに笑うとかちょっと暗めのそこ!めっちゃ見たいんですけど!?(双眼鏡を持っていかなかった後悔その2)衣装可愛くない?とか、踊るー!踊るーーー!とかにこにこにやにやしながら見てたら不穏さ出してくるノラにこれはえぐいやつだー!ってテンション上がって1幕が終わる。楽しい。楽しい。

なんて思ってたのは2幕早々で消え去る。共同幻想の外…?見えない聞こえない?…確かにノラとシオンのシーン、なかったね…?ここの回想を語るシオンがめちゃくちゃ好き。センターにちょこんと腰掛けたシオン、その後ろに小さかったノラとシオンが鉄の扉越しに背中を合わせて座ってて、それが大きくなったノラとシオンに変わって、そのときのシオンのまだ幼さの残る、少し頼りない、でも頼って欲しいあどけない表情が良かった。なんか今まであんまり見たことない優也で、そんな優しい顔も出来るの?ってきゅんとした。なんてしてたら、急展開。急転直下。イニシアチブを取る!?ちょっと待って!?ぎゃあーーー!?マジで体温上がってたと思うんだけどそこからひたすら「待って待って待って」と「ぎゃあーーー!」しか脳内響いてなかった。どんな悲しい顔でそれをするの。え、なんで、私は双眼鏡を持ってないの!?!!?(最大級の後悔)畳みかけがとんでもないのよ。そんな一気にいく!?そこまで!?キャパオーバー!だってもうその子やけくそじゃん、やめてあげてよ、あんた(ロビン)もひどすぎる!!!そりゃ、もう1周回って凪の顔するわな……するよな……シオンーーー!

きっと、存在を知っていて、声を聞いていて、1番会いたいはずのシオンが絶対に会えなくて、でもその状況を作ったのはシオンで、愛されたいと願ったノラの願いを叶えるための家訓を作って当然のように受け入れた顔をしながら、見えない聞こえない皆を縛っているというその精神状態壊れるに決まってるでしょ。ノラが「(シオンが)揺れているから支配に綻びが出来ている」というようなことを言ったとき、それが聞こえていないシオンの儚い表情が辛かった。ノラの言葉は聞こえないから、どれだけみんながその言葉を伝えても「そんなことはしない」と縛りを解くことを受け入れない、笑ったように見えた表情に泣きそうだったよ。

それでもきっと解くことを選んだのは綻びに気付く聡明さがあって、この状況を長くは続けられないという冷静な部分があったからだと思うけど、ねぇ、カイのしたことは幸せだった?あの泣き笑いの表情は、幸せととっていい?めちゃくちゃハッピーエンドの最高な地獄と思ったけど、カイお前それめちゃくちゃえぐいからな?シオンの将来閉ざして縛り付けてるからな?幻想のなかで生きて死ぬシオンは、生前のノラがそうであったように、衰弱して、幻想のノラの腕のなかで目を閉じるんだろうね。

 

つまりノラ本人ではないんだよね?当たり前だけど。そもそも劇中始まる前に亡くなってるんだもんね?ねぇ、じゃあ、そのノラ、誰が作り出した幻想?シオンはカイを縛ってノラと過ごせるようにして、その輪のなかにみんなを巻き込んだけど。姿かたちを知らないノラを、どう創造したのよ。その、美しいノラを演出したのは誰?シオン?けれどシオンはカイを縛ったことによって自分には見えない、感じられない、そのなかにノラが”いる”ということだけを知っているという状況を作った。吸血種、もしかして亡くなったものの魂呼べたりすんの?イニシアチブのチート度どのくらいよ?あの、場面が変わるたびに違う洋服を着て、髪型を変えるノラは、ノラ本人がそうしてみたかったという願望の果てなのかなとも思ったんだよね。美しい当主。愛されたいと願う。愛したいを、実践してみようとする。共同幻想のなかで、ノラは自分の意志をもってそれをするんだよね。完全にシオンの手は離れている。いるよね?愛してみたらいいって言った過去あった気がしてきたけど。あーもうこれ、いくらでもぐるぐるいけるじゃん。えぐ。たのし。

 

  • その他いろいろ

平野綾ちゃん、さすがの声の可愛さと通りの良さ。愛加あゆちゃんの歌が1番聞き取りやすかったー上手いー。紹介ソングとかをこのジョーが歌ってくれるからだいぶ荘園に入りやすかった。あとはあの執事がやたらと!上手い!と思ったら歌唱指導もされてた。ですよね。なんとなく女性陣より男性陣が負けがちなブリリアでパキッときた感じしたもんね。優也は思ってたより勝ってなかったなぁ、あの声質は意外にいけるんじゃないかと思ってたんだけど。とりあえずほんと歌聞きに行くとこじゃないとこでミュージカルやるのはやめよ。

 

  • 2回目行ってきた。

絶対2階の下手、という執念でチケットを探して(シオンの芝居が下手多め、床面の照明が見たい、出来る限り視界を遮られたくない)。座席着いた瞬間勝った!ってガッツポーズした。そして前回なんで双眼鏡持って来なかった!?と思いながら、全景見といてくれた自分ありがとう。今日は完全にシオン定点です!!!(双眼鏡構えながら)

 

  • やっぱりシオンが好き

好きだねー。すごいね、本当に見えてないし聞こえないけど居るのは知ってるから周りの会話を繋ぎ合わせて状況掴んでるんだろうなと思った。最初のほうのソファーに座って本読んでるところとかノラのいるところではあんまり喋らないし、キャンディを迎える宴とかでは不自然にならないように離れる。あそこ、上のステージに腰掛けて足組んだり、後ろに手を伸ばしたりしてて、それ、好きです、ってなった。カイと喋ってるのはそんなに笑ってる感じではなかったかなー。なんか仕事とかの話してる?って思った。前回はもっと2人で楽しく喋ってた気がしたけど、あれはロビンとかが来てからだったかな。よく飲むね。何喋ってたのかはさすがに分かんなかったな。読唇術は出来ない。

ノラが刺されたシーンに飛び込んでくるところは、全員がパニックで状況を掴めないからどう動いたらいいか判断出来なくて狼狽えてるように見えた。そりゃ、渦中が見えてないんじゃ無理だよね。あそこで「シオン」と呼びかけるノラ、残酷だと思った。でも同時にシオンを救いたかったのかなぁ。ここまでこの共同幻想を外から守ってきたのがシオンなら、中から守っていたのはノラだもんね。だって共同幻想の真実を明かすこの瞬間まで、ノラは見えて聞こえてるシオンに呼びかけたりしなかったってことでしょ?共同幻想の外にいるシオンを分かっているノラ。ノラにはやっぱ自我があると感じてしまう。それともシオンの深層心理を汲んだ意思なのかな。幻想の持つ意思って不確かさというか日本語の捻じれが凄いけど。シオンの支配が緩んできているからカイやジョーの記憶が戻ってきているってノラは言うけど、その話をしていたシーンにノラはいなかったはずだから、やっぱり作り出された存在としてあのイニシアチブのなかの全員の記憶とか思想とかを読み取れるのかなぁ。それってすごいけど、シオンとは逆の意味で精神壊れそう。壊れる精神ないって言われたらそれまでだけど。なんか、ずーっと背中合わせのノラとシオンが、顔を合わせるまでの物語なんだな。あの鉄の扉を開けるシーン、なくたって成立するのに、シオンがあれをやりたかったんだよね。そこからノラを自分の手で引き出して、顔を合わせて、手を引いて歩く。顔を合わせたときの泣き笑いの表情があまりにも好きだったよ。

そういえばノラに性別の表現がないんじゃないか?って言われてるのを見て(無意識に女性当主だと思ってたよ、カイが姉って言うシーンなかったっけ?)2回目にしてシオンの表情と言葉のかけかたからノラは男の子だった可能性もあるのかなと思った。共同幻想のノラには男装の麗人的な振る舞いを感じてたんだけど(そしてイコール宝塚的な。これ配役が見事すぎる)なんかあの鉄の扉越しのやり取りにみえる親しいからこそのぶっきらぼうさというか、ちょっと投げたな今?みたいな声の感じがね、女の子に対するっていうよりは男の子同士なのかなとも思えた。それを思わせる美弥さんがすごいな、これは。

カイがシオンとロビンに地下に行っていたあれは何?と聞くのがノラが亡くなって、カイの母親が亡くなったあとなのが悲劇だよね。カイはカイで、そこのことは聞いてはいけないと幼心に思っていたし、小さい子供が好きそうな地下なんて場所に興味を持たないはずがない。だけど忍び込んだこともなかったのだとしたら、それはよっぽど近寄ってはいけない何かがあったんだろうな。カイが地下に忍び込んでノラの存在を知ったり、それが無邪気に母親に言える年であったなら違う結末があったかもしれないのに。この時点でノラを死なせたと思い込んでるシオンに(シオンは悪くないんだけどな…)追い打ちかけるようなカイに憤ったし、でもその悲しい顔のシオンは好きなんだよ…からのイニシアチブ展開なので超特急ジェットコースターのように悲鳴を上げるしかなくなる。あの一瞬で一気に歯止めが効かなくなるシオンめちゃくちゃ好きだし、それだけノラのことを想っていたんだねって思うのに自分はその幻想の外に置いたの、罪の意識が強すぎるのよ。ある意味カイのことも守ろうとするお兄ちゃんであり、泣きながらみんなのイニシアチブを取る矛盾だらけの存在であり、でもシオンのなかではそうするしかなかった、カイのイニシアチブを取ったところから修復点を辿ることなくやけくそのように刃を向くの本当に哀しい。あえて歯を剥いて見せるあの真っ赤な照明のなか、泣いて嘔吐いて必死なんだよね。だから私はロビンが卑怯だと思うし、ジョーは聡明だなと思う。はっきりとやめろと言える。でもお兄ちゃんが妹に願うのは「ノラを愛してやってくれ」なんだ。ひどい(最高に褒めてる)。カイとジョーの記憶から戻ってくるのは、シオンに近かったからかなーと思う。シオン、カイもジョーも大好きだもんな。カイはね、昔のノラのことを教えてって絶対先にシオンに聞いてると思うんだよね。シオンはきっと上手にあしらったけど、そこから崩れを予感してたりするんじゃないかなー。

 

  • もはや何か分からない想像と妄想と二次創作でも始めんの?みたいな雑記

シオンの貿易会社の社長って設定はミソだな、と思ってて、それは遠出をしてても家を空ける日が多くても不自然じゃないことを利用して、当主の対外的な仕事もこなしてたのかな?と思った。いや、当主の仕事って何?って話もあるけど、副当主のカイは当主はノラだと思ってるから当主の仕事出来ないし。でもきっと対外的なことはあったはずで(いくら安全荘園とはいえね)、そこのカバーは全部シオンがしてたんじゃないかと思うとほんと恐ろしく有能なんだよね。だって本業の貿易で利益をあげながら対外交流を捌き、子孫が少なくなると未来をみてバックグラウンドを調べて養子を迎えてるわけでしょ…?めちゃくちゃヴェラキッカを守ることをしてるんだよね。もはや怖さすら感じる。そこまで負わなくて大丈夫だよ。

ノラが亡くなったのと前後してカイの母親が亡くなってカイが当主を継ぐ。ここらへんの情報って街の人とかにどこまで開示されてたんだろうね。ノラが見えるようになったカイの振る舞いを「狂った!」と言ったのは屋敷の人間だったはずだからそこはイニシアチブを取って抑え込んだけど、キャンディの言うところ大きな街である荘園のなかに公表されてる当主は一体誰なんだろう。ノラで押し通した…?姿を見せない当主…?あれかなぁ、支配的だったカイの母親が当主として君臨してたあいだに当主一族への畏怖とか叩き込んであって何か変でも逆らえない状況とかになってたのを上手いこと利用したとかかな。それがスムーズかな。

カイの母親という人が結構分からなくて、なんでノラを殺さずに幽閉したんだろうね。幽閉めんどくさくない?外聞気にしなさそうだしサクッと殺してても納得するんだけど(話が始まらない)。もともと体が弱くて(わりと早死にだよね?)、もし万が一カイが命を落としてしまうともう1人産むことが難しくて(そしてそもそも2人の父親が死んでる)そうなった時のための保険?ヴェラキッカ家の血筋を絶やさないための?シオンがあの人は権力主義で、というようなことを言ってた気がするんだけど血はやっぱり大事と思うのかなぁ。

シオンは支配的な人で逆らえなかったというけど(これは多分子どもで引き取ってもらったという引け目もあった気がする)カイから感じる母親の印象にあまり嫌悪感がなくて、いずれ当主となる息子としてかなり大切に育てられたんじゃないかと思う。カイにシオンとジョーと遊んだ記憶があるってことはそこの交流が途絶されることはなかったんだもんね?ノラの存在を知ってるシオンってかなり危険だと思うんだけど離れさせることはなかったんだなぁ。シオンの優秀さを逆手にとってノラのことを明かせば一族から追い出すとかジョーを人質に取られるようなことを言って身動き取れなくされてたのかな。クランに入ってた時期=当主(カイの母親)の目の届かないときすら支配が続いてるってことだもんね。そうだ、シオンもジョーもカイもクランに入ってると思うんだけど、ノラの繭期ってどうなってたんだ…。カイの母親が死んだ時にカイが当主を継げる程度の年齢ってことは繭期のあとだよね?ノラ、いくつまで生きてたの。

シオンとノラが同い年くらい、ジョーが真ん中でそれぞれと3〜4才違い、1番下がカイって年齢順かなと思うんだけど、シオンとジョーがヴェラキッカに引き取られたのがシオン7才、ジョー3才くらいかなぁ。シオンにはきちんと両親の記憶があるもんね。ノラがシオンに外の世界には家族っていうのがあるんだろ?って聞いたとき、シオンがものすごく普通に「俺の家族はジョーだけになっちゃったけど」っていうのエグいよね。引き取られたヴェラキッカ家はずっと他人の家なんだよ。なのにこの子、共同幻想を出来るだけ持続させるためにお家に尽くしてるの。アンビバレンス。 ノラとカイは会ったことがなくて、シオンはカイの様子を伝えられるほどそばにいることを許されてる。お屋敷のなかはわりと自由だったのかなー。この辺もカイの母親の印象のちぐはぐさを感じるところかも。シオンとジョーにきちんと教育受けさせてるところとか。遠縁の引き取った子どもなんて召使いにしそうじゃない?たぶん引き取った本人であるノラとカイの父親死んでるし。でもこれは2人が優秀だったからってのもあったのかなーとも思う。あの兄妹、とっても聡明だと思うんだよね。仲良いし。カイの側仕えとしてちょうど良いと思ったとかはありそう。