ANASTASIA

アーニャとディミトリとグレブのそれぞれを書こうとしてあんまり成功してないやつ。海宝ディミトリに力が入りすぎた。仕方ない。おまけにアーニャとディミトリの組み合わせごとの印象。

 

アーニャ

葵わかな(5+1=6)

 初日に観た時にびっくりするほど声とお芝居が晴香ちゃんに見える瞬間があって、え?どうした…?ってなった。初日にしてすでに喉の調子が悪そうで、だ、大丈夫…?と思ってたら2度目の土日前に休演が発表されてもうとにかく休んでくれ…!って。もともとのスケジュールの関係と合わせて2公演休演、1週間弱のお休みから復帰したあと、入れ替わるように休演になった晴香ちゃんの代わりも務めることになった真ん中くらいかな?久しぶりに観に行った9月30日の公演で衝撃を受けた。とにかく初日と全然違う。ためるようにゆっくり、言葉をひとつひとつ丁寧に置くような歌唱、その言葉を丁寧に扱ったお芝居の熱量。ずっと晴香ちゃんを観てたから一瞬違和感を感じるくらい質感の違うアーニャがいて、でもそれにものすごく惹きつけられた。凄い。この日のメモに夢の中でが絵本をめくるように聴こえたって書いてあって、あの表現力が本当に凄かった。地に足がついてる、ロシアの半分を歩いてきたの、が納得出来る強さ。

 わかなアーニャは基本がお転婆さんだと思うんだけど(この10年でドレスの着方忘れたろ?っていうどたばた可愛い)、それがなんでかやたら悪ガキみたいに見える日があって、そのときは海宝ディミトリだったんだけどこっちもこっちでめちゃくちゃ煽るからやれば出来るさがシャー‼︎って威嚇し合ってるみたいになってたり、かと思えば俺のペテルブルクで認め合うみたいに肩ぶつけ合ったり、そんななのに幾千万の群衆の中がとびきり良かったり本当に綺麗に役の成長のグラデーションが見えるのが楽しかった。内海ディミトリとだとすごく等身大の2人の話になっててそれも良かったなぁ。

 アナスタシアだって信じるようになったけど、ずっと不安なんだなってところがバレエで見えて、慣れないように周囲を見て歩いてきて、ディミトリを呼ぶ手が不安とか怯えとか心細さを含んでて、腕を取って安心するような顔するの、それはディミトリたまらんだろ。シートに座ってからも落ち着かないような素振りから緊張が見て取れて、そこで来る低めの声の今夜ここで〜♪が大好き。わかなちゃんのこの低めの声でくる歌めちゃくちゃ好きだったなぁ。このアーニャだからこそ、ディミトリのそばで怯えて〜♪の説得力が段違いで積み重なってくるのが本当に上手い。皇太后に会いに行くときも、すごく緊張してるんだよね。祝杯をあげようって言うディミトリを振り向く顔がかたくて、いつでも大丈夫です、がひっくり返りそうな声音でくる。そこから戻ってきたときもげっそりしたような顔をしてて、何があった?ってディミトリに話すことで激昂してきてやっと感情が出る。大嫌い!そこからのホテルの部屋で荷物バンバン鞄に投げ込みながら文句言いまくるあたりはお転婆要素戻ってくるんだよなぁ。上手いなぁ。

 ここからの皇太后とのお芝居が真骨頂だったなと思うんだけど、ここまでも絶妙な間合いできてたものを麻実さんの力が更に引き出して、重ね合わせていくようなやり取りが本当痺れた。必死に縋るような顔から、握る手に込めた感情、俯く仕草。アナスタシアであることを信じてるけど全ての記憶が繋がってるわけじゃないんだろうなってところが見える。最後にアナスタシアに会った時のことは覚えていますか?からオルゴールを取り出して抱きしめられるところまで。「オレンジの香り」が泣きそうに聞こえたことがあって、やっとアナスタシアとして再会出来たんだなと思った。

 「あなたの彼はどこ?」から報奨金を断った、と聞いてナナを振り向く表情がめちゃくちゃ好きでね。あそこにあんな絶妙なタイミングの"振り向く"を入れて何言ってるの…?を見せてくれるから、ナナの「彼があなたを愛してるってこと分からないの?」で自分のこの気持ちを表していいのだとすべてを勝ち取るためにのリプライズに希望が見え隠れする。恋する女の子なの、可愛すぎるでしょ。それでもそこから真逆に振れるグレブとのやり取りも最っ高に良かったのが凄い。あそこのシーン正直意味分からん…というかそもそも話の構造としている…?とまで思ってたんだけど、わかなアーニャで分かった。グレブが堂珍海宝でしか見られてないから田代グレブとの質感は分かんないんだけど、堂珍海宝がそれぞれまた無茶苦茶良かったから見えたんだろうなぁって。わかなアーニャは肝が据わってるからこそ出る「両親や姉たち、弟と一緒になれる!」なんだよね。でも本当に殺されるかもしれない、と思ったところからの弛緩が良いの。あそこからの「あなたを傷つけたいわけじゃないのよ、グレブ」が本当に好きで。ものすごい傲慢な台詞だと思うんだけど、わかなアーニャの言葉の置き方が本当に良かった。差し出す手はグレブにとって救いだなって。アーニャとグレブは手を差し出し合うシーンが多いよね。出会いのシーンとこのラストシーンが反転の構造なんだなってことに気付けたのもわかなアーニャの手のお芝居がすごく雄弁だったから。わかなアーニャ×堂珍グレブめちゃくちゃ好きだったな。

 ラストのディミトリを探して駆けてきて、見つけたときの表情がめっちゃくちゃ可愛くてそれはずるい!だった。小柄なわかなちゃんのトランクキス、ディミトリの視点が同じくらいになるのが良い。海宝ディミトリのときに聞いたことないほど優しい「ディマ」がきたことがあって、あれほんとよく声出さなかったし(我慢した結果腕を握り締めるという犠牲は出た)あんなにあそこ泣いちゃうと思ったことなかったよ。ふわっと抱き下ろされるとこで笑うのがまた可愛いんだよね。

 

・木下晴香(8-1=7)

 わかなちゃんがお芝居ならば晴香ちゃんは圧倒的な歌の力。晴香ちゃんの声本当に好き。高い音がめちゃくちゃ綺麗で、そこからそんなに伸びます!?って繰り出される圧巻のロングトーン。とんでもねぇのよ。夢の中でがすでに凄いのにあの過去への旅がさぁ!?何度泣かされたかしれない。信じながら〜♪で踏み込む動作とか、そうっ!って台詞のようになるのとか生き生きしてくの本当に良かった。

 わかなちゃんが休演になって連投のラスト2日を観てるんだけどもう気迫が物凄くて、この話ってこんなに迫力出せるんだ…!?ってなった。またそこに海宝ディミトリが乗っかって引っ張ってパワー倍増であのときの公演が1番好きだったかもな。全然席良くなかったのにね。関係ないんだよなぁ。不思議だよね。

 晴香アーニャはやれば出来るさで美しいお辞儀をさらりとやってしまえる"天性"の持ち主。どんなにコミカルな仕草をしてても(やれば出来るさ、黒板ゴンッするディミトリを指差して笑うし(可愛い)覚えたことたくさん言えてドヤッって顔するし(可愛い)レンズ豆の上で寝ていいよって言われてよっしゃ!ってグッってするし(嬉しかったね)新たな旅立ち前の喫煙者に皇女アナスタシアやろ!って閃く)そこに品の良さが滲み出て、さながらディズニープリンセス。ディズニー生まれの私はそんなディズニープリンセス×ディズニープリンスの海宝ディミトリとのコンビがそれはもう無茶苦茶に好きで好きで仕方なかった。ここと、さらに禅ヴラドだと禅さんのお茶目に引っ張られて可愛いのおまじないが倍増でかかるのよ。可愛い可愛い!こんなに可愛いしか言わないことあるかってほど可愛いを繰り返してた。可愛い。でも可愛いしか言えないほど、そこに持ってく技術の高さが分かるのよ。絶対にブレない歌、綺麗に通る台詞、そこに乗るお芝居。どれもこれもレベルが高いからこそ観客がそこに辿り着ける。本当にとんでもないよね。

 晴香アーニャは幾千万の群衆の中の御伽話の引き出し方が抜群に良くてあのシーン本当に大好き。それでそこを経てからのバレエへの入場シーンの気高さが凄い。晴香ちゃん初回で観た日、あの正面に立った瞬間本当にハッとしたんだよね。アンサンブルさんたちがそれこそそういう仕草を入れるけど実感としてそれが分かるというか。彼らがいつフランスに亡命したかによると思うんだけど皇太后陛下にすら会える立場にあるくらいだから勿論アナスタシア本人を知っていて、あの瞬間に"気付いた"人たちが沢山いたんだろうなと思った。晴香アーニャは正面に立った瞬間から迷わない。視線を受け止め、受け流す術を知っていて、だからこそエスコートをさせるためにちょっと!ってディミトリを指をクイッとして呼びつける。慣れた仕草だったよね。あのドレスの晴香ちゃんを間近で観れたのは本当幸せだった。青の生地もベースのものと紗のようなのが重ねてあったりキラキラのビーズがこれひとつずつ手縫いですよね…?ってやつで肩からかけてる淡い水色の紗のキラキラ生地が本当に綺麗なの。歩くのに合わせてふわっとなる優雅さ…!

 皇太后との会談から愕然としたように帰ってきてディミトリに「俺が彼女に伝えてきてやる!」って言われてからのあの早口を完璧に聞き取らせてくる滑舌の良さよ。「あなたの駒だったってこと!?」のあとに一瞬の間があって「ディミトリ」ってキッと上げる視線がめちゃくちゃ好きだった。そこから「だからあなたが大ッ嫌い‼︎」がものすごい強さでくることがあって、ほとんど泣き叫びながら海宝ディミトリをバンッって両手で突き飛ばすようにして走り去ったあの回大好きだったな。晴香アーニャは記憶のない、まだらな自分が物凄く悔しくて悔しくて仕方ないって筋が無茶苦茶良かった。 ホテルの部屋で片付けをしてて、「これ何?」って見つけた人形を何の容赦もなく「いらない」って冷たく下に叩きつけるの分かる〜!って感じで(本当に全然可愛くなかった。なんか腕とか足がねじねじされた人形?)でもトランクに服は畳んで入れるのね。で、たまに投げ付ける荒さが覗くの。それ、この数ヶ月で覚えたでしょ?皇太后とのやり取りは比較的サラサラ流れるようにいったけど「パリで私を待ってる人がいるの」って最初に言ってたころの期待が滲むようで最後の「オレンジのかおり」がすごく嬉しそうなのが印象的だったなぁ。

 すべてを勝ち取るためにのリプライズで、この気持ちに正直になってもいいの?本当に?って不安で泣きそうな表情が、海宝ディミトリのすべてを勝ち取るためにの失うものが…で泣きそうだった表情と同じだったことがあって、なんでこの2人はそこでシンクロするかなぁ!?ってこっちまで泣きそうになって、早く行って!行ってあげて!って思うのに邪魔すんなよグレブーーー!しかも晴香アーニャは気高いから「やりなさい!」が強いのよ。全然引かないの。強すぎる。そんな目で見られたらグレブは撃てるわけない。

 ディミトリを探して駆けてきて言われる「これからの人生を共に歩めない人に恋なんかしたくないから」ってこれ告白だし「さようなら、皇女様」とか言われてもそりゃニコニコするよな。「ずっと夢にみてきたの。初めてのキスは、パリで、素敵な王子様とするんだって」ここ可愛すぎじゃなかった?「皇女アナスタシアは異議を唱えるでしょう」のわざとらしくツンとした、でも笑みの滲む表情から「ディマ」が優しくて大好きだった。なんて可愛いんだ…。

 

ディミトリ

・海宝直人(9)

 こーーーんな好きになる役ある!?3年半前の初演で吹っ飛ばされた記憶を更に上回る、いつ観に行っても大好きを更新し続ける凄い役だったよ。

 とりあえず一言目「レニングラード!」、一音目、昔よりマシ それは違う〜♪が通るわ上手いわで笑いたくなる。何そのド頭ワンフレーズでもう上手いって分かるの。凄いわ。海宝ディミトリは狡さとか賢さも勿論あるけどその愛嬌でこの子はしょうがないなって街の人に育てられた感じ。修羅場もくぐってきてるけど基本的にスレてないし運も持ち合わせてる。ペテルブルクの噂が海宝ディミトリだと本当ワクワクしてニコニコで楽しいのよ。豪華絢爛なロマノフ家が煌びやかなミュージカルの幕開けとして相応しいのはそうだけど、アンサンブルとの絡みも多いペテルブルクの噂が楽しいのがほんとこれを観に来た!で嬉しかった。このあとの展開をものすごく期待させる。音ハメがめちゃくちゃ上手いのよね。夜明けは近い〜♪で両手上げるポーズがグレブとピッタリ揃うし、路地裏や壁も囁いて〜♪のしゃがみ込んでく深さとか(ところでここの歌詞、壁か…?なんだ…?)、お祖母様が謝礼くれるらしいよ〜♪のピンッって音で顔を上げたりとか。片側の口角上げた企む顔好きー!指トントンってしたりするの。

 ヴラドとアナスタシア候補のオーディションをしたあと、オルゴールを手に持ちながらソファにごろんとして肘掛けを枕と背もたれのあいだくらいに使って、片膝を立てる。「開けることも出来ない」が新しいおもちゃなのに、を含んでそうな感じ。ヴラドの「お前と俺が組むなんてな」に対して「……つい助けちゃったんだよなぁぁぁ(ヘタレ笑顔)、柄にもないことしたよっ(やんちゃ顔)」の間合いを笑いが取れるようにするのが上手くて、このディミトリはそうだよなぁ、助けちゃうよなぁってにこにこした。身内に甘いというか、ごく自然に知り合いは助けなきゃって思考が働く。だからここでは他人であるアーニャに到底無理めな要求をされると(少しの貯金と道路掃除婦という仕事で出国許可証が欲しい)「飛び込んで、泳げばいい!(犬カキ)」とバカにして「頭がイカれてる」とか軽く言う。でも根が良い子だから「あなたって何でそんなに意地悪なの!?」って正面切って言われるとバツが悪そうな顔するのね。たまに不貞腐れ度が高そうなのが可愛く見えたのはたぶん贔屓目だけど。アーニャに水を持ってきたところ、わざとらしく恭しい仕草でペコリと渡すの、ヴラドとアーニャの紳士の話が聞こえてたんだろうなぁ。記憶喪失だって言われて、のとこもピンッって音ハメ上手だった。ここでちょっと乗り気になる。ヴラドがアーニャとアナスタシアの写真(…だよね?)を見比べてちょいちょいってするとこも好き。「ん?」ってディミトリも見比べてから、アーニャを助ける=利用することを了承する。ここの椅子持ってニッってしてハケるのも好きだったなぁ。

 やれば出来るさ、別名可愛いの宝庫。海宝くんのディズニーな表情の数々を1番堪能出来るのはここ。悪い子だ♪(眉上げて目見開いてわざとらしく)とか、自分は出来そうにないのにヴラドに乗っかって君も出来る〜♪とか自信満々に言ったりとか。「君の親友は?」「弟のアレクセン」「…ち、がう!(本見てた顔をあぁん?とばかりに上げる)」からの「なんだその癇癪は?」「否定されるの嫌いなの!(本バンッ)」「俺もだよ!(本ぽーんっ)」でここわかなアーニャだとイーッ‼︎キーッ‼︎シャーッ‼︎って威嚇っていうか煽るっていうか戯れてるっていうかが強くて可愛かった。トドメの黒板ゴンッが上手すぎて顎いたただね。晴香アーニャが指差してざまぁみろとばかりに笑うのも好きだったし、わかなアーニャがうっわぁ痛そ…ってしてたのも可愛かった。「覚えたか?」「まだ!」「性格は?」「シャイ!」「口癖は?」「うるさい黙らっしゃい!」…ここのシャイとうるさい黙らっしゃいってかけてたのか。なるほど。前半のうるさい黙らっしゃい!は前のめりな感じだったけど、後半はうるさい黙らっシャイ‼︎って背筋伸ばしてわざとらしく顎ひいてわざと低めの声で言ってた…って文字だとわからんな…w ダンスのはじめのとこの腰抜けっぷりがまたアニメーションだな…と思って(目と口半開き、首が前に出てるように見せて背中丸め、足元おぼつかない)どんだけ嫌なの…って笑った。アーニャの足踏ん付けたあとのとこに千秋楽で大澄ヴラドが言った「ディミトリ、ちゃんとやって」に対する「…はい」の不貞腐れてんのに素直なとこよー!ま、ここの良いとこは企み顔のアーニャが渾身のキックからすっとぼけパチパチお目目を繰り出して、ヴラドが「んーかわいい…」で許すとこだけど。ほんとに可愛かった。ステップがいい感じになってからのテンポアップのところ、行くぞっ!って感じで首クイってしてニッってするの好きだったー。めちゃくちゃ可愛い。もうディミトリはこの辺でアーニャのこと意識してるし恋が芽生えてるのよね。仏頂面だった子がこんなに頑張ってニコニコしてたら好きにもなるよなぁ。ここのアーニャ抱き抱えてくるんってするとこアーニャのスカートがふわって綺麗に広がるのも大好き。手を取り合って見つめ合うとこでアーニャも意識し始めるのが良いし、そりゃあヴラドも気付くよね。ここからが本番〜♪アーニャの手を取られて、おぉん?ってするんだけどすぐ手叩いて楽しそうにするし一緒に踊り始めるの楽しいし、アーニャとペアになったとこの首を横に振る振りと音ハメ無茶苦茶上手かったよね。…いや、ここだけでどんだけ書くの?最後ね。ヴラドがフランス語でアーニャに話しかけて普通に返すとこを怪訝そうに見て、アーニャの上着持ちながら平民って言われてどうせそうですよ、と言わんばかりに「ロシア語で話せよ、平民のために」で渡されたカップをわざとらしく恭しく掲げるようにするのも好きだった。夢の中での前と同じようなテンションね。憎たらしいのに憎めないんだよなぁ。

 グレブのところから帰ってきたアーニャと歩きながら話を聞いて、ペテルブルクの王子様って絡まれるとこ、うん、王子様だよな…って変な説得力がね。アーニャを背中に庇うのときめくし、海宝ディミトリだと手握って行こうとするからそれは更に特大にときめく…!(キュン)。「彼女に触るな!」の必死な感じがいい。ここのアクション、ディミトリ意外と殴られてんだよな、と思うんだけど(アーニャは全く)なんてことなさそうなのがこの街育ちだよね。「…どこで覚えたんだ、凄いな」の間合いも笑い取りに行くのが上手い。「かかってきなさい!痛くしないから!」「分かった!分かったから!」に「危ないな」とかつける日があって本当ちゃんと女の子扱いするようになったよな。俺のペテルブルクは圧巻の一言。ロシアのネズミは〜♪でアーニャの肩に指先走らせる茶目っ気。何でも出来るお前次第〜♪のとこからが大好きなんだけど、その前のロングトーンからのノンブレスの何と綺麗なことよ!?とか、縛るものは何もない 俺は俺のもの その気になりゃ空の果てでも 行けるさ♪とかここもとんでもなかったけどなんてことないようにサラリとくるのがまたとんでもないんだよ。ラストのロングトーンの圧までパワー爆発なのにあくまで芝居の一貫なのが分かるんだよね。ショーストップすらも計算したかのような次の台詞までの間も"この街が嫌いで好きで見てる"のが凄かった。ここで圧倒的陽!のスパァーン!と突き抜けるような歌唱も好きだったし、ダッっと駆けてくるところで力が入ってお父さんのことが大好きで「恋しく思わない日はないよ」まで繋がって涙目だったこともあって、そこの日々の違いも面白かったな。これがね、通う醍醐味だよね。

 アーニャに私たち2人とも家族がいないのね、って言われて「君はまだわからないだろ?」っていう優しさよ。答えはパリにある、で両手広げて前に向けるのはこのあとの目を閉じて、のとこと一緒だったけど目を閉じて、終盤なぜか片手で顔の前にシャッター下ろしてたんだよな…w オルゴールを開けることの出来たアーニャに「…おい、どうやったんだ?…アーニャ?」の心配する声大好き。

 全然パリに行けそうにない、出国出来ないことは前から薄々分かってて、でもそれを信じるアーニャに巻き込んだ手前本当のことも言えなくて悪循環で逆ギレするけど「だから!謝ったろ!」で前に駆けたあとの後悔の顔が悔しいんだなって。出来ないもんはしょうがないんだよ…って諦め覗いてる日もあったけど。それで生きてきてる子だもんな。アーニャの独白は全然聞こえてないし(ここ2人とも絶妙な距離感でそれぞれの芝居成立させるよね)だから目を閉じてをやり返されて嫌っそうに「何のために?」って返すけど、海宝ディミトリは結局表情がディズニーの作りだから憎めないんよ。首ぐるんって回してむぎゅっと目を閉じる。手は素直に出すんだよな。ここでアーニャの動きに反応して、ん?ん?って首動かす日があったの好きだったな。ダイヤモンドだ、からのほわぁっとした表情良いし、君が女の子じゃなかったら…!に殴りかかる動作入れてからの抱き上げかっわいい!ニコニコーって。めちゃくちゃ動き早くなるし、バスタブに出会える!がキラキラ笑顔でバタバタ走り去る動きにウキウキが見えてこれもまた可愛い。相変わらず可愛いしか言ってない。ちなみにここ本当にハケたその場で帽子もらって被って出てきてた。

 惜別の祈りは本当に泣き出すんじゃないかなってくらい涙を目に溜めてる日があって、その日は俺のペテルブルグから泣きそうに見えて珍しいなと思ってたんだけど、お父さんのことが本当に大切で泣きたくなるほど恋しいから、そのお父さんとの思い出の地を離れることにこぼれ落ちそうな想いが繋がってて凄く良かった。強い目をして堪えてる日も、先を見据えた目をしてた日も色んな表情がたくさんあって、静かな曲のなかで綺麗なコーラスとソロが良かった。列車に乗り込んだあとはアーニャにツッコミ入れたり(皇女アナスタシアとかやるんなら先に言え!)、ヴラドと悪い顔してたり(そのダイヤモンドはどうしたんだよ?)するけど列車の後ろに移動したところで外を眺めてる顔がぼーっとしたような、少し呆けたような、まだ想いを残してるように見えたり、でも新しい景色にちょっと楽し気な表情が覗いたりグラデーションが上手い。そこから入る歌がこれが最後のチャンス~♪だもんね。アーニャのことを励ましてるようで、自分も鼓舞してるようだった。ところで軍人さんたちが乗り込んできたところはなんで帽子深く被って寝たふりしてたのかな。わりとすぐアーニャと本の陰に隠れるようにコソコソしだしてたけど(兄妹感可愛い)。銃声に泣き出すアーニャを落ち着かせるために肩に手を置いたり、人差し指を口元にもってくのはときめきポイント。電車から飛び降りる決断が早くて、アーニャの切り替えも凄いけどすぐ鞄を手に取るディミトリもさすが修羅場切り抜けた数~!ってなった。動けないっていうヴラドにはぁ?とあぁ?の混ざったような表情して「あとたったの10㎞だよ!」っていうの、頼もしいわね…って思ってたけどディミトリってその距離感あるのかな。ずっとペテルブルグにしかいなかったのにね。アーニャがうん!って頷くのは分かるのよ(説得力)。

 ヴラドが感傷的になってきた~っていうのにアーニャとニコニコしてるの可愛かったな。そこからの「お前は失恋するんだなぁ、ディミトリ」に対しての「黙れよ」も日々違ったポイントで、1回ほんとに「黙れよ!」って強くきた日はびっくりしたし、全部分かってて諦めることを飲み込もうとしてる日も、気付きたくないことに気付かされた日も本当全部その日ごとに繋がってたし「あんたの言うことはわけわからん」も微妙にニュアンスが変わってて本当面白かった。ディミトリはこの葛藤が良いよね。アーニャとぶつかる寸前で顔を見合わせて、礼ならヴラドに言えよってニッってする。「アーニャ!見てみろよ!アーニャー!」も好きだったんだけど、ここだけさ?たまに台詞のタイミング変だったのは一体なんでだったのかねw …まだ一幕終わり?ふふふwww

 パリー!衣装が華やかになって好き。しかしあの、パリは鍵を握ってるさ?海宝くん踊れないわけじゃないんだけどなんか変なの、あれなんだろう…w 半テンポずれてない…?って見えた日とかあったけど…w アーニャとふと見つめ合ってダンスの手を差し出す仕草はときめく。促すように目を上げるよう表情が好き。そんな風に誘ったアーニャの手を取られても、取られるこそなのかな、パリは握っている 彼女の運命を~♪から、あぁアーニャと離れる未来も考えてるんだなって見えるのが良い。希望と♪でまたニッって走り出すしね。基本的ににこにこで楽しいなかに見え隠れする感情が良いんだよなぁ。バスタブに走り去るのもご愛敬ですよ。どうだった?

 アーニャの悲鳴に飛び込んでくるの、初めてじゃないのかなぁと途中のころから思ってて、それは一幕のトビーのくだりから泣き始めたアーニャへの対応だったり、列車の銃声も、ここの「声だけだ。悪い夢を見てるんだ」も冷静だよなぁって。アーニャはずっと夢を見てて結構な頻度で飛び起きたり、不安定なところがあって、それに対して安心させるような振る舞いを身に着けてきたのかなと思った。途中からは好きな子を助ける、だろうしね。「アナスタシアであればいいと思うよ。アナスタシアには美しくて強くて聡明な女性であって欲しいから」ってアーニャの目を見て言えて、そんな風に思ってたの?にも全くふざけずに「あぁ」ってそのまま言えるのはパリに来たマジックかなと思うけど。というか、来れたから言えたのかな。幾千万の群衆の中はアナスタシアのなかでも屈指の好きなシーン。こんな最高な御伽話はない。ここまではさ「これも君の物語にしろよ」ってアナスタシアであることにまだ確証はないんだよね。だけどあの、お辞儀を…に驚いた表情をして「それは、話してないよ」「だけど私、覚えてる」のあの繋がる感じが、もう、最高で。あの日のパレード~♪で駆け寄って腕を掴んで必死なのに見える感情が喜びで、でも、気付いてしまう。「皇女様」。掴む腕がね、アーニャの二の腕に添えてるなって日も、軽く掴んでる日も、最後は肩を抱き込むみたいに触れてた日も見て、そこから表れるディミトリの表情もキスをしようと目をつぶって首を傾ける仕草も、ハッとして離れて跪く姿勢の美しさも、みんな本当に好きだったな。

 バレエの会場に駆け込んできて、ヴラドに世話焼かれて何すんだよ!ってじゃれあう(可愛い)。入ってきたアーニャに見惚れるの、分かるよ、でしかなくてな。エスコートに呼ばれてハッと立ち上がって、襟元正して腕を差し出す。緊張気味なのは、そりゃこんな場所にも服にも作法にも初めて出会ったからで、でもアーニャの掴んだ手に余裕を見せようと笑う。ここさ、大澄ヴラドと禅ヴラドで振り向いたときの表情が違ったし、たぶんアーニャによってもアーニャとヴラドの組み合わせによっても違ったなって。何気ないけど、きっと手の震えてそうなわかなアーニャと、やると決めた晴香アーニャでは手の掴み方が違うだろうし、見守る大澄ヴラドと心配の強い禅ヴラドで違うよね。ボックスシートでも落ち着かなそうなわかなアーニャを心配する目と、顔を合わせて少し話をする晴香アーニャでは、そばで怯えて震えてる彼女~♪の入りが違ったなって。でも君のすべきこと~♪の目はいつもめちゃくちゃ強いの。守れるの。かっこいい。リリーのところまでエスコートしてく姿もかっこよかったもんな。

 すべてを勝ち取るために、歌い始めはさ、それこそ一幕最初のほうのヴラドのことを「つい助けちゃったんだよなぁぁぁ」のあのテンションだなと思ってて、心配はガラじゃないのに~♪とかね。ヴラドが行っちゃって、バタバタ駆けて部屋のほうを気にして、静寂だまずいぞ いや大丈夫さ~♪とか。でも、ふと気付くんだよね。あの子がアナスタシアだと認められたら、もうお前は二度とあの子に会えないんだぞ、とか、その夜が今日かもしれないってこととか。アナスタシア=思い出の忘れられない女の子で、きっと気持ちは通じてるのにここで絶たれるかもしれない。二人の道はまた交わるのか~♪のとこからすごい好き。ここで下手からゆっくり上手に歩いてきて、ぽつんと置くような 喜ぶべきなのに 俺の心は~♪が本当に良くて、ぽつんぽつんと言葉を置きながら目がキラキラと光ってこみ上げるような涙が見えて、スッと一筋流れたときはなんて綺麗なんだろうと思うのと同時に、ディミトリ!!!バカ!!!そんなに好きなのに!!!ってこっちがじたばたしたくなった。最後がね、消え入りそうなのにアーニャの姿を見つけたらすぐに目元をぬぐって「何があった?」って普通の声出すの。「俺が彼女に言ってやる!」が瞬間的に強いんだけど、アーニャに詰め寄られてるときの顔がざっくり傷付いてて、晴香アーニャのほうがここの大ッ嫌い‼が強かったように思うんだけど(両手でバンッってディミトリのこと叩いたり)アーニャも泣いてるしディミトリもほとんど泣いてるときがあって、アーニャを追いかけてほとんど走り出しそうなのをリリーの声に引き留められてここでも目元をぬぐう仕草がね、入るんだよね。

 皇太后に言い募るさまがすごく強い日があって、「警備員」って呼ばれるの分かるなって。素性の知れないこんな男危ないもん。だけど、必死にアーニャを庇いながらあの子がアナスタシアだって伝えるのに半分泣いてるような日もあって、その熱意が皇太后を動かす一端を担ったんだろうな。この時点でアーニャがアナスタシアであることが真実だと分かってるのがディミトリだけで、2人を繋ぐのにパレードの記憶は凄まじい力があったけど皇太后に対しては無力だから訴えるしかなかった。アーニャを追って走り去る日も、強い足音で去っていく日もあったな。あのテンションでよく人形とか買って帰ったね…?と思うけどヴラドと合流して…たらあの人形にはならないか…?なんかとにかく必死だったし、アーニャに罵られるのも半分放心しててだから顔は笑えちゃったりしたのかな。皇太后に対する礼に想いが込められてて、でも、抱き合う2人を見に来る表情は嬉しいと悲しいが引っ張り合いっこしてるような、そこに寂しいを混ぜたような色合いをしてた。

 ぶらりとトランクを持って歩いてきて、少しだけぼーっとしたような顔をする。トランクに腰掛けたところからアーニャを見上げる表情は優しいのにそこから発する「これから先の人生を共に歩めない人に恋なんてしたくないから」が全部諦めてて「さようなら、皇女様」と心のこもらないお辞儀をする。背を向けて聞くアーニャの王子様発言には「俺は君の王子様なんかじゃないよ、アーニャ」って振り向きながら苦く笑うように言う。ここの表情も好きだったなぁ。トランク取られて、え?ってして「ディマ」からのキスにふわぁって笑うの。可愛かったー。襟元正して腕を差し出す、をわざとらしくするけど本編のここはちょっとかっこつけるくらいのニュアンスで、カテコラストのほうがそれはもうしかめっ面か?ってくらいやってたの楽しくて良かったよ。…我ながらツッコんでおくね。お前よくほぼ全シーン書いたな。数年後の自分が喜ぶよ。

 

相葉裕樹(2)  

 我が道を行くディミトリだなぁと思った。アーニャとの恋よりヴラドとのコンビ感が強く見えるの不思議だったんだよね。なんだろう、恋の成分が少ない?甘さかな?ヴラドとは良い仕事仲間で上手くやってきたんだろうなぁって見えて、ボリシェビキから打算があって助けてそう。ここで恩を売っておけば後々でかく返ってくる的な。その通りに上手くいったところが大半だけど禅ヴラドのおっちょこちょいには頭抱えてることもありそうかなw

 良くも悪くも俺のペテルブルクが印象に強くて(あそこ歌い出しから座り直したときの脚長すぎてびっくりよね)、この街で、育ってきた!に見える誇りが大きく見えた。そのせいなのかちょっと今本気で二幕の印象がなくて慌ててる。うそぉ?見栄えはね?抜群なのよ。晴香アーニャとのバレエ入場なんてどこのモデルかって話で。なんだけど、アーニャとの恋に見えるものが少ないから、ディミトリとの関係性よりアーニャの成長物語としての話に比重が重く見える。これが相葉くんが意図してそうしてるのか、私の受け取り方なのか全然分かんないな。千秋楽のカテコラストで晴香ちゃんをひょいってお姫様抱っこしたのが1番ときめいたんじゃないか。あれ出来るの相葉ディミトリだけだぞ。

 

・内海啓貴(2)

 東京の初日と楽だけ観たっていうこれも極端なことしてごめんなんだけど、内海ディミトリはめちゃめちゃ狡く賢く生き抜いてきたのが見えるのが良かった。ペテルブルクの噂で企む顔が印象的。悪い顔するのよ。この子は本当に狡賢くすばしっこくわりと悪い事もして修羅場くぐってきたなって。だからちょっと一匹狼な感じもあってヴラドとのコンビ感もあっさり見える。アナスタシア候補のオーディションしたあと、オルゴールいじりながらヴラドのことを「つい助けちゃったんだよな」って言うのもボソッと言うからヴラドが「!?」ってなるし「ガラにもないことしたよっ」が本当にガラにもなかったんだろうなぁって。何せここ笑いながら言うお前は助けるよ、な海宝ディミトリばっかり観てたから新鮮でね。面白かったなぁ。内海ディミトリは助けたあとからヴラドとの関係性が始まったのかなぁと思った。

 やれば出来るさのダンスでアーニャの足踏んだとこ、千秋楽で「わりわり…」って入れてきたの、内海ディミトリらしくてめちゃくちゃ良かった。全然意識してなさそうなここから、踊り始めて手を取って見つめ合ったところで、あ、今2人で惹かれあったな、って。恋の自覚が遅いディミトリ、いいよいいよ。「ペテルブルクの王子様じゃねーか」が蔑称としてしっかり働くし(他の2人、うんそうだね…ってなるから)(内海くん王子様要素消してたじゃん!?)俺のペテルブルクが似合うのよ。ここで、生きてきたよね。パリに行ってからの二幕は初めてのことへの戸惑いとかが覗いてたの良かった。バレエのとこでタキシード着て駆け込んできて、ヴラドにどう?ってするの、そうだよねそんなの着るの初めてだもんね、って内海ディミトリが1番思ったしそれがロシアのネズミなディミトリの反応として凄く良いなって。アーニャに見惚れるのもめちゃくちゃ分かるの。"あの日"の輝く彼女。幾千万の群衆の中でからここの繋がりやっぱり最高だな。

 ラスト、駆け込んでくるアーニャにぶっきらぼうに声をかけるのがらしくて良い。「さようなら、皇女様」が突き離す感じ。アーニャに「初めてのキスは、パリで、素敵な王子様とするんだって」って言われても、はぁ?と言わんばかりなの。「ディマ」って呼ばれた顔見たかったなぁ。あそこのディミトリの表情見える席なかなか難しくない?

 

グレブ

・海宝直人(3)

 ビジュアルが優勝すぎません?出てきた瞬間から「え、かっこいい…」出てくるたびにとにかく「かっこいい…」口からこぼれ落ちなくて本当に良かったよね。ひたすらかっこいいこのビジュアルから最高の歌唱がくるまでは予想の範囲内で、さて、どんなグレブかな?と思ったらとにかく父親の存在が強くクレッシェンドされてきて、この役こんな見え方するのー!?ってなった。びっくりした。初日が顕著だった、というかどうしても最初の印象が強いせいだろうけど、アーニャとの出会いにマリウスみたいな一目惚れの恋が見えたのに、アーニャと対峙するラストシーンでその恋心をぐちゃぐちゃに丸めて潰して捩じ伏せたのが見えたんだよね。握り潰しちゃった…と思った。あそこであんな泣きそうなグレブ初めてで動揺したし、でもそれは連れて行かれる子どもたちを見た、その子どもたちを父親が殺した、そのことがのし掛かってる息子の姿なのかなって。恋した相手がロマノフ家の末娘で、でもその娘は本来死んでいなければならないはずで、なぜならそもそも父親が殺害の引き金を引いていて、父はその任務に誇りを持っていたはずで、ってなったら、そりゃ、ぐちゃぐちゃで保たないよ…。お父さんに囚われてる。これが晴香アーニャとで、晴香アーニャとはこの1回しか観れなかったの残念だったんだけどあと2回後半日程のわかなアーニャとがいやもうほんとに芝居がうめぇぇぇぇぇ!って痺れたよね。もう全然引き金ひけないもん。絶対無理。俺なら守れるって思ってるし信じてるけど、それってアーニャを庇護対象だとしてるからで、でも特にわかなアーニャは自分で立てる強さが見えるからそんなものは必要としてないんだよね。その必要としてない、に気付くグレブだなって。頼むから…!ってあんなに必死に泣きそうなのを無理矢理笑おうとして引き攣って「お前は、誰だ…」の誰だ、がほとんど無声音みたいになってたのきつかった。誰だって言うけど、アナスタシアなことはとっくに気付いてるのに。そこにあの凜とした「皇女、アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノフです!」来たら無理に決まってるのよ。その子、もうそれを認めて立てるからさ。ロシアでの報告シーンから幻想のようにアーニャとディミトリが並んでるのを見て、幸せを願ってるように見えたのがもうとんでもなくこっちをぐちゃぐちゃにさせたよ。

 

堂珍嘉邦(6+1=7)

 気付いたらグレブで1番観てたのが堂珍さんだった。海宝ディミトリとの組み合わせが多かったのよね。堂珍グレブはアーニャへの想いと、父親との距離感…うーん、関係?のバランスが1番好きだったかなぁと思う。初日だけさ、やたら恋が強くて気持ちわる…ってなったんだけど、次観たときにはチューニングされてて配分が良くなってた。わかなアーニャとの組み合わせが好きだったなぁ。ゆっくりと丁寧に言葉を置くわかなアーニャと呼応するように溜めたような歌唱がきたとき、これはラストやべぇ爆発するぞ…!って思ったそのまま、物凄い迫力の対峙がきてゾクゾクしたもんね。あそこの差し出された手は堂珍グレブにとって救いの手だったなって。この組み合わせのときに初めて思った。

 

・田代万里生(4-1=3)

 こっわいのよ。最初の演説シーンの目がもうめちゃくちゃ怖い。全然味方してくれなさそう。軍人としての立場とか強さを盲信してるように見えて、なのに純粋そうにアーニャを見るからもうぐちゃぐちゃよ…?その位置から1ミリも下りようとせずにアーニャを手にしようとするのは傲慢以外の何…?このちぐはぐさをさ、万里生さんの歌唱力で突破しようとするとなまじ歌ってるときの声の方が優しいから(台詞、わざとがなるように言ったりしてるよね)もう怖くて逃げ出したくなる。引き金引けるんじゃないか…と思ったもんね。

グレブの印象書けな過ぎて自分で笑ったんだけど、そもそも初演はマジでこの役なんだ…?とすら思ったからこれでもだいぶ解像度は上がったんだよ。あとはもうだいたい海宝ディミトリが悪い。そこに全部持っていかれるから。

 

アーニャとディミトリの組み合わせの話。

・木下×海宝 ディズニープリンセスとプリンス。

史上最高に可愛かった。ここが本命でチケ取りもここに全振りしたといっても過言ではないんだけど、本当に何から何まで期待以上想像以上で禅ヴラドだと余計に可愛いのおまじないがかかって本当に可愛いしか言ってなかった。最高。ビジュアルも歌も芝居も全部良くて全部好き。好きすぎて語彙がなくなるってこれだよ。

 

・葵×海宝 時に悪ガキ2人のやんちゃ感。

ここが1番一幕から二幕の雰囲気の違いのグラデーション濃くなかった?一幕マジで小動物のじゃれ合いから(やれば出来るさ)認め合った顔キズだらけにして笑い合ってる悪ガキ(俺のペテルブルク)新たな旅立ち前の皇女アナスタシア〜もキャンキャンしてるのに恋の滲ませ方が段々濃くなるのめちゃくちゃ上手くて、幾千万の群衆の中で御伽話になるの。最高。あそこでめちゃくちゃ通じて同じもの見えて必死なくらいディミトリの腕を握りしめるアーニャも肩抱き込みそうなディミトリも大好きだった…千秋楽かな、その前かな。アーニャがディミトリの頬に手伸ばしたのとか最高で、なのにその手で気付いたみたいに顔を離すディミトリがさ!「皇女様」がさ!泣いたよね。わかなアーニャがここでアナスタシアであることを思い出して、でも全部が繋がってるわけじゃなくて、不安のほうが大きくてバレエの会場に入ってきて、ディミトリの腕に掴まった瞬間の安堵の顔…芝居が、上手い…。わかなアーニャのここ大好きだったんだよね。このアーニャは怯えて震えてるのを必死に隠そうと、抱え込みながらそこに居るのが分かる。だから"守りたい"が見えるディミトリがたまらんのよ。

 

・葵×相葉 我が道を行く2人。

なんかな、わかなアーニャが丁寧に置いた言葉を相葉ディミトリが蹴っ飛ばすみたいに見えてな…w 相性悪!?って思ったんだけどこれはこれ。ある意味でこの2人、ものすごく地に足ついてるんだけど、相葉ディミトリが俺についてこい!みたいなタイプだから自分で歩けるわかなアーニャだと、はぁ!?(行きませんけど!?)に見えるのが面白い…って今ちょっと書きながら笑ってるけど。トランクキスの身長差が逆転しない、は個人的にはそんなに萌えポイントじゃなかったんだけど、ディミトリ探して駆け込んでくるときの見つけた!の表情が可愛すぎてな。そもそもこの日の俺のペテルブルクでわかなアーニャが相葉ディミトリに惹かれたって瞬間を、あ、今だね?って分からせるお芝居がめちゃくちゃ良くて、この駆け込んできたときもめちゃくちゃ可愛くて(この日が1番可愛く見えた疑惑まである)おっま、ディミトリお前その顔両方見てないの残念すぎるよ!?見なくて大丈夫だった!?ごめんね!?ちょー可愛かったよ!?ってなった。

 

・木下×相葉 隠しきれないノーブル。

お姫様抱っこがこんなに決まるのはここだけ。あの絶対にやると決めていた相葉ディミトリと(襟元正して腕を出す、をしなかった)ん?ってしてたらひょいって抱え上げられてわぁ!ってなった晴香アーニャ可愛すぎた。あーいうことをやって絵になるのは断然この2人。バレエの入場とかもどこぞのモデルさんです?ってなるもん。晴香アーニャがスッと立つから見栄えが良いのよね。そしてやっぱり相葉ディミトリだとアーニャの成長物語の側面が強くなるかなぁ。そんなに恋が見えないんだよね。

 

・葵×内海 等身大の企みと恋。

1番御伽話から遠い、リアルな"生きてる"感じが凄く良かった。地に足ついてる2人。等身大ってこんなに面白い!?って思った。むしろ役の年齢考えると2人ともまだ下だから次くらいが本当の等身大になるんだけど。観たいねー。めちゃくちゃ良いんじゃない?あとは内海くんが東京後半ずっとわかなちゃんとの組み合わせになってたからお芝居のチューニングが合ってる感じもあったのかなぁ。ぶっきらぼうに見せながら言葉を受け取って投げ返すテンポ感がすごく良かった。雑なんだよ?でもそこに見え隠れしてくる恋がさ、2人してこんな感情知らなかったって戸惑っててでもそこが無茶苦茶可愛いの。俺のペテルブルクで、偽の土産を売りつけた〜♪にやるじゃん、ってわかなアーニャが手コツンってしたの好きだったー。   

 

・木下×内海 姉と弟のような2人。

内海ディミトリの恋の自覚がゆっくりで(アーニャと同時くらいで)だからこそ見える姉弟感というか、引っ張ろうとする内海ディミトリを大きく包むみたいな余裕ある晴香アーニャ、って見え方した。初日挨拶で「どんなキャラ?」って海宝グレブにツッコまれる変な進行かました晴香アーニャ(晴香ちゃんは2日目)とちょっと感極まった内海ディミトリ(隣から麻実皇太后と大澄ヴラドにあらあら…って微笑ましく見守られる)の印象が強いせいもあるかもしれん。弟っぽいディミトリもね、良いよね。