ANASTASIA

大好きな世界。大好きな御伽話。

 

 

第一幕

プロローグ/1906年 王宮の小さな寝室

Once Upon a December 遠い12月

あなたは私の宝物。強く、何者をも恐れない。

幕とその装飾、映るANASTASIAのロゴが大好き。幕開き前からあんなにわくわくして待てること滅多にないもん。オケの一音目でぐんっと世界に引っ張られる。華やかな世界。マリア皇太后と幼いアナスタシアの秘密。お祖母様、贔屓がすごいよ、ってツッコんじゃいけないところ。皇后と皇太后の関係が良くないのは見れば一発で分かるしそんなもんかなと思うけど、「こんな難しい時代ですもの、オルゴールよりお祈りですわ」って言う皇后も煌びやかなドレスに舞踏会を積極的に止めようとしないあたり浮世離れしてんなって感じだし、「ペテルブルクじゅうの人たちが来るんですよ」なんて言っちゃう皇帝は話にならんって感じよね。この人の中の"ペテルブルクじゅう"って貴族その他の富裕層だけだし、それ以外に人がいると思ってなくない…?そりゃ滅ぼされるよなぁ。パリに行く皇太后のほうが現実…危機感?を分かってそうだけどそれって自分の豊かな暮らしを守るって視点が強いよね。

 

王宮のまばゆい舞踏会場

The Last Dance of the Romanovs

「皇帝は今夜最初のダンスをお望みだよ、マドモアゼル」の"マドモアゼル"の言い方がめちゃくちゃ好き。武藤さんの声素敵よね。アンサンブルさんたちのみ、ほぼ台詞のないこのシーンが煌びやかで華やかで栄華を誇るロマノフ家を象徴としてみせるのが凄い。不穏な空気から映像の美しさをこれでもかと見せてくる。この出し惜しみのなさがオープニングを飾るの大好きだし、ここでなんか凄いもの見せられてるぞ!?ってなるから引き込まれる。本当映像技術が凄いよね。

アンサンブルさんたちは実はここが見分けやすいと思ってて、もともとシンガー枠とダンサー枠だよーって公式が紹介ポストをしてくれてたのと照らし合わせると、皇帝皇后がシンガー枠、4姉妹とダンスの相手をする男性陣がダンサー枠、踊らずに皇帝や皇后のそばに控えてるのがシンガー枠。まぁ、男性陣はまだしも女性陣は出番ごとにウィッグ衣装総取り替えで出てくるからあれ花菜ちゃんか!とか山中さんいた!?とか混乱したけど。さすがに東京終わる頃にはだいたい分かってた。女性陣は衣装写真アップしてくれてたしね。

ヤングアナスタシアの花菜ちゃんがとにかく可愛くて大好き。出てくる時の笑い声、リトルちゃんたちに寄せてた…?スッと前を向いたときの高い位置の視線がアナスタシアの気高さ…気の強さ?を見せて、次々と男性陣の手を取り踊る様子に末娘らしい無邪気さとお転婆を覗かせて、弟のエスコートにニコニコと合わせるお姉ちゃんがかわいい。オルゴールを取りに走るさまがお祖母様との約束を大切に覚えてることを表して、そのオルゴールが物語を導いてく。

 

サンクトペテルブルク ネフスキー大通り ロシア革命

A Rumor in St. Petersburg ペテルブルクの噂

グレブの演説。海宝グレブは出てきて正面向いて立ち止まった瞬間に「かっ………(こいい!!!)」が炸裂し、田代グレブは「同志たちよ!」って呼びかけた瞬間に恐怖にゾッとし、堂珍グレブは人民を想っているように見える語りかけでこの人がきっと1番まともな気がする…となる。いや、三者三様すぎだろ。海宝グレブはこの時点では田代グレブ寄りの怖さをみせてるかな。支配してる側の傲慢と秩序を守るという建前の使い分け。

レニングラード!」グレブが三者三様ならディミトリもまたしかり。海宝ディミトリはちょっと笑いながら何言ってんだ、とするし、内海ディミトリは完全に馬鹿げてると呆れる、相葉ディミトリは2人の真ん中を取るように何言ってんだと呆れる感じ。海宝ディミトリが1番笑ってるかなぁ、全体の雰囲気が明るくて軽やかでこの曲なんて楽しいんだってニコニコする。海宝くん、こことやれば出来るさが顕著だけどディミトリのときの表情だいたいディズニーアニメーションだからワクワクしちゃう。内海ディミトリだともっと企みが強いんだよね。街の人みんながアナスタシアの噂をする共犯者のよう。 アーニャとグレブの出会い。田代グレブ怖い…(ずっと言う)。怖いのにアーニャを見てからの和らぎと「震えてるね?」の声が優しくてまた怖い…(ずっと言う)。海宝グレブのハッとする顔に恋する青年の純粋さが見えて、堂珍グレブは落ち着いた大人の対応と少しの惹かれが見える。アーニャ2人はそんなに変わらないかな。むしろいきなりお茶に誘われる無礼に(あの軍服着た人と2人で店に入りたくないだろ…)「でも、ありがとう」って言えるのなんて良い子なのか。アーニャ、めちゃくちゃ気ぃ強いけど対外的にはそれを隠す術も身に付けてきたんだろうな。「私はいつでもここにいる!」咄嗟だからって言葉選びの失策が酷いよ、副総監。絶対なるべく近寄らないようにしよって思うわ。

ペテルブルクの噂もアンサンブルさんたち大活躍の楽しさ大盛り。基本的に男性シンガー枠はクセ強いとこが村井さんだと思ってるんだけど、ここは断トツでイニシャルはえーいっ!が好き。「豆の缶…ふたつでどうだ?」「売った!」が早いし、ほくほくで豆の缶持ってくの面白い。ディミトリたちの缶の出し方が微妙に違って、海宝ディミトリは溜めて迷って「どうだっ…!?」って出す、相葉内海はわりとサクッと出すんだけど相葉ディミトリはサラリ、内海ディミトリは企み顔でこんなとこもそれぞれなのよね。

 

廃域となった王宮の私設劇場 

In My Dreams 夢の中で

アナスタシア候補のオーディション。海宝ディミトリ、だめだこりゃ、の表情が"へにょ"ってしてて可愛いんだけど内海相葉だとそんな顔はしない(完全な呆れ顔)ことに驚く。女の子たち追い返すのも多分海宝ディミトリが1番優しくて「行った行った!」ってするくらいでたまに「早くしろ!」が入ってた?相葉ディミトリだっけな、物理で女の子押したり蹴っ飛ばすようなモーション入ったり結構荒っぽいのよ。ヴラドのことも「つい助けちゃったんだよな」ってボソッと言う内海ディミトリにびっくりしたし、相葉ディミトリなんて絶対打算あったろ?ってヴラドとのコンビ感が強く見える。海宝ディミトリ基準だとあの子めちゃくちゃ甘いんだな!?ってなるのよ。愛嬌で生きてるディミトリ。相葉ディミトリは打算、内海ディミトリはずる賢さ。面白いねぇ。

アーニャを小馬鹿にする感じはわりと似てるけど言い返されて不貞腐れるかちょっと気まずそうにするかはそれぞれだったかな。泳げばいい!は、海宝くんが犬カキ、相葉くんが平泳ぎ、内海くんがクロール?相葉内海逆かな。なんか2人はちゃんと泳げってしてるのに海宝ディミトリだけふざけ度が高くて笑った。アーニャ2人は訝しげな顔からハァ?って強気に出る表情なのに可愛いのがずるい。「あなたってなんでそんなに意地悪なの!?」ふらふらと倒れそうなのはわかなアーニャのほうで、座らせるヴラドは優しいんだけど千秋楽かな、禅さんが椅子の位置間違えて変な移動をガタガタするはめになっててちょっと笑った。お茶目なのよ、禅ヴラド。水とチーズ持って来いって言われてぶうたれるディミトリに「駆け足!」って言ったりするし。たまに蹴り入れてたのも禅ヴラド…?「あなたは紳士みたい」って言われてアーニャのお友達は違うようだけど、にほぼ被せるように「紳士かぁ〜…」って言ったのもよっぽど嬉しかったのかと思ったわ。大澄ヴラドのほうが反応が冷静。そんなこともあったなぁって。ヴラドの言う「お嬢さん」って響き好きだったな。

夢の中での前、まだ全然アーニャのことどうとも思ってないディミトリが下手に椅子引っ張りながら「記憶喪失なの」にピンッって音ハメするの好き。椅子の背もたれに腕を置くように座る。ここの低めで始まる歌、わかなアーニャの丁寧な言葉の置き方が本当好き。晴香アーニャはまだらな記憶がもどかしくて悔しくて仕方ないの。ディミトリのそばで強く歌うとこの感情の出し方良かったなぁ。アーニャを間近で見たヴラドがアナスタシアの写真と見比べて、ディミトリをちょいちょいってして企むのは詐欺師の顔してて、さすがこれまで何人騙してきたか考えてみろよ、の人たち。コロッと助けられるかもしれない、とか言うの、相変わらず海宝ディミトリはニコニコで可愛いし、相葉ディミトリは笑ってんのに胡散臭いし、内海ディミトリは企み滲んでるぞ。

ここでアーニャを連れてったヴラドを追って真ん中の椅子をニッと持ち上げて持ってくディミトリ→場面転換でそれぞれ上手下手の奥から斜めに歩いてきた見張り役っぽい軍人さんがそのまま残りの椅子を持って行って座るって動きが流れとして計算されててスムーズだなぁってずっと思ってた。

 

殺風景な政府事務所  

The Rumors Never End 新たな噂

密告しに来た女の子に出てけってするグレブがみんな怖いんだけど、田代グレブは物理で机バンッから音が強くて怖い、海宝グレブはバンッってしたあと書きかけの文章を書き終えて→ペンをたてる→書類を閉じる→立ち上がるってモーションが神経質にゆっくりでそれを崩さないのが怖い、堂珍グレブは…いやこの2人に比べると怖くないんだけどツッとした冷たい視線が怖いかなぁ。女の子の顎に指をかけて顔を上げさせる、「行け」からのフッと息を吹きかける、までがそれぞれめちゃくちゃ溜めることあって一緒にいやぁなドキドキしたよね。こわい。ちなみに「すぐ調査だ」の前で溜めてわざとゆっくりな瞬きをする海宝グレブもめちゃくちゃ怖かった。あの上司の下にはつきたくない。

 

ユスポフ宮殿、いくつかの部屋 

Learn to Do It やればできるさ

可愛い劇場。ってずっと思ってたんだけど海宝ディミトリの影響が強かったことに気付いた。 アーニャ2人ともびっしり書かれた黒板見て「うげ」って顔して無理無理無理…って後ずさってくの可愛い。ディミトリとのやり取りに煽る悪ガキが見えるのはわかなアーニャなんだけど、黒板ゴンッするディミトリをざまぁみろって悪い顔して笑うのは晴香アーニャなの最高。わかなアーニャはうっわぁ…いたそ…って顔する。どっちもそんなに心配はしてない。1回海宝ディミトリかな、黒板ゴンッに間に合わないのを見た。あれはたぶんその前のとこで晴香アーニャだったかな、とわぁわぁしすぎてた。やたらずっと痛そうにしてたのは内海ディミトリ?海宝ディミトリは痛そうにしながら台詞言うのが上手すぎて芸が細かい。

ダンス、ディミトリ三者三様なんだけど全員もれなくヘタレ。海宝ディミトリ顔、顔。初演のときアーニャの足踏んだ相葉ディミトリが「ごめんなさい」って言うの好きだったんだけどなくなっちゃってたなぁ。確かにこの相葉ディミトリ、そんな殊勝なこと言わなそうだけど。内海ディミトリの「わりわり…」がらしくて良かった。テンポアップするとこのいくぞ!って首クイってする海宝ディミトリは表情含めて恋。いや、大丈夫、一から百まで恋。アーニャを抱き上げてくるんってするのは海宝ディミトリが上手かった。スカートふわり。あそこ2人ともニコニコで本当可愛いし、そりゃあフと見つめ合ったら否応なく惹かれるよ。ヴラドとディミトリがアーニャをリフトするとこは大澄ヴラドだとアーニャがめちゃくちゃ高く上がる。大澄ヴラドの「座って!アーニャー!」の言い方好き。

このシーン、雪景色から青々した木まで窓の外が変わってくから結構時間経過あるんだよね?と思うんだけど、次のシーンからまた着込んだ衣装になるからもしかして1年くらい経ってる…?ロシアであの緑が見える時期ってたぶんそんな長くないよね?列車に乗り込むとこもみんな冬物っぽいし(そんで背景に緑が見える)、パリに着いたとこで咲いてるの桜っぽく見えるしやっぱ結構時間経ってんな…?ペテルブルクの噂であっちの国境も封鎖しやがった!出られる時に出ておくんだったなって言ってて、俺のペテルブルクのあともあちこちで列車が運休してるでしょ?から国境が完全に封鎖される前に出国するつもりだったんだけど…だから1年とかの経過で合ってるかなぁ。

 

殺風景な政府事務所  

The Neva Flows ネヴァ川の流れ

電話かけてるグレブ、ネフスキー大通りを見渡せる自分の部屋、って言ってるからこの時点で出世したのかな?ちゃんと通じる電話、って上官に言うこと…?って思ってたんだけど、これもしかしてユーモアのセンスがないの伏線…?

アーニャが連れて来られてハッと「君は…あの道路掃除婦の…!」から態度が軟化するの、結構普通に気持ち悪いよね。下がれってされる部下たちはうちの上官どうした…?ってならないのかな。思っても口にも態度にも出しちゃダメなやつかな。田代グレブはこういう合図(アーニャを連れて来させる、部下を下がらせる)を指を鳴らしてやってて、海宝堂珍は視線をやったり手をどうぞ、とかざしたりしてた。ユーモアのセンスは多分堂珍グレブがまぁ、何とかあると言えなくも…いやないよ…くらいで(なんかステップ踏んでた?ツイストみたいな?)海宝グレブはぴょーん!って飛んだりするし(大人跳ばないんよ…ちょっと得意げな笑顔がこわい)田代グレブはだから全般に圧が強すぎるからさ…!怖い…! 「また震えてるね?」からお茶出してくれるのいいんだけど3人ともやたらと砂糖いっぱい入れるね…?お国柄…?堂珍グレブだったかな、それお茶入れてるのミルク入れてるの!?って同じくらいずつ入れるのちょっと面白かった。海宝グレブはわりとお茶たっぷりにミルクを少しって感じ。…いやマジでどうでもいいな。相変わらず田代グレブは挙動が強いからお茶もガンッって置くんだけど溢れる!溢れるから…!

ネヴァ川で語られるグレブの生い立ちというか、ロマノフ家の警備兵だったお父さんはその当時どんな存在だったんだろうね。王朝を裏切ってボリシェビキにつく、ロマノフ家の警備兵もそこそこ身分がありそうだけど、どうなんだろ。そしてその父が連れて行く子供たち。グレブはすでに軍人だったのかな。史実だと軟禁されてた邸宅で殺されてるみたいだけど、このグレブの語りだとこの物語では公開処刑にでもされてそうな質感もあり…え、というか史実取るとしたらむしろグレブ実働部隊に近いとこにいすぎじゃ…?"父"の息子だから…?静寂だ…で、遠くを見る堂珍田代、目を瞑る海宝で噛みしめかたが違うし、割り切り方が違ったように見えた。ここらへんから海宝グレブは父親の存在をすごく感じさせる。物語が進んだ先から思い返したときのキーがここにある感じ。有り体にいえば引きずりすぎなのよ。堂珍田代には一定の割り切りというか切り離しが見えるんだけど海宝グレブ全部持ってるんだもん。そしてアナスタシアの強い目に怯えてる。

 

ネヴァ川沿いの公園、夜  

The Neva Flows (Reprise) ネヴァ川の流れ(リプライズ)

この酔っ払いさんたちのネヴァ川のリプライズが妙に好きでw 絶妙に音外してるようで外してない歌となんか色々諦めながら楽しそうなのとウォッカ飲んでるさ地獄で!ってあの緊迫からこんな緩む!?っていう。ここの4人が全員ダンサー枠の人たちっていうギャップも凄い。あのキラキラ踊ってた人たちなんだよ?とんでもないよ。

「お!ペテルブルクの王子様じゃねぇーか!」に込められたディミトリに一目置いてる感じが好きででもきちんと三者三様の見え方する。というか相葉海宝、蔑称としてあんまり働かないんだよね…そうだね、ってなるから…。これ、アナスタシア候補のオーディションから女の子たち追い返すとこで言われる「あんたがハンサムじゃなかったらチクッてんだからね!ディミトリ!」もそうだけど。あれは結果アーニャに逆恨み(うちらのディミトリのとこで何してやがんだ的な?)でチクられてるけど。アーニャのほう向いて「大丈夫」って言う内海ディミトリ、いつの間にそんな優しくなった?だし、背中に庇おうとする海宝ディミトリ好きだし手繋いで行こうとするのは恋。海宝ディミトリだけ手繋ぐの。きゅん。相葉内海の手首握るのも好きだしこの2人はこっちだなぁって思うけどね。「彼女に触るな!」が必死なのが良い。ディミトリ、結構殴られてるけどいなしてかわして片付ける感じなのよね。アーニャのほうが攻撃力高め。晴香ちゃん意外とアクションいける…?わかなちゃんはいけるイメージだったんだけど、思ってた以上に晴香アーニャが強かったのよ。「どこで覚えたんだ、すごいな」海宝ディミトリのここのテンポ感(ワンテンポ置く感じ)好き。「かかってらっしゃい!痛くしないから!」のアーニャは確実に痛いことするだろ。2人ともロシアの半分を歩いてきたのよ!?の説得力が上がってたよね。ハァッって行儀悪く腰掛けるのにらしさが覗く。

 

My Petersburg 俺のペテルブルク

ディミトリが取り出して渡してくれるのは温石…?内海ディミトリが1番適温に冷ましてくれてた印象。「楽じゃなかったよ」からの台詞は3人の質感が似てたなぁ。もうさ、わくわくしちゃうんだよね、俺のペテルブルク。狡く生きた ペテルブルクの路地裏で♪ 相葉ディミトリ、足がなげぇのよ。何せ基本が海宝ディミトリで聞こえてくるんだけど、アーニャ2人もさ、来いよ!って言われて、うん!って頷いたり、あ、今惹かれたんだな…って視線が見えたり、ディミトリの言葉で街が違ったように見えてきて、一緒に見つめる先と、ディミトリを見る目が柔らかくなってきて、あの一緒に歌うとこ大好き。2人の視線の先には街が見えてたんだろうなぁ。

ディミトリが父親の話をして言う「恋しく思わない日はないよ」が凄く好き。アーニャが「私たち、2人とも家族がいないのね」って返すのは優しさだなぁと思った。ディミトリを見直したから出てくる言葉。目が合う、照れくさくなるってあの可愛さたるや。照れ隠しに始めたはずの問題が「トビー!」からアーニャの不安定さを垣間見せて、劇中で描かれてるのはここだけだけど、実は一緒に過ごしてきたなかでディミトリには結構見えてたんじゃないかなぁと思った。あやしかたがさ("あやしかた"って言い方アーニャに怒られそう)慣れてるんだよね。それともそんな不安定な子はそこらじゅうにいて機嫌の取り方も放っておくことにも慣れてたのかなぁ。

 

同じ公園 川の広大な景色が見える

Once Upon a December (Ensemble) 遠い12月

「頑張ったから、ご褒美だ」もときめき台詞。ディミトリはときめき台詞が多い。「綺麗」と呟くように言うアーニャと、知っているものを手に取ったという体の無意識の動きがネジを回して蓋を開けさせる。驚いた顔のディミトリから出てくる「…アーニャ?」の心配した声色がめちゃくちゃ好き。ここの演出はミュージカルならではだよね。オルゴールの世界に引き込まれてしまったようなアーニャを、"見守る"という選択が出来るディミトリ。2人には煌びやかなロマノフ家の幻影は見えていない。夢の中でのときにも使われてる揺らめく影のような照明が世界を繋ぐようで好きだったな。

幻影の世界から戻ったアーニャが「あとどれくらいで出発出来る?」というのは現実だけど何か引っかかって出てきた言葉だよね。ここからのディミトリとアーニャが双方の間合いで芝居を成立させる距離感が好き。ディミトリは「謝っただろ!」って強く言いながらバツが悪そうで本当は何とか出来ない自分が悔しくて、アーニャは今が秘密を明かすときだと気付く。「信じてたのに!」で気付くんだよね。この人なら、信頼出来る。でも気付くのにはさ、俺のペテルブルクが必要だったことが本当に好き。ディミトリが初めて明かした生い立ちと自分。「目を閉じて」からの「あなたって本当に頑固!私と同じくらい!」の台詞もめちゃくちゃ好きだったなぁ。ディミトリを認めないと出てこない言葉。

 

A Secret She Kept 守られた秘密

これって夢の中でのメロディと同じだ…?アーニャとしての、はじめの記憶。だから、メロディに乗るのか。ヴラドの言った、覚えてることを教えて?から繋がってる。うわぁ。

ほわぁっとしたディミトリがなんで隠してた、って詰め寄るのは分かるけど、本当に"これしかない"が分かったんだろうなぁ。海宝ディミトリの「君が女の子じゃなかったら…!」に拳を握るモーションが入るのが好きで(わかなアーニャ応戦しそうなのよ)男だったら殴ってたし、女だったら逃げてたし、"好きな子じゃなかったら"が覗くのがね、込められてたと思っていいかな。抱き上げてくるんってするの大好き。ここのヴラドの反応も信じてもらえてなくて残念だよ…を滲ませながら水に流そう!のモーションが入る禅ヴラド、抱え上げるのが高い大澄ヴラドって違うのが楽しい。

 

サンクトペテルブルクの鉄道の駅  

Stay, I Pray You 惜別の祈り

イポトリフ伯爵な武藤さんの美声が響く。ここのアンサンブルさんたちの衣装好き。色合いは抑えてるんだけどチェック柄とか可愛いの。

誰もここから離れたくはないんだろうなという葛藤と、もう戻れないだろうという切なさ。禅ヴラドがほとんど泣いてて、海宝ディミトリは日によって感情が違って見えた。アーニャ2人はやっと"自分の街"だと思えた場所と、記憶の底にある育った場所が少しだけ繋がったこのときに離れることになるのかなと思うんだけど、離れると実感した歌の後半に寂しさが覗いたように見えた。だから、祈る。ヴラドがディミトリの肩を叩いて→ディミトリがアーニャの肩に触れて→アーニャが祈る、その流れが好きだった。

 

列車のコンパートメント  

We'll Go from There 新たな旅立ち

3人並んで座るの可愛い。「1等車の料金を払ったんだぞー!?」っていうヴラドは列車に乗って出掛けてた過去があるんだろうね。晴香アーニャが顕著なんだけど無礼な喫煙者であるところの杉浦くん相手に「皇女アナスタシアやろ!」って閃いてるの可愛い。で、ディミトリが焦って「おま…っ、何言って…!?」ってなってキャンキャン「そういうことは!言ってからやれ!」って言うの慌てすぎなのよ。海宝ディミトリだと子犬か子猫かのじゃれ合いか?みたいになるし、ヴラドは2人とも呆れながら「旅のあいだに練習しよう」って大人な対応する。そのあとのパリに着いたらまずやることは〜で出てくるヴラドの「リリーだ」の言い方大好き。今でも魅力的だと思ってるよね。ディミトリはなんでドラゴンみたいだって言うんだろ(海宝ディミトリは両手、相葉ディミトリは片手でがおーってする)。

ここのヴラド2人の違いが楽しくてどっちも素敵な年の重ね方だなぁと思うんだけど大澄ヴラドは溌剌、禅ヴラドはやっぱりお茶目かな。大澄ヴラドだと、うーん若い頃のキレはなくなったかな?(でもめっちゃ動く)だし、禅ヴラドだと、いやぁ無理無理もうちょっと勘弁…!(腰痛めないで!)みたいな。

 

サンクトペテルブルクのグレブのオフィス/様々な場所

Traveling Sequence / Still  旅の場面/それでもまだ

アフタートークで言われてたらしいここの列車飛び降りてからのダッシュがきつい話、禅ヴラドは本気でぜぇはぁしてて大澄ヴラドは先頭きって行ってしまうってのイメージぴったりすぎて笑った。内海木下のダッシュを振り切りそうな大澄さんかっこよ。禅さんだって絶対そんなことないだろうにね。

それでもまだ、はグレブの覚悟を描く曲だけど、銃を渡されたときに怯む表現が見えたことがあって、全然アーニャのこと殺せそうにないんだよな。任務だから、で飲み込めそうなのは田代グレブ。堂珍グレブはある種常識人的なところがあるのが厳しい。海宝グレブはポーカーフェイスに苦みが覗く。それでもまずあの少女に会わなければ、は共通なんだけど会った先、救えると思ってる先が見えないんだよね。

 

広く開放的な田舎 

Journey to the Past 過去への旅

パリ〜!フランス〜!ってテンション上がってるヴラドに「…ロシアっぽいな?」をかますディミトリ、からの「フランスっぽいんだよ!感じろよ!」ってバタバタするヴラド面白い(禅ヴラドのほうが1.3倍くらいぱたぱたするし、アーニャと目が合うと優しく「学べよ?」って言う)。禅ヴラドだとお茶目度増し増しでさらに愛嬌の海宝ディミトリだと一緒に真似っこして手パタパタしてアーニャと笑ったりほんの短いシーンなのに可愛いが詰まりすぎている。なのに「お前は失恋するんだなぁ、ディミトリ」じゃない?もうここもめちゃくちゃ好きなのよ。海宝ディミトリ毎回ニュアンス違うんだもん。反射で強い声が出たり、気付きたくなかったこと言われた、だったり、"今”がすごく楽しいのに先には別れの可能性が高い。そんなことは分かってる。でもね、アーニャの前では絶対それを見せないんだよね。未来を信じ始めたアーニャにそんなこと言えないのよ。ハッって2人がぶつかりそうになって「信じてた!」って言われると嬉しそうな顔をする。「ヴラドに言えよ」は照れ隠しだよね。

過去への旅の前、アーニャを呼ぶディミトリとヴラドの声大好き。アーニャのふと曇る表情からイントロが流れるのが最高なんだよね。もう過去への旅は名曲じゃない?何度泣かされたかしれないよ?晴香アーニャは「そうっ!」って台詞調になったり、信じながら~♪で踏み込む動作、一歩前へ!ってしなやかに飛び込んでみせる圧巻の1ラスロングトーン、わかなアーニャは慎重に慎重に、だけどこの道を信じてみよう、進んでみようって決意する。本当2人の個性が大好きだ。

 

第二幕

パリのシャンゼリゼ通り

Paris Holds the Key (to Your Heart) パリは鍵を握ってる

幕開きで真っ白衣装、アップの髪になったアーニャが可愛い。ディミトリもお洒落さんスーツだねぇ、きっとヴラドのセンスだね。ニコニコの2人がまた可愛いし本領発揮とばかりに行くぞ!するヴラドとのトリオ感が好きー。とはいえ大澄さんと禅さんで振り違います…?ってくらい…いや何でもない。アーニャ2人はスッと踊るけど海宝ディミトリもなんか、なんでそうなる…?(失礼)

アンサンブルさんたちの衣装もカラフルで賑やか。全員揃って踊るのはここだけかな?花火と一緒にリフトなのちょっと面白くて良いよね。

 

アレクサンドル3世橋  

Paris Holds the Key (Reprise) パリは鍵を握ってる

ディミトリ、3人ともチラッチラッと確認してから、うーん!って伸び上がってわざとらしく疲れたから〜ってするの、バスタブへのワクワクではしゃいでて可愛い。ニコニコダッシュハケてく。これを見守るアーニャとヴラドの表情も仕方ないなぁってしてて良いし、このあとのアーニャがヴラドのネクタイを整えてあげる仕草が好き。ここ、1回台詞がすっ飛んでた禅さんっていう今考えると物凄く珍しいものを見たんだけど(たぶん「ネヴァクラブ」が出てこなかった)それでもなんかそういう芝居か!?と思わせた役作り凄いよね。いや笑ったけどね。アーニャが橋に駆けていってスッと止まるポーズがポスターの姿なんだけど、まさかのこの全然違う衣装なのよね。晴香アーニャが向こうを見て「ん?」って覗き込むような仕草入れるの好き。わかなアーニャはパタパタ駆けていくのがお転婆の片鱗見えてる。

 

太后とその側近が借りている豪華なパリジャンの邸宅の優雅なサロン

Close the Door 扉を閉ざして

ここの場面転換がスクリーンに幕を下ろすように風景が明るいパリから日暮れの暗さになってくの好き。この転換はこのスクリーンならではだよね。

リリーにくっついて入ってくるレオポルド伯爵な村井くん、クセが強い…w 村井くん全般癖強いんだけど(イニシャルはえーいっ!も、グレブに指令出す上官も)レオポルド伯爵は本人も癖強くするのを楽しみすぎなのよwww 「ところで、リリー?」からダンスに誘うのにあわせて口説きたいんだろうにストレートに出来ないめんどくささとか、リリーがそれぞれ違うあしらい方するから合わせてくるとことか、手の甲に口付けるだけであんな笑い起こる?とかwww リリーみんな「うげぇ」って顔したあとに皇太后から声かけられてすまし顔になるの良いよね。

マリア皇太后との並びが美しい朝海リリー、チャキチャキしながらも慕う想いの覗くマルシアリリー、ビジネスライクななかに心配の強い堀内リリーって感じかな。「リバーディア!」で笑いにもっていける間が上手かったのは朝海リリー?もはやそれは美しい顔の顔芸なのよ。堀内リリーとかはこのへん結構あっさり。そもそもリバディアの元ネタが分からなすぎる(一応調べたけどピンとこない地元ネタ系なのよ)。皇太后とリリーの出会いはどんな感じだったのかなー。

扉を閉ざしては暗さのなかにドラマチックな感じがして麻実さんにぴったり。リトルちゃんたちが覗きに来るのがファンタジーで好きだったな。みんなちょこちょこ違うことするのよね。目線の高さで立ってたり、ちょっとしゃがんで覗き込んでたり、しゅんってして帰っていくのがね、悲しいんだよね。夢のなかでもナナに、アナスタシアに、会えないようで。

 

ネヴァ・クラブの内部

うろつくグレブに本当に来たんだねぇ!ってなったのごめん…行けって言われてたよ、そうだったよ。セルゲイに靴を指摘されて一瞬素直に、ん?って確認しちゃう堂珍海宝、あ゛?と言わんばかりの田代。だからデフォルトが威嚇なの怖いってば。海宝グレブもだいぶ腹立ってる感あるけど一応周囲とか来る人の確認はするのよね。クラブ内入らなくて良かったよね、堂珍グレブはまだしも海宝田代はバチギレしそうだよね。

 

Land of Yesterday 過去の国

リリー独壇場。セーヌ川沿いのサンクトペテルブルク、ネヴァクラブに感謝を〜♪(これは山中さん) 初演観たときにこの曲の堀内さんに吹っ飛ばされてこのとんでもない人だれーーー!?ってなったんだけど、まさにそのとんでもないが堀内さんの東京楽で爆発しててショーストップかかるわそれは!!!だった。マジで凄かった。この曲めちゃくちゃノせられるし華やかだけどリリーそれぞれで印象変わるよね。盛り上げるのか退廃を覗かせるのか一夜ごとパッと咲かせて散りましょうなのか。

ここはアンサンブルさんたちもわちゃわちゃ色んなところでお芝居してるのが好き。店員さんたち組が楽しそうにお店まわしてるのが良いんだよね。ダンスの真似っこしてみたり、ダンサー枠男性陣がトレー持ってスライディングしたりグラスキャッチしたりするのにわぁー!ってパチパチしてたり可愛いの。あのリリーのグラス投げはたまにとんでもない方向飛んでったりしてて本当にギリッギリキャッチしてたり、ごくごく稀に落とすのも見たかな。落とすっていうか弾いちゃったりって感じだったけど。基本シンガー枠が貴族のお客様役だったんだけどリリーのリフトとかには一部入ってたかな?カウンターから下したリリーの手を取って、手の甲にわりと濃厚なキスする杉浦くん好きだよwww

最後にひょこっとヴラドが入ってきてダンスの輪に参加するんだけど、ぐるぐる回ってセンターにきたところでウィンク飛ばす禅ヴラド大好きだったわ。お茶目。可愛い。なんでそれが似合うの…?リリーたちは気持ちいいくらいの悲鳴上げてくれるよね。

 

The Countess and the Common Man 貴族とただの男

Reprises:"The Countess and the Common Man" and "Last of Yesterday" 貴族とただの男、過去の国(リプライズ)

ここ、ネヴァクラブからほぼ一繋ぎで庭に出てくるからなんとなくリプライズなんだ…?と思うんだけど、そこらへんのミュージカル理論は分かんないからいいや…。

歌唱力で飛ばしてくれるのは禅ヴラド×堀内リリー、ダンスで魅せてくれるのは大澄ヴラド×朝海リリー。大人になってもこんな冗談みたいな笑えちゃう駆け引き楽しめたら良いよね。ヴラドがリリーを大好きなのは勿論だけど(ダイヤモンドの次に?)リリーもヴラドのこと大好きだもんなぁ。ちょっと、ちょっと休憩…ってあのあたりに笑いを詰込みすぎないほうが好みだったけどヴラド×リリーのコンビもそれぞれの良さがあったよね。

そんで?覗き見してたグレブさん?相変わらず万里生さんの威圧が強すぎてな!スーツかっこよかったのは堂珍さんかなと思う。

 

アーニャのホテルの部屋 

A Nightmare 悪夢

In a Crowd of Thousands 幾千万の群衆の中

1番好きなシーン。や、そもそもアナスタシア好きなシーンしかないって言っても過言ではないって感じだけど。それでも最高に御伽話な展開が、アーニャとディミトリを分かつであろう切なさが大好きなの。

悪夢のラストのアーニャの悲鳴に駆け込んでくるディミトリ、恋。なんだけど、アフタートークにて申告される、ディミトリ全員ここまでパンプアップして過ごしてるって話、思わず笑ってしまった。タンクトップだもんねwww

アーニャが「こわい」って素直に言うところとか、ディミトリが手を添えながら「少しはいい?」って言うところとか、なんとなくこの2人にとってこういうシチュエーションは初めてじゃないのかなぁって途中から思ってた。俺のペテルブルクのあとと一緒だね。ディミトリが慌てずに優しいんだよなぁ。でもきっと「私、誰だと思う?」って聞くアーニャに「君がアナスタシアだったら良いと思うよ」って返して、昔話を始めるのはパリに来た高揚かなぁ。アーニャも改めて言葉にしたんだろうし、それに答えるエピソードを「これも君の物語にしろよ」って受け渡す。あそこのディミトリからバトンを受けたように 今も 見える~♪って歌い始めるアーニャを、ふふっと少し笑いながら後ろから見てるディミトリが大好き。きっと”微笑む少女”を思い出していたら言われる ♪ お辞儀を… って本当に驚愕したんだろうし、一気に2人を駆け巡る想いとか記憶とか繋がったのが全部見えるんだよね。かつてのパレードでの出会いとか最高に御伽話だし、だけど繋がったことによってアーニャが間違いなく皇女アナスタシアであるという事実が現実のものとして見えない壁を作る。必死になって腕を掴み歌われる♪~あの日のパレード~♪がもうあまりにも最高。わかなアーニャがね、海宝ディミトリの頬に手を伸ばすって動きを入れたときがあってあれが最高に好きだった。だけどディミトリは跪く。「皇女様」。その姿勢が切なくて、わかなアーニャかな、結構上を見る動きを入れてたんだけど、あれは涙を堪えてたのかとも思った。

 

バレエ  

Arriving at the Ballet /Meant to Be バレエに到着 / ヴラドの後悔

とりあえずあのマリア皇太后に平伏す。美しさと威厳を兼ね備えるってこれだよね。ドタバタ入ってくるディミトリにちょっかいかけるヴラド。禅ヴラドのほうがお節介で、ディミトリはなんだよ!やめろよ!ってする。じゃれてんな。靴紐!ってされて分かったよ!ってしゃがみ込んで、その間で入ってきたアーニャには目の前に立たれるまで気付かない。わかなアーニャは落ち着きなくキョロキョロしてディミトリに早く来て!というように合図して腕を組んでほっとしたような笑顔をみせる。晴香アーニャはスッとした立ち姿が視線を集めることを分かっていて受け流す術を持つ。見惚れてるディミトリに容赦なんてしないからエスコートしなさいよ、と手をクイっとする。ペテルブルクではわかなアーニャのほうが勝気強気って感じだったのがパリでは晴香アーニャのほうに強くなるような気がするよね。ヴラドに早く行けってされて笑顔になる2人は場違いな可愛さ。見守るヴラドにはほろ苦い切なさ。ヴラドの後悔は貴族とただの男のメロディだよね。2人のロマンス、始まりはあの日のダンス〜♪

 

舞台とボックスシート  

Quartet at the Ballet バレエでの四重唱

表情がかたくて緊張の強いわかなアーニャ、覚悟の決まった気高さとひとさじの怯えがみえる晴香アーニャ。もうこのアーニャ2人の違い!最高!2人ともここまでの積み重ねでここがこうなるのがめちゃくちゃ分かる。禅ヴラドがバレエの全部に驚くリアクション入れるのも(可愛い)大澄ヴラドがふむふむ観てるのも分かるけどね?

劇中唯一ディミトリ×グレブの歌があるのがここだけど海宝ディミトリ×田代グレブのはちゃめちゃな強さと声の重なり方がめちゃくちゃ綺麗なのが凄かった。まさかここでこんな相性の良さ出てくると思わないじゃない?もっとがっつり歌い合うの聞いてみたいな。相葉ディミトリ×田代グレブは完全に万里生さんが包みにいったー!ってなって、それはこないだアンドレジールで上川さんが小柳さんにやってたやつー!ってキャッキャッした。しかしここの四重奏がほぼ聞き取れてなくて、ディミトリがHome,Love,Familyって歌ってることに気付いたのはめちゃくちゃ後半だったよ。それを、君が歌うのか…。

センターで華麗に披露される白鳥の湖がそれはそれは美しくて、ここにバレエが本業の人達もってこれるカンパニー強すぎるのよ。だってもうトウの立ち方が違うもん。綺麗。アーニャ、ディミトリ、グレブの三者の表現を乗せて舞う、なんて普通に白鳥を踊ってきたであろう人たちへの難易度がものすごく高いし、でも、その表現が本当にマッシュアップされた曲と合わさって見えてくるのめちゃくちゃ感動した。バレエの表現すごいよな…やっぱ年1~2くらいはバレエも観たい。

 

太后ボックスシートの控え室

Everything to Win すべてを勝ち取るために

アーニャをエスコートして、行ってこいってするディミトリは自分の緊張隠してるよね。わかなアーニャはやっぱり緊張が強くて「私はいつでも大丈夫です!」に固さが見えるし声がひっくり返りそう。晴香アーニャは腹は括ったと見える落ち着き。ディミトリだけが、アーニャがアナスタシアであることを知ってる。

すべてを勝ち取るために、緊張からそわそわ落ち着かないをして、それ以上にだめだめだったヴラドは行っちゃうし、バタバタ本当は覗きに行きたくて耳だけ澄ませる。どうなった?どうした?静寂?いや、大丈夫。この1曲で巡る感情が大好きなんだよな。やっとね、ディミトリがアーニャに対する気持ちを話してくれるんだよね。アーニャがアナスタシアであること、家族と再会出来ることがこんなにも嬉しいのに、全く嘘じゃないのに、自分のこの好きだという気持ちは叶わないんだろう、失うんだろうって、泣きたくなって、バカ!!!お前!!!そんなに好きなのに!!!って叱咤したくなって、でもアーニャの幸せを願ってしまうんだよなぁ。海宝ディミトリの、あのラスト、一気にぶわぁっと感情乗せてくるのが本当に好きで、そんな綺麗な一筋の涙はずるいのよ。

とぼとぼと虚ろに歩いてくるアーニャを見つけると一瞬で揺れた感情を元に戻す。どうした?何があった?ここでぶつけられるアーニャの激情がさ、本当に強くて、強いからこそ分かる「信じてたのに!」が辛いよね。大嫌い!に引っ叩かれたような顔して、泣き出しそうな感情が揺り戻されて、追いかけたいのに皇太后の姿に引き留められる。あの必死さが、皇太后に少し届いたから、バレエを観ながらまさか?と思った皇太后に触れたから、次に繋がる。ばあさんなんて呼ばれたことなかっただろうし、さすがのディミトリもこの波のなかだから出てきたんだろうな。毎度ディミトリ、お前よくそのドレス踏めたな…!と思っておりました。無茶苦茶綺麗。端のほぼ最前で見れたの僥倖すぎた。 

 

アーニャ、ディミトリ、ヴラドがシェアしているホテルの部屋

Once Upon a December (Reprise) 遠い12月(リプライズ)

不機嫌まっしぐらに荷物を片付けるアーニャ、ここ最近の優雅さ忘れてるし、人形投げる「いらない」の容赦のなさったらなかったし、1幕の最初のころの信じてなさがみえるよね。そっと入ってくる皇太后とリリーにはもちろん、出ていくヴラドとディミトリにも気付かない。杖をディミトリに渡していいとする皇太后の、ディミトリを少し信じた表現が嬉しい。ここからが物語の山場。どうし腹はくくったうなことを聞いてしまう皇太后に、信じたい、信じている、だけど全ての記憶が戻っているわけではないから自分で認められない、認めて欲しいアーニャ。この匙加減の難しさよ。さらさらと流れていきそうなところ、視線で、言葉で、手を触れることで、説得力を持たせてくれた。オルゴールがね、繋がるのが嬉しいんだよね。互いを引き出すような、ストプレを観てるような熱量だったな。「オレンジの香り」が嬉しそうにも、泣き出しそうにも聞こえた。あれをさ、後ろから見てるディミトリがまた切ないんだよね。俺の仕事は終わった。それが哀しくも諦めるようにも、泣きそうにも見えた。

 

豪華なホテルのプライペート・レセプション・ルーム

The Press Conference 記者会見

ぱたぱたと駆けてくるアンサンブルさんたちの衣装がこれまためっちゃ可愛い。ここの女性陣の衣装好きだったなー。クラシカルで少しモダン。

歯切れよくもまだ何も言えないと構えるリリーと、言いたくて言いたくて仕方ない子どもみたいなヴラド。ヴラドのさ、P・O・P・O・V♪のとこが最初ほんと何言ってんのか分かんなくて、禅さんに至っては「ピヨピヨブイ…?」とかひよこ浮かんじゃうし(ピースする可愛さなんだもん)まさか名前をは思わなかったよね。ポポフ!会えるよプリンセス♪とかだめすぎて、そりゃリリーも怒る。あそこの黙らっしゃい!!!と言わんばかりのリリーめっちゃ好き。王室は王室です、無礼者は許さない、静かに待て!って言ってるのに隣にいるのがヴラドじゃ全然説得力ないんだもんw

 

控え室

Everything to Win (Reprise) すべてを勝ち取るために(リプライズ)

真っ赤なドレスに着替えたアーニャがめちゃくちゃ可愛い。レオポルト伯爵にわざとツンとした表情を見せて、してやったり~が覗くのは王族のころの許された傲慢をここで流してしまうためかな。皇太后の言う「みんな貴方の言うことに頷くから慣れなさい」という言葉に「そんなのおかしい」と答えるアーニャが、ここまで見てきた私たちのアーニャだよな、と思う。

「彼があなたのこと愛してるって分からないの?」ってクリティカルな台詞だけど、幾千万~での気付き、皇太后に全く相手にされなくて八つ当たりした「大嫌い!」、和解の前のつっけんどんな態度、たぶんアーニャはディミトリに愛想つかれたと思ったかもしれないし、皇女という自分を受け入れたときからもう縁がないと思ったのかもしれない。だけどディミトリを認めた皇太后から押される背中が頼もしいよね。「あなたの彼」も好きなんだよな。すべてを勝ち取るためにで見える表情が、わくわくと前向きに見えるわかなアーニャ、この気持ちを本当に表していいの?本当に?と見える晴香アーニャ。本当2人のグラデーションが違うのが本当に面白い。

 

Still / The Neva Flows (Reprise) それでもまだ/ネヴァ川の流れ(リプライズ)

グレブ!?忘れてた!って一瞬思ったとかじゃないです。いやさすがに回数行ったからここにこのシーンがあることに違和感はなくなったけど飲み込むまでには結構時間がかかった。グレブ難しいんだよ。

「善良なロシア市民にはふさわしくない」って田代堂珍は結構本気で思ってそうで、そこに軍の偉い人であることが証拠としてみえる。海宝グレブはなんかもうここ出てきたところからギリギリなのが見えて、全然アーニャのこと殺せそうにないし連れて帰れても途方に暮れそう。父親に囚われてるし、その父親が殺したはずの、殺したせいで自死に追い込まれたはずの本人が目の前に立ってることが海宝グレブの心をずたずたにする。当時見た”目”にずっと怯えてきてるから今更もう恋とか言えないし、ほぼ泣き崩れるように折れて、「お前は、誰だ…?」なんて答えを求めてないよね。撃てないよ。絶対に。撃てない。田代グレブが1番撃てそうだったし、撃つんじゃないかと思ったりもしたけど、どこが落としどころだったかな…。堂珍グレブは結構回によって幅があって、撃てそうな日、全く撃てない日って見え方してた。アーニャ2人は強かったよね。わかなアーニャは「両親や姉たち、弟と一緒になれる!」、晴香アーニャは「やりなさい!」がそれぞれ印象的かな。わかなアーニャの受け入れ、晴香アーニャの気高さ。ここね、グレブが「出来ない」と崩れ落ちてからのわかなアーニャの弛緩→グレブに手を差し出すって動きが凄く好きで、あの手が進んでいくアーニャと戻るグレブを物語るというか、1幕の最初との対比でありその手は”救いの手”として差し出しているんだなと思った。「長い人生を。同志」って好きだったな。グレブを見送る目に複雑な感情を乗せながら、ハッ!とした一瞬からディミトリのもとに走るの、過去をみなくていいよね。

 

アレキサンドル3世橋 ~ホテルの大広間/政府事務所

Finale フィナーレ

ぶらりと鞄を手に出て来るディミトリは、アーニャに何も告げずにいなくなるつもりだったんだろうなぁ。あの、見つけた!って笑うアーニャ、めちゃくちゃ可愛かったよね。ディミトリは絶対見えないの、なんかごめんってなったりならなかったり。「さようなら、皇女様」って、相葉内海はわりとぶっきらぼうに、海宝ディミトリは取り繕ったような顔して言う。ここからのはしゃいでるようにさえ見えるアーニャと、王子様じゃないよって「アーニャ」って呼び方を戻してくれるディミトリも、ときめきの積み重ね攻撃?「皇女アナスタシアは異議を唱えるでしょう」でトランクを奪い取って踏み台にしてからの「ディマ」が優しくて嬉しくて、こんな幸せな口づけある?って。笑みがこぼれちゃうディミトリにまた嬉しくなって、腕を組んで歩き出す2人がたまらない。お幸せに!って簡単に言って、簡単になれる環境じゃないかもしれないけど、何せ片やずる賢いロシアのネズミ、片やロシアの半分歩いた実績のある皇女様。こんな最強な組み合わせないなって思ってしまう。皇女アナスタシアを「もういない」と宣言する皇太后の、それでも~♪と茶目っ気を出すような未来を見た視線が明るい。グレブは、父の息子でなかったこととどう折り合いをつけたのかな。幻想を見るようにアーニャとディミトリに合わせた視線から祈りを感じたとき、選択肢を見つけたのかな、とも。めでたしめでたし、とするには少しだけ後味の残る、だけど幸せな御伽話。このラストシーンが明るくて好きなんだよなぁ。

 

カテコ、平日ソワレだと子役ちゃんが出てなかったの残念だったんだけど、最初に出て来てみんなを呼び込むようにするの可愛かったー。アンサンブルのみんながにこにこで来てくれるのよね。初日から3日間はスペシャルカーテンコールでアーニャ、ディミトリ、グレブの挨拶があって、そのあとはオケの演奏→アナウンス→最後にアーニャとディミトリが出てくるっていうのが定番だったかな。ディミトリがね、ラストシーンよりさらにわざとらしく襟を整え腕を出し、アーニャがその腕を組んで帰るっていうのが可愛くてね。晴香アーニャから投げキス飛んできたときは思わずきゃあ!ってなったな。東京楽日は唯一マチソワしたんだけど、わかなアーニャと海宝ディミトリがわぁー!ってなってハイタッチした手をぎゅってしてたのめっちゃ良かったし(この回泣きすぎでずっと泣いてた)、晴香アーニャと相葉ディミトリはしれっと相葉ディミトリによる晴香アーニャお姫様抱っこが繰り出されて、まぁ会場アガったよね。

3年半、待ってたかいがありました。本当に本当に大好きな作品。また、再演で、この素敵な旅路を一緒に過ごせますように!