Musical ANASTASIA

お伽噺と史実が混ざり合って、王道ラブロマンスでありながら主軸は過去への旅。 その絶妙な匙加減が大好きで虜になった。絶対再演してください!

11日アーニャ:葵わかな、ディミトリ:海宝直人、グレブ:山本耕史、ヴラド:大澄賢也、リリー:堀内敬子

25日アーニャ:木下晴香、ディミトリ:相葉裕樹、グレブ:山本耕史、ヴラド:大澄賢也、リリー:朝海ひかる

客席に入った瞬間、舞台を繊細に縁取る額のなかに青できらきら雪が降っているような光、聖堂とエッフェル塔が映し出されてるのが本当に好きで、思わずわぁっと声を上げそうになった。なんて好みド真ん中!可愛い!可愛い!幕開き前からわくわくするような美術は最高。

第一幕

Once Upon A December 遠い12月

A Rumar In St. Petersburg ペテルブルクの噂

In My Dreams 夢の中で

The Rumors Never End 新たな噂

Learn To Do It やればできるさ

The Neva Flows ネヴァ川の流れ

My Petersburg 俺のペテルブルク

A Secret She kepy 守られた秘密

Stay, I Pray You 惜別の祈り

We'Il Go From There 新たな旅立ち

Travelling Sequence/Still 旅の場面/それでもまだ

Journey To The Past 過去への旅

幕開き、パリに行く祖母とその祖母に一番愛された孫のやり取り。オルゴールの音の細さが豪華なセットを魅せるのに頼りなくて、そこからロマノフの減亡を予感してるのかな。開幕前から評判だった最新映像技術がいきなりとんでもなく飛び込んできて目を見張る。なんぞあれ!?雪も降ってたしガラスも割れたよ!? 舞踏会の場面、ドレスが豪華で素敵だった一。

時は流れてペテルブルクの街中。アナスタシア皇女が生きてるらしい?2回とも気付いたらディミトリいた!ってなって、どこから出てきたんだ?下手?

軍服の山本グレブがあまりにも似合いすぎで違和感ゼロであの人は本当に軍で生きていたんじゃなかろうか。かっこいい。硬派のなかの硬派。なのにアーニャの前で躓く演技が上手すぎてたぶん笑うとこなのに本気だと思ってしまって、ん!?となる。あれ凄いよね。

グレブは山本耕史しか見れなかったんだけど、 山本グレブがアーニャに想う感情が分からなくて結構悩んでる。レポを見るに堂珍グレブはアーニャに恋するって解釈もあったみたいだけど、私は山本グレブからその感情はみえなかったんだよね。ロマノフー家を銃殺する父を見ていたってことは(そう歌ってたよね?)処刑の場にいたのかな。その時点で軍に所属してた?全体的に年齢設定がふわっとしてるから、アーニャも少女とは言われてるけど空白が10年くらいある?と思うと少なくとも10代後半から20代だよね…?それ少女か…?その2人の恋がなしとは言わないけど、大人なグレブと少女なアーニャ、と見えるから恋は感じなかった。なんだろうなぁ、見守るように声をかけてる?言葉に出来る一番近い印象は見守るな気がする。でもそうするとなぜ見守る?ってとこが引っかかる。お役目として釘を差すわりには扱いに丁寧さを感じるし、そこらへんのただの女の子に対しては(ディミトリとヴラドのやってることを告げ口しに来た女の子たち)かなり雑な扱いをするのに、なんでアーニャにだけちょっと線を越すんだろう。”皇女アナスタシア”に生きてて欲しいのか?父の仕事は完遂されていて欲しいんだから、死んでて欲しいんだよね?ここらへんが不思議。不思議といえば、友人として、が唐突に出てくるのもなんだろう?結果グレブの距離の取り方の問題?本当は親しく接したい想いがある?となるとやっぱり惹かれてる部分があるのかなぁ。うーん、でも見えなかったんだよなぁ。しかしあんな抑えた歌唱なのに迫力を感じるのはさすがの上手さだったわ。

ペテルブルクの街中の話に戻って、アナスタシアを見つけたら大金が手に入るぞ!ってわくわくしてるディミトリとヴラドはとっても可愛い。あのオルゴール!って思うのもお決まりのラインなんだけど嬉しい。それ、大事だよ、ディミトリ!11日の海宝くんがオルゴールを受け取り損ねて結構な勢いでゴロンゴロン舞台上転がっちゃったんだけど、あわやオーケストラピットに落ちる!ってところで無事にキャッチ。あそこ、その日が初見だったうえにちょうど見てた位置のせいか転がっていったオルゴールにパッと照明が当たった気がして演出かと思ったんだよね。それにしては海宝くんが慌ててるなとは思ったんだけど結構まじでハプニングだったんだとあとで知る。そりゃ焦る。

アナスタシタに仕立てる女の子のオーディションをするシーン、街中でディミトリが一目置かれてるんだろうなぁって分かるし、その顔じゃなかったら訴えてるとこだわ!って言われてるの、海宝くんも相葉くんも説得力ありすぎて笑った。そうだよねー、顔が良いから許すってとこ、あるよねー。 アーニャがやってきて、最初はさくっと追い返そうとするディミトリが普通にヒドくて面白い。ヴラドのほうが紳士。女の子には優しくしないとね。でもあんなにぶっきらぼうなのに水とか持ってきてくれる優しさはあるんだよなぁ。憎めないよなぁ、ディミトリ。そこからの、あれ?この子、良いんじゃね?ってにやっと企む2人のお茶目さにニコニコしちゃう。途端に態度が変わる分かりやすさ、キライじゃない。Learn To Do Itの3人とか本当可愛くて大好き。あれは?これは?ってちょっと偉そうなディミトリに、何よ!って向かってくアー二ャ、緩衝材ブラドに癒される。社交ダンスするとこもめっちゃ好き一。相葉ディミトリが足引っかけて「ごめんなさい」って言うのが素っぽくてすごい可愛いのにそのあとのエスコートが男前すぎてずるかった。海宝ディミトリは黒板ひっくり返すときに当たるのが上手すきて本当に当たったかと思ったわ。頑張ったご褒美だよ、ってオルゴール渡すのここのあとだっけ。ディミトり優しいじゃん!ってなる。かわいい。「壊れてるんだけどねー」って言っちゃうあたり笑ったけど。すんなり開けられちゃうアーニャに、え?ってするのもかわいい。こういう、あまりにも分かりやすいシーンなんだけど、不思議といやな感じがせずに挟み込まれるところが好き。

My Petersburgの前の街の男たちに絡まれるとこ、行くぞってアーニャの手を引くディミトリ好きだったなー。でも喧嘩になると余裕でアーニャのが強いの。最高。晴香アーニャよりわかなアーニャのが強く見えたかな一。わかなアーニャ最強伝説。なんでだろうなぁ。ロシアの半分歩いてきたの!に物凄い説得力があった。何の違和感もなく、あ、そうだよね、歩いてきたんだよねって思ったもん。あの容姿を逆手に取るお芝居の上手さ。本当キャストみんな歌唱と演技のバランスが良かった。

そのなかでも私がダントツトップでとんでもねぇもん見た!!!と思ったのが海宝くんのMyPetersburg。本当に凄かった。上手いのなんて知ってるし、最初はFNSで歌ったやつだーくらいのテンションで聴いてたのに、溢れ出てくるエネルギーがあまりにも強くて圧倒されて、でもそれで呼吸おかしくなるとかじゃなくて、めちゃくちゃ光りを感じた。圧倒的陽!で、気付いたら歌ってること全部映像で見えてた。あれ本当何?小っちゃいディミトリがペテルブルクの裏路地走ってたよ。あまりの体感にうわぁぁぁぁってなって、全然泣く曲じゃないのに途中からぼろっぼろ泣けてくるし本当不思護な体験だった。というか今だにMyPetersburg聞くと反射で泣けてくるからこわい。圧巻。ラストのロングトーンから会場の熱量えっらいことなってて物凄い拍手だった。あれは気持ち良いだろうなぁ。本当に凄かった。

アーニャがダイヤを取り出すところ、あなたのこと本当に信じてたわけじゃなかったの、って告白するのが良い子だよなぁと思う。きっとディミトリから家族はいないよ、自分で育ったんだよ、って話されたのがすごく響いたんだろうね。ディミトリ、本当にあの手この手で生きてきたんだろうけど、荒んだ感じがないところがいいんだよな一。お父さんの教えと愛情が核になってて本当に大切にされてる。まぁ、でもパリに連れて行けないよって後ろめたくへこんでたところから、ダイヤ取り出された瞬間になんで隠してたんだよ!って言いながら「これでパリに行ける!」ってコロッと態度変わる単純男子ではあるんだけど。うん、嫌いじゃない。ヴラドとアーニャがこれをする!あれをする!って駆け出し始めるのに、ん?え?あれ?おれ?って軽くきょとんとしてみえたのは可愛かった。勢いに押されてる。

駅から列車に乗り込むところ、この国には、祖国には戻らないって寂寥というのかな。スっと静かにみんなが色んなことを想うあの瞬間。国を出たい、本当は出たくない、だけど行かなくてはいけない、色んな想いで振り返るように立つ姿が印象的だった。Stay, I Pray Youだけ楽曲の印象も違うもんな。もうこの土地に、生まれ育った場所に帰らないかもしれないってどんな感情だろう。哀しいじゃきっと足りない。

乗り込んでからの列車のシーンは楽しくて大好き。あの映像も綺麗だったなぁ。窓枠を模した?柵に足かける相葉ディミトリ、足長すきて嘘だろ?ってなった。いや、本当に足長いな?列車飛び降りて逃げるとこは一番踹躇ないのがアーニャなのがさすがすぎて笑った。そうだよ、そうやって逃げることで生きて来たんだもの。あと10kmだろ?(5kmだっけ?)って言っちゃうディミトリも好き。基本的にここの2人清々しいほど逞しい。余裕余裕!行くぜ!あの地図の映像も好きだったな一。それから一幕ラスト、Journey To The Pastの前に「エッフェル塔だー!」ってはしゃぎながら「アーニャも早く来いよ!」っていうディミトリも好き。もうどんどんディミトリの好きが積み重なる。

Journey To The PastもMy Petersburgと一緒で最初はFNSで歌ってたやつだ!ってなったんだけど、ここまで通ってきたストーリーが乗ったことで全然違うように聞こえた。期待と、怖さと、それでも進む強さ。Home,Love,Family 今、自分の手の中にないもの、だけどこれからきっと出会えると信じていること。この話は3つを同じくらい大切に思って、同じくらい物語のなかにちりばめてるところが好き。わかなアーニャの勝気で絶対見つかる!って強さも好きだし、晴香アーニャのどうなるか分からないけど信じるって伸びやかさも好き。

 

第二幕

Paris Holds The Key パリは鍵を握ってる

Close The Door 扉を閉ざして

Land Of Yesterday 過去の国

The Countes And The Common Man 貴族とただの男

A Nightmare 悪夢

In A Crowd Of Thousands幾千万の群衆の中

Arriving At The Ballet / Meant To Be バレエに到着/ヴラドの後悔

Quartet At The Ballet バレエでの四重唱

Everthing To Win すべてを勝ち取るために

The Press Conference 記者会見

Finale フィナーレ

物語の舞台がパリに移って、パッと明るくなる。Paris Holds The Keyでがらっと衣装が変わるのが良いんだよねー。アーニャが真っ白のお洋服で髪アップにしてるのはお姉さんになった感じだし、ディミトリもカジュアルなスーツでおしゃれさん。ここの群舞好きだったなー。これからの出来事にわくわくする感じ。ヴラドがリリーのところに出かけて行くのを見て、ほんとに伝手あったんだ!って思ってごめん。実はそこも詐欺の一部なのかなって思ってた。あ、でもそもそもその伝手があるからアナスタシア探し始めたのか、この2人。我ながらふわっと見てんなぁ。ディミトリがヴラドを助けたのは、なんでか分かんないけど!ってディミトリが言ってたけど(結果お人好しが滲み出ちゃうんだよ)、そもそもヴラドは何しでかしたんだ?そこらへんの細かいとこが分かんなかったなぁ。歌ってた?

明るさから一転、皇太后様のシーンはロシアに戻ったような仄暗さ。基本憂いてるし我儘なことに自覚があるのはいいんだけど、それにしても暗い威厳漂いすぎてて凄い。麻実さんさすがすぎる。リリーは皇太后の前ではきちんとお仕事してるし、もちろん色んな事情を飲み込んでるんだけど、クラブ?でパンッと弾けてパァーっと歌ってる姿が抜群に素敵だった。ここの堀内さんが無茶苦茶良くて、あれもすごい拍手だったなー。あんなに会場飲み込めちゃうんだ!って思ったし、一気に連れていかれちゃったもん。ヴラドがこそっと入っていって一緒に踊り始めて、顔を合わせたリリーがキャー!ってなるのも可愛かったー。なんやかんや文句言いつつヴラドに会えて嬉しそうなの透けて見えるし、ヴラドも尻に敷かれる感出してご機嫌取るの満更でもなさそうだし。手を取り合ってガンガン踊るのに途中ぜぇはぁして、年取ったわね、なんてしながらあんな風にやり合えるの理想かもしれない。最終的に紳士ヴラドが好きなんだよなぁ。禅さんも見たかったな。

アーニャが夢の中で昔の記憶を見て飛び起きるところ、ディミトリが駆け込んできてアーニャを落ち着かせようとするの好きだし、「ここにいて」って縋るアーニャをしっかり掴むディミトリにときめくし、なのに我に返ってパッと離れる2人の距離感がいじらしくて可愛い。こういうとこで簡単にベタベタいかないとこが好き。でもきちんとお互いに信頼というか、許してる部分があって、それが俺のペテルブルクからの流れにあるのが分かるんだよなー。ここで昔話を始める流れも大好き。ディミトリの語る皇帝一家のパレードは本当に華やかな光景が浮かんだ。そのなかで思わず駆け寄って名前を呼んだアナスタシアは本当にキラキラしてたんだろうし、笑った顔が輝いてたからこそ、咄嗟に頭を垂れたんだろうな、って。あそこで話の視点がアーニャに変わって、覚えてる!ってところから、2人の出会いが重なっていくの本当にお伽話として最高。今2人が一緒に居ることが嬉しくなる。でもだからこそ、ディミトリが本当に皇女なんだ、と気付いて、口づけの寸前までいくのに「皇女様」と跪くのが悲しい。

太后に面会するために向かうバレエ。正装した相葉ディミトリは相変わらず足が長すぎて目を疑う。いや、ほんとに?靴紐を結びながらアーニャを待つところ、ヴラドがディミトリに本当に皇女なら1人の青年の恋が叶わなくなるな、みたいなことを言ってディミトリが「え?」って返すんだけど、海宝ディミトリは本当に「え?」って恋に自覚がなさそうに見えて(あのキス未遂は雰囲気でいっちゃったんだよ的な)、相葉ディミトリは分かってて「え?」って言ってるように見えた。ここ、めっちゃ内海ディミトリで見たかったシーンなんだけど、絶対ぶっきらぼうに「え?」って言っただろうし、隠したいと思ってんだろうけど隠せてないよ!になった気がしてて、1番キャー!なやつだったと思うんだけどどっかに映像はないのか!見たい!そこからの正装したアーニャに見惚れるシーンなんて最高じゃないか。青ドレス綺麗だったなー。晴香アーニャ×相葉ディミトリはスタイル抜群のモデルカップルだったし、わかなアーニャ×海宝ディミトリは身長差が理想的でめっちゃ眼福だったんだ。

バレエが本当に本格的にバレエで思わず見入っちゃったんだけど、アーニャ、ディミトリ、グレブ、皇太后の四重奏は迫力満点だったなー。そもそも迫力だけでいったら皇太后さまが黒のドレスで現れたところで全てもっていった感あったんだけど。ここまで以上の威厳が醸し出されるって本当どんだけの存在感なの麻実さん。グレブはスーツより軍服派です。スーツだとなんか紛れちゃうんだもん。紛れるように来てるから間違ってないんだけどさ。父の仕事に縛られながら、湧いてきた疑問を押し殺しながら、任務を遂行しようとするグレブだってもちろん正しいんだけど、この行動は間違ってる、今更しなくてもいいんじゃないかと認めてアーニャを殺さずにいてくれたこと、父の息子ではなかったと言った言葉は辛かったけど、自分が思った事実を受け入れようとする姿勢に見えた正しさが良かったな。

「ナナ」と皇太后を慕うアーニャは可愛かったし、家族を取り戻したハッピーエンドでももちろん良かったと思うけど、そこで満足しちゃだめよってお話をもっていくの良かったなぁ。あれだけ憂いてふさぎ込んでいた皇太后が、ディミトリが報奨金を受け取らなかったことをアーニャに伝えて、素敵な相手ね?って背中を押してくれるの大好きだった。あそこで溢れてくるおばあさまの優しさはオープニングで「覚えておいて?」と言ったおばあさまに通じるし、アナスタシアにもう一目会えたという充実感から少し茶目っ気がみえるのも良い。駆け出すアーニャに、アナスタシアを探すことを辞めると宣言する皇太后はどちらも強くてしなやかで素敵な女性だなぁ。

ぶらぶら歩くディミトリに、真っ赤なドレスで追いつくアーニャ。「初めてのキスは」って言いながら詰め寄るアーニャと、え?え?ってなるディミトリほんと微笑ましい。ディミトリ、基本主導権持ってたいからアーニャが突っ走るとだいたい翻弄されるんだよね。カバンを踏み台にして、身長差が逆転して、「ディマ!」ってほんっっっと可愛い!!!あの身長差逆転に弱いよー。絶対好きだもん。抱きとめてくれるっていうアーニャからのディミトリへの信頼が大好き。ディミトリが嬉しそうな表情になるのも最高。そこからちぐはぐな恰好で腕を組んで歩き出す2人はとってもめでたしめでたしだけど、大人になるとみえてしまう新天地のパリでどう生きていくのかな?でもこの逞しい2人なら大丈夫かな?って不安みたいなものが絶妙に切なく残るエンディングが良かった。