レミゼの総括とふうかエポの話。

我ながらどんだけレミゼのこと書くつもりだよって思ってる。もう革新?革命?凄いね。6月に観に行く道すがら、バルジャンとジャベールっていっつもどっちがどっちか分かんなくなるんだよねとか言ってたとは思えないよね。

プリンシパルの回数いくよー。帝劇5回と松本2回の計7公演。

・バルジャン:福井晶一 2、佐藤隆紀 3、吉原光夫 2

・ジャベール:川口竜也 2、伊礼彼方 3、上原理生 2

・ファンテーヌ:知念里奈 1、濱田めぐみ 2、和音美桜 3、二宮愛 1

・エポニーヌ:唯月ふうか 4、生田絵梨花 1、屋比久知奈 2

・マリウス:内藤大希 6、三浦宏規 1、竹内將人 0

・コゼット:熊谷彩春 2、加藤梨里香 4、敷村珠夕 1

・テナルディエ:駒田一 4、斎藤司 2、橋本じゅん 1、六角精児 0

・マダム・テナルディエ:森公美子 4、谷口ゆうな 2、樹里咲穂 1

・アンジョルラス:小野田龍之介 2、木内健人 3、相葉裕樹 2

・ガブローシュ:重松俊吾 1、小松葵生 4、井伊巧 2

・リトル・コゼット/エポニーヌ:

      絢田祐生 3、若井愛夏 2、加賀見陽 3、小田島優月 2、宇佐見有紗 2、三浦あかり 2

内藤マリウスとふうかエポに振ったのがよく分かる。確かに振った。いろはコゼにも振ったつもりだったけどりりかコゼのほうが倍見てんのか!ってビックリしたわ。バルジャベが何も考えずに均等なの面白いし、ガブは小松くんが多かったんだなー。そもそもの出演回数が少ない六角さん見れなかったのは仕方なかったけど、竹内マリウスは見たかったね。どっちも大阪がやってれば観れる予定でした。ま、しょうがない。

マイベストアクトは7月23日ソワレ。木内アンジョが覚醒してて、あまりにかっこよくて惹きつけられた。砦の一員としてバリケードを戦うように観るとこんなに消耗すんのか!って実感して、1回魂抜けたみたいにぼーっとするのね。で、ちょっと生き返ったぞ、ってところできた内藤マリウスのカフェソングが、まぁ、もうとんでもなかった。あれなんだったんだろう、っていうくらい引きずり込まれて凄すぎたんだよね。声が強いのにずーっと悲痛で弱くて、みんながいないのが寂しくて辛くて泣いてて、アンジョたちが並んだ瞬間鳥肌立った。あれはマリウスが見せた幻だけど、マリウスのためにみんなが来てくれたんだなって。木内アンジョが強くて優しい顔でマリウスを見ててくれるんだよ。凄いなぁ、あのときの凄かったが、まだこんなに質感をもって思い出せる。

降って落ちてきた内藤マリウスが見せてくれたレミゼ、6月の衝撃に7月のベストアクト、10月大千秋楽の集大成って楽しかったー。これね、アンジョが小野田くん、木内くん、相葉くんってみんな違ってるの面白いし、それぞれとの関係とマリウスの在り方の変容が見れたなって思う。で、これ全部エポがふうかちゃんなんだよねってところに気付いたときに、そりゃそこに振ったのはあるけど巡り合わせ凄いなと思った。

そんなとこで書いてみた、だいたい千秋楽の記憶をベースにしたふうかエポと内藤マリウスの話。エポの登場から最期まで。アンジョもだけど、エポもぎゅっとした出演時間のなかで本当残してく跡が強い。

 

まずは登場してモンパルナスに絡まれるところから。田川モンパばっかり見たからその印象が強いんだけど、後ろからガシッってしたりベタベタ触ったりするのをエポが一睨みだけで済ませたり、かわしたりするの、日常…って感じ。何とも思ってない。モンパも楽しいだけ。おもちゃ?みたいな。すぐ捨てられるけど、って。双方向で情がないのが分かる。でもそこの絡み好きだからもうちょっと見たいって思ってる。

マリウスに話しかける。作り笑顔って分かるけど、その表情しか出来ないのも分かる。貧乏(じゃないんだけど)とはいえ学生と自分では身分が違う、惨めな暮らしなのは知られてるけど対等に扱って欲しい。だけど距離感が分からない。多分悲しい顔とか泣いたりとか見せちゃ駄目だって思ってて、それなら笑っておかなきゃ、笑うってこうだよね?だって会えて嬉しいのは本当だからこれで合ってるよね?って全部含まれてる痛々しさ。健気。マリウスが好きだし、そばに居たいけど、どうしたらそれが叶うか分からない。この2人、どう出会ってあの感じになったのかなぁ。原作の隣に住んでる設定は流石になさそう…いやあるのか…?だからサツも探してた、がマリウスから出てくるのか…?そう考えると幼馴染でもなく、大人になってから隣に住んでる女の子に対しての距離感として近くない…?マリウスは懐かれたとか思ってんのか。うわぁ、罪。ちょっと正座して。

マリウスに本で頭をぽんっとされて、奪って読めなくて難しい顔して、頭ぽんってし返して、投げ捨てる。その髪好きだわ、がこのあとだっけ。マリウス→エポの距離感の近さは無意識だけど、この髪に触れるエポ→マリウスの近さは距離感が分からなくて急に近付きすぎた感じがした。モンパにベタベタされる日常があるから突然近い。だからマリウスも驚いて、なんだよって返す。仲が良さそうで気安いのに距離感がちぐはぐなんだよね。エポが上手く測れてないというか、これまで仲の良い友達とかがいなかったところに惹かれる人が出来ちゃったから舞い上がってるところと、冷静なところが極端に顔を出すというか。このあとのやばいから行って、って切り替わる速さがあの街で生きていく術なんだろうけど、エポが本気で言ってるからこそ、わりと本気で心配してるマリウスに気付かないの切ないよね。お前も逃げなきゃだめだろって。隣の部屋設定がいきてるとして、テナルディエたちが悪事を働いてるのもそれにエポが関わってるのも知ってるけど、どの程度のことしてるのかは知らなかったのかな。突然真剣な顔して行けって言われたら戸惑うし、やばいってどのくらいだって思うからエポニーヌ!って追いかける=心配してるだと思いたいよ。呼ばれたらエポは振り返るからこそ、マリコゼの出会いを正面に見てしまってそこに生まれたものを悟ってしまうんだけど。あれ、様式美だけど全然理解出来なくて、なんならありえないでしょって思ってたんだけど、あぁそれは恋に落ちた、って分かるようになったのが今回のレミゼの1番の収穫。エポ贔屓としてはしんどい以外何ものでもないんだけどね。エポ、双方が恋に落ちたことも、相手がコゼット=差別していたものだということも、その相手が今は着飾った綺麗な姿なのも全部のしかかるの本当辛い。ジャベールがやって来るあたりからはセット上に上がってじっとしてて、あれは何かを見てるようで何も見てないのかな。そりゃあ思考停止しても不思議じゃないし、そうなるよなぁ。そのまま大きな動きはなくセットとともにハケる。

上手花道で箱に腰掛けながら、あのシンとした空気に始まる、コゼット…って囁きのような歌い出し大好き。自嘲して、惨めなあたし、って出てくるけど、本当はコゼットもエポニーヌも親に振り回されてるだけの子供なんだよね。その境遇を嘆くしか出来ない。出来ないよなぁ。だって道が見えないもん。アンジョたちの革命は一定の余裕があるから起こそうと思えるものだし、多分それで救いたいのって本当は1番にエポニーヌとかカブローシュだと思うんだけどエポには届いてないし、カブはまだ分からない部分も多い。だいたい学生も回によってどこまで意味分かってやってる?って思ったし。マリウスが飛び込んできてポニーヌ!って言うの好き。興奮してるマリウスに聞かれても金持ちの娘って突き放せるし、会えたの嬉しいって顔する。あそこで探して頼むって言うマリウスほんとに目の前の女の子の表情見てくれるか!?ってなるんだけど、見れるようなマリウスじゃ話進まないからね…頼まれちゃうと断れない。何くれる?何でも!のやり取り可愛くて大好き。エポはあんなに嬉しそうに笑うのに、ほんとコインじゃないよね。マリウスにあの嫌悪感露わにした表情するのあそこだけだし、本当にショックだったし傷付いたんだよね。確かあったなって軽い気持ちで出したマリウスもちょっと思い知ったらいいのよ。「あ…」って顔するのは好きだったな。悪気は何もない。けど分かってない。

民衆の歌。マリウスを引っ張って行く。こことか見ても本当エポニーヌは革命に興味ないし自分の関わるものではないと思ってるし、マリウスも多分どんな活動してるとか説明したことないんだろうな。"市民"が抽象的。引っ張られてすぐ向かうときと、躊躇するときがあったように見えた。革命に向かってるか、コゼットへの想いが勝って迷っているか。千秋楽は革命に向かってたから一瞬躊躇したように見えた。そのほうが好き。

プリュメ街でマリウスに手を取られてぐるぐるされるのは楽しそうなのに、行ってしまうからストンと表情が落ちる。蚊帳の外って分かりながら、でも離れられない。この子が案内してくれたんだって紹介されたとき、コゼットと目が合ってハッと顔を背けながら帽子を深く被る。恥ずかしい、なのかなぁ。いろはコゼットは"気付いた"、りりかコゼットはあれ…?と疑惑を持つ表情が好きで、考えて確信に至る過程が良かった。原作のコゼットは昔を覚えてない設定だったと思うけど、ミュージカルは覚えてるよね。それぞれのコゼットで差はありそうだけど、バルジャンが本当の父親じゃないとかは普通に分かってそうだし、じゃないとここでこの芝居は出てこない。

テナルディエ、パトミネに絡まれるとこ、あの素早いモンパをかわすあたりとかが慣れてるとはいえ身体能力が高い。あと判断も早いよね。叫べばここでの仕事を中止せざるを得ないのをわかってる。マジで命拾いしてるの肝に銘じとけよマリウス。そこから連れて行くのもね。マリウスそのままそこに置いといたら一悶着にしかならないもんね。

ワンデイモアでマリウスの決意を聞くのも、革命でもコゼットでもどっちでもいいのかな。聞いてるけどそれに対しての感情が浮かばないというか、あんまりなさそう。自分ではないことだけは分かってる。今日も1人。だけど革命ならば、砦ならばついて行けるから、そばにいようと決める。その決意の歌なのかな。エポは革命が何なのか、何をしようとしてるのか分かってないのにただマリウスのそばにいることに縋ってる。うーん、周りのざわついた不安定さから縋り始めてるって感じかなぁ。全部預けるほどじゃないけど、こう繋ぎ合わせてくるとこのパリで生きてるエポの日常ってマリウスの存在が支えだったのかなぁとも思える。何とかそれで生きていたけれど、コゼットの存在とかマリウスとの恋とかで折れかかってる。だってあんなに危機管理能力高そうな子が砦なんて危ない場所に行こうとすることが本当はもうおかしいもんね。危ないとか死ぬかもしれないとかこのときには思考に浮かんでなさそう。もしくは浮かんでるのかもしれないけど見ないふりをして、遠くに思考を飛ばして、マリウスのことだけ考える。ここに自覚があるかもしれないと見えるエポが悲しい。

2幕

「おい、坊や…エポニーヌ?」どうしてこんな危ないところにいるんだ?って心配が覗くように見えた。エポの、場違いね、でもそばにいたいってここにきて初めて素直に本音を言ってるんだね。だけど誤魔化すように心配してくれた?好きなの?がくるから流れてしまうし、このときの笑顔がまた痛々しい。マリウスは手紙は出せないものとして書いてたけど(千秋楽とか特に決意のためかな)これを届けるよう伝えればエポニーヌを砦から出せるし、危ないところに居させたくないと思ってる。思っていいよね?全くそう見えない回もあったけど(本当あの見え方の差面白い。コゼットに手紙を!が全面にくる)、見えた回の妄想で生きていくよ。エポ贔屓のマリウス好きとしてはその解釈が好きなんだよ。そう、だからある意味でエポを想うマリウスっていう見え方が好きなんだけど、それってエポニーヌにとっては全くの逆効果で、でも託されれば頼みには逆らえない辛さと惚れた弱みというか。また折れそう。

手紙を渡しに行くところ。「あなたの娘のコゼットへ」「砦で戦っている男からです」これ、他に言いようがないんだけどなんか聞くと切なくなった。手紙の内容は知らなくても、好きな人が好きな人を想う気持ちが綴られてるものなのは分かるから。砦で戦っている=死ぬ覚悟はやっぱり分かってるか。マリウスは死ぬかもしれない。死を前にしてなお伝えたい気持ちは決して自分には向かないと分かっているけど、最期はそばにいようと思ってる。あそこ渡せ!って言うバルジャン怖いよね。特に光夫さんとか大きくて人相悪いし(失礼)あの高さからあの声出されたら怯むよなと思う。なのに強気で帽子を脱いだら女の子…?って一転優しく扱われて戸惑う。女の子って分かったら優しくなるのかよって思う部分もありつつ、あそこで戸惑うように見えるエポが切ない。可愛がられて優しくされてた頃だってあるのに何でそんなふうに言われるか分からないって顔する。気を付けなさいって普通に言われてるだけなんだよ、大切にされるべきなんだよ。でもされたいのはマリウスにだけなんだよなぁ。もうそこしか見えてないし、望んでない。望んでた過去なんて忘れてしまった。

OnMyOwn。千秋楽がね、とにかく物凄かった。屋比久エポにも泣かされたことがあるし、そもそもこの曲自体が持つ強さがあるけど、その強さを完全に自分のものとして更に感情を乗せてきたんだよ。息するのも忘れるというか、必死に呼吸をしながら引っ張られるのを堪えるように見てた。それでも完全に飲み込まれたと思って、会場全部飲み込んだと思った。♪知ってる〜 からの目が本当に強くて凄かったなぁ。マリウスに惹かれる自分、だけどマリウスは絶対に振り向いてくれない、ひとり、ひとり、ひとり。バルジャンに気を付けなさいって言われるのすら、砦=マリウスのところに戻るのを邪魔されてるように思うのかな。周りみんな敵、のようで悲しい。そんなことないんだよって、誰も言ってくれない。誰に言われても、マリウス以外ではきっと分からない。どんどん頑なになっていくようにも見えるけど、だからこそあの縋るような想いに共感するのかなぁ。観客に愛される役。だけど劇中きっとそれすらいらないんだろうな。

曲終わりに帽子に髪を入れて、バリケードを前に立つ姿が凄く好き。あの後ろからの光でバリケードとエポがシルエットになる絵はレミゼのなかで1番好きかもなぁ。バリケードのなかには入らず下手へ。そのまま下手にいて、アンジョの「伏せろ!」の声でマリウスを庇って撃たれて、ふらふらと上手へ。マリウス、なんで戻ってきた?はいいんだけど手紙は渡せたのか?に父親が出て、で、むっというか微妙な顔するのお前このやろうって感じなんだけど、三浦マリウスのほうがこのやろう度が高かったね。顔に出る若さ。エポのこと何とも思ってないもんなぁ。エポが必死になって言う「倒れそう」がこの先を物語ってるなぁって思う。だって痛いじゃないんだもん。もう痛みを感じにくいくらい意識が朦朧としてきてる。マリウスが抱き留めて、抱えきれなくてしゃがみ込んでいくところ好きだったなぁ。

恵みの雨。マリウスが焦る様子を見て宥めるように「大丈夫」「いいの」って少し笑うように言うのが切ない。切ないけど、もうこれ死んでしまうなって思ったときにマリウスの腕の中にいるの、どんだけ幸せに思ったんだろうね。マリウスがエポの背中から回した手で腕のとこをぎゅっとするの大好きだったし、それに安心したように目を閉じながらマリウスの胸元に顔埋める仕草が本当に好きだった。綺麗に微笑むんだよね。冷たいバリケードのなかなのに、一瞬だけ温かかったんだろうな。エポがスッと先に手を伸ばすところ、マリウスがものすごく弱く指先を包むようにしたことがあって、何もない先にエポには何かが見えてしまっていて、マリウスはそれを悟ったんだろうなって見えたの優しくて哀しくて一層泣けた。あとぎゅって回した手の指先でエポのこと落ち着かせるようにトントンってするのとかも泣いたなぁ。ここのマリウスの仕草、いちいちが好き。ぼろぼろに泣きながら囁くような声で歌う最後の「花育てる」とか、ぎゅうって抱きしめて額に口づけるとか。エポの最期は幸せなんだよね。あそこで向き合ってくれるマリウスで良かった。