蘭兵衛さんが好きだという話。

公演の感想書いてたはずなのに、あまりにも蘭兵衛話ばっかりになったからもう別にしてやれ、と思いまして。7月8日ソワレを観てからのお話。

 

もうね、とにもかくにも早乙女蘭兵衛の2幕の迫力が尋常じゃなかったの。最後の天魔王との斬り合いのところ、あんなに叫び声あげてた?不意打ちで斬られてから応戦して、あと一太刀ってところまで天魔王を追い詰めるのにそこで刀を振れないんだよね。あの、悲痛な絶叫。「生きよ」と逃がされた花は、太夫たちと出会って、救って、救われて、無界屋を作り上げてきた。だけど、その胸にはきっと殿への想いがずっとあって。先に逝かせてしまった、死に目に会えなかった。だから、殿から天の意志…遺志?を継げと言われた天魔王を斬れるはずがなくて。そう思うと蘭兵衛は、天魔王に殿しか見てないんだなぁ…。人の男である、小姓として一緒に仕えてたであろう者としては、全く見てない。天魔王にあそこで告げられる遺言を逃がされた直後、殿が逝った直後に聞いていたら、もっと、無界屋蘭兵衛として生きられて、森蘭丸を封印出来たのかな。髑髏城を見に行ったり、乗り込まずに、太夫たちと生きる道を模索したのかな。もう、斬り合いから、天魔王をかばって倒れて、所詮、外道だ、来い、太夫って選んでしまった天魔王を裏切るという選択が絶対にとれないからこそ、悟って、諦めて、叫ばれる、あの「来い」に圧倒されて、引き込まれて。凄い感情の乗りかただった…。太夫に撃たれて、殴られて、それでもそっと手を添えてくれる太夫に涙して、シーン展開でスクリーン閉じられたところでやっと息がつけた。止まってたらしい。

 

夢見酒の口づけは結構手を振り払ってて、あれ?前回何見たんだ…?と思い。というか、その前の殿の面を渡されたところでもう堕ちてるなぁ、と。この蘭兵衛さん、絶対抱かれてるよね。あんな風に自分が触れられてたんでしょう?相変わらず血糊がとても綺麗。そしてそのあと天魔王の横で、刀にもたれて座り込んでる姿がやばい。あれ、どう表現したらいいんだろう。すみません、そのままください。

 

殺陣シーンは相変わらず目が足りないし、頼むから全部スローモーションで見せてくれ、と思うけど、少しずつよく見れるようになってきたかなぁ。

一幕の天魔王と初めて遭遇するところでね、刀を握り直すのに右手を大きく開くの。初めて気付いたんだけど、その手が!そのぐっと開いた手、すごく好き!で、そこから手に注目してたんだけど、二幕の無界屋襲撃のところかなぁ。今度は手を振って持ち直すってところが見えて、それもすごく好き…!ってなった。無界屋襲撃のところ、ほんと気怠げに斬っていくんだよね。だから、あー疲れたな、って感じもあるのかなぁ…だるそうに手を振るの。なのに太夫を狙ってる目の動きはすごく鋭くて、太夫見ながら他の人斬ってたりするのが本当にずるい。斬り捨てた女の子に手を置くのとかね。ちょっとは罪悪感とかあるの…!天魔王なんて横で荒武者隊を刀で突いてたりするから全くないんだろうけど。子供か。

 

穏やか蘭兵衛さんも大好きなので、一幕の少吉が出てきて兵庫に帰るぞ!ってしてるところ。女の子と談笑してたり、太夫の肩に手をかけてみたり、その仕草たまりません。そんな、何の躊躇もなく太夫に触れたりするの…!顔寄せるの…!って。早乙女蘭兵衛と松雪太夫は、お互い助けられて、救われたって同じくらいのベクトルで思ってるのかなぁと思う。山本蘭兵衛とりょう太夫だと、りょう太夫のほうが想いが強そうで、だからこそあの儚さが良いんだけど。りょうさん本当好き。松雪太夫ももちろん儚いんだけど、そこから見えるしなやかな強さがあるというか。それは、早乙女蘭兵衛の地に足ついた感じからもきてるのかなぁ。この人たち「生きて」きてる。一緒に。

 

カーテンコール、一幕ラストから二幕最初に来てる白に赤い彼岸花の着物着てるけど、あれ、本編で着てるのと別物だよね?本編のだと口説きあとだから血糊ついてるもんね、ってところもそうなんだけど、中の生地の色が、本編のは萌黄色なんだけど、ここ、萌葱色っぽく見えて。あんまり翻ってくれないから確かじゃないけど、色が違う気がするんだよなぁ。で、ポスター撮影レポートを見返してたら、このとき着てるのがカーテンコールのかな?と思った。色が濃い。個人的には本編の明るい色のほうが好みです。パッと映える。

で、相変わらずハケる速さに定評のある太一くんですが、今日はそうでもなかった?むしろ、2回目かな?阿部さんと笑いながら話して出てきてびっくりした。穏やか蘭兵衛さんの挨拶にならないかなぁ。鳥蘭兵衛さんはそんなに仏頂面してるとこないと思うんだよ。結構感情表現豊か。隠してること、言わないこと、言いたくないこと、たくさんあるけど、それを補って穏やかにいられる人。いや、蘭丸になってからも好きだけどね。