6月に起こった楽しい考えごと

全く面白いと思ったことがなかったレミゼに堕ちた話と、面白そうと思っていたマタハリに肩透かしを食らった話

 

レミゼの話
映画、児童書、ミュージカルと見て全く面白いと思ったことがなかった。映画はアンハサウェイが綺麗すぎた印象しかないし、ミュージカルを観るために予習として読んだ児童書からはコゼットは何もしてないのに結果として良いとこ取りなの何なの?としか思わないという捻くれっぷりで実際観たミュージカルからもその印象しかなかった。そもそも何の話なんだこれ?「この話のなかに、貴方がいる」これが分からなかった。誰に感情移入してもいい、どこかにいるでしょうって言われて、いや、全然いないし、分からない。強いて言えばエポニーヌのいじらしさみたいなところは好きだけど、それをサラッと掻っ攫っていくようにみえるコゼットが憎い。で、この見方しか出来ない自分がイヤになったし、キャラクター的にマリウスは好きそうなのになんだかハマらない。いやお前仲間と行く以外の選択肢あるのありえないでしょ。なんか、面白くない。何も残らない。これが、2019年の印象。
こんな印象だったのによく行ったな?2021。チケットを手配してもらったっていうのもあるんだけど(そういえば自分では見たい子チョイスしたら1公演もなくて最初のチケ取りやめたんだ)ふうかちゃんのエポニーヌが見たかったのと、好きな子=いろはちゃんでコゼットを観たら変わるんじゃないか?っていうのが合致したので帝劇へ。そしたらビックリした。コゼット、変わるどころじゃない、無茶苦茶良い。凄い。印象が全く違う!いろはちゃん、なんて可愛い声でなんて素敵な芝居をするの。そこに居るコゼットにストンと納得した。可愛い!可愛い!で、そのコゼットに恋するマリウス、それはそうだ。恋しかない。それは恋する。内藤マリウス、めちゃくちゃ良いんですけど…?1幕でちょっと動揺するくらい良かった。この話、こんなに面白いんだ…!?もともと好きなエポニーヌのふうかちゃんも抜群に良いし大勝利すぎる。なんだこれ。そしてそこからの2幕。内藤マリウスさぁ!?エポに庇われたの気付いてないじゃん?全部悟ってるエポを前にしてこの子なんで倒れてるんだ?え?大丈夫だよね?え?え?ってだんだん焦っていくのが見えたし、同時に呆然としてるし、情緒ぐっちゃぐちゃじゃん?なのに必死なエポに向き合おうとするのギューってなった。えらい。エポの最期は幸せだった。そこから泣き崩れて、蹲って、でも持たされた銃を持ってやけくそのように砦に上がるのさーーー!お前ーーー!もうちょっと好きしかない。好きしかないぞ。これはやばい!ってしてたら砦は落ちるしジャベールは死んでるし結婚式のウェディングドレス可愛すぎでは?って片隅で思った気はするんだけど気付いたら終幕してた。ちょっと待ってもう1回!!!嘘じゃん、レミゼが面白いと思うなんて自分で一番びっくりした。

この動揺と、何が良くて面白いと思ったんだろうって話と、マタハリに肩透かし食らった話が表裏になるんじゃないかなぁと気付いて、それがたぶん今の私が劇場に行ってミュージカルに求めるものなんだと思う。
歌が上手い、聞き取れる、なんていうのは音程を外さないのはマナーと言った藤岡くんが大好きなように、前提としてお金取ってんだし当たり前だと思う。でも上手いってなんだろうね。そこの基準は分からない。私の好みは歌から何かが見えること。歌われた情景、光とか影、感情とその強さみたいなもの。それとストーリーがバチッとハマったときに好き!!!ってなるんだと思う。その瞬間があるかないか。これまではそもそもの話が好きじゃないとそうはならないと思ってたんだけど、今回全然好きじゃないと思ってたレミゼでめちゃくちゃ見えて、しかも見えたら面白いに繋がったから、なんだこれー!?って驚いたし、嬉しかった。面白いと思えるものが広がる感覚はなんて楽しい。だから考えて残しとこうと思ったんだけど、本当出会いって一期一会だなぁ。だっていろはコゼットと内藤マリウスじゃなかったらきっとこうはならなかったし、内藤マリウスのエポニーヌの最期から見えた感情が良すぎた。そこはやっぱりお芝居の要素なんだと思うんだけど、乗せてくる感情が本当繊細で追いたくなったの。1人追い始めたら解像度が上がるし、上げるために色々するからより楽しくなる。今回は原作読み飛ばして漫画読んだら話そのものの流れが大きく分かってストーリーの追い方が変わったし、学生とパトミネに関してはメモ書き作ったからこれ参考に舞台も見たいんだけど全く目が足りなくてプリンシパルでいっぱいいっぱい。だからまずはマリウスとアンジョルラスを極めたい。木内アンジョめちゃくちゃ好きだった…かっこいい…。
そんでこっからマタハリの話なんだけど。話好きそう、キャストも好きな人が多い、これは面白そう、と期待したぶんだけハマらなくて結果肩透かしみたいになった。なんでだ?そもそも幕開きのアンサンブルの歌が全く聞き取れなくてテンションがダダ下がるという会場問題、2階から見たときの舞台を使いこなせてないようにみえる空白の演出、からラドゥー大佐が全然分かんないんだよな?ってところかなぁ。低音聞き取れない問題はフランケンシュタインもそうだったから、それだけでハマらないってのはたぶん可能性として低いんだけど。低いけどテンションは下がる。さすが悪名高きブリリア。洗礼を浴びたわ。
そんでラドゥー大佐、分かんなかったー。たぶんこれが悲しかった。ダブルで方向性が違うのは分かったし、どうしようもなく惹かれて狂ってくって型というか枠みたいなところは共通してるんだなと思ったんだけど、この、どうしようもなく惹かれていくって導入が弱く感じた。どこでそんなに惹かれたの?ここが2人とも見えなくて、それよりそんなに部下を死なせたくないって真正面から受け取ってたら壊れるよ?ってところが強くきちゃったから、なんでそんな優秀なのに明らかに仕事としてスパイなんて出来ないマタに縋るのよ、って思ってしまった。でも色んな感想とか拾ってるとそれぞれの過去とかマタとの関係とかをものすごく分かりやすく言語化してる人がいて、受け取れるものの違い…!って衝撃を受けた。分かんないもんは分かんないじゃなくて、受け取りやすいチャンネルというか、波長?そういう部分の合う合わないが、それこそ作品・役によってあるな…?って気付いた。だってフランケンシュタインとかファントムの和樹は分かったし、エリザベートの万里生さんも分かったもん。分かった、と思った過去がある人たちだから、分かんなくて混乱したんだなぁ。面白い。

 

こんなことをぐるぐる考えて納得して楽しんでた。しかしこんな風に言語化したら、今度はそこに引っ張られるんだろうね自分、って思って、めんどくせぇな!って笑った。