髑髏城の七人Season鳥

全75公演、千秋楽おめでとうございます!
こんなに楽しくて、面白くて、いっぱい泣いて、出演者全員好き!どこのシーン切り取っても大好き!ってなる舞台はもう出会わないんじゃないかな、と思うくらい。この2か月間本当に幸せでした。ありがとう、鳥髑髏!大好きです!
 

 

 一幕

  •  オープニング

場内にかかってたBGMの音が止んで始まるジューダス、客席が赤い照明になるのが「新感線きたぁー!!」感満載で何度体感してもアガる。これこれこれ!照明が赤→明るくなって→青の変化。明るくなったときにきょろきょろしたくなる気持ち、めっちゃ分かる。青から暗くなってスクリーンに映像投影開始。この最初の髑髏、途中から短くなった気がするの、気のせいかなぁ。山が盛り上がって、ぐぅーんと動く感じ、これが出来るのはステアラだけ!あれで一気に髑髏城の世界に引き込まれる。

  • 関東荒野

最初見たとき、真ん中の誰…?って思ったのは秘密です。妙声に「若い女見かけなかったか~?」って聞かれて、フルフル首振る捨之介めっちゃ可愛い。ぼろ布かぶって隠れちゃいそうなちっちゃさ。いきなり「バカヤロー!」って叫んじゃう沙霧もとっても良いです。綺麗な顔して結構言葉遣いが荒い感じ、たまらんです。
舞台はここから始まるけど、その前を想像をするとうつけの振りをしてる捨之介が積極的に沙霧にここに隠れなよ!とはしなそうだから、逃げてる沙霧が捨之介のところに駆け込んであの態勢になったのかな?「黙っててくれてありがとう!」って言うもんね。でもきっと、髑髏党に追われてる女の子、っていうのは捨之介のなかでは引っかかるポイントだろうし、接触しておこう、って思ったのかな。この時点では“守る”ではない気がしてる。絵図面とか熊木衆とか、このあとの会話で出てくるところで知るのかな、って。布巻いてたりするあいだ、渡京が話すポイント、ポイントで手を止めててあぁ、あの背中は話を聞いて、そういうことか、って考えてたり、沙霧の行動が腑に落ちてたりするんだろうなぁと思った。熊木衆の沙霧、髑髏城を知る女の子。天魔王を知ってる捨之介は、このままこの子を放っておくのは危ないと判断して「待って~!」と追いかけるのかな。殺させない。誰も犠牲にしない。

おにぎり手に引っ付ける妙声さん、ほんとお間抜けで面白いし、そもそもそこでおにぎり貰わないよねぇ!?からツッコミ始めると止まらない。鉄機兵、おめぇもだ。天下の髑髏党が~って渡京が言ってるのに拾うな!いい人か!あれ、投げるモーションの直線上にいるとより楽しかった。わぁわぁする髑髏党と一緒にキャッキャッとする沙霧もめっちゃ可愛くて。覗き込んでぴょんぴょん!ってして、近寄ってきたときにはやめてやめてー!8月入ってからかなぁ、妙声さんが捨之介に投げようとするところ「Bomb!」って効果音つけ始めたの可笑しかったな。
「今度は本物だ」から名台詞「浮世の義理も、昔の縁も、三途の川に捨之介!」
「よ~く覚えておきやがれ!」でタイトルバックが映るの本当にかっこよかった。初回からあれを真正面で見られて本当に良かった。ものすごい鳥肌立った。そしてそこからの逆手殺陣!忍びの者って設定を前面に出したからこその、身軽に飛び跳ねながらの殺陣。ニヤっと笑いながら斬るかっこよさよ。そしてその納刀が本当に好きで…!「あっけねぇ」って嗤う強さね。そしてうつけに戻る落差。凄い。

  • 無界の里

スクリーンが閉じて、客席の回転。この始めだけは、おぉ!動いた!ってなったな。真っ赤な柱の派手な無界屋。バッと暖簾をくぐって入ってくる狸穴二郎衛門。ちっちゃくてたまに見落としてたなんて秘密だよ…。というか、見切れるんだよ…。
太夫登場でショータイムスタート。あの青?紫?ベースのお着物ほんと綺麗。そしてセンター前まで出てきたときの美人さの迫力ったらない。無界屋ガールズ6人では、水色の着物着てる子と、黄色い着物着てる子が好きです。美人さんとかわいこちゃん。名前が結局ちゃんと分からなかった…。おりえとおりか?
ここのダンス、最初見たときはこれから揃ってくのかな?と思ってたんだけど、最後までいい感じにバラけてたね!ってなりました。そうだよね、手の位置とか足の上げ方とか首の角度とか気にしないよね!そしてここのショータイムのあいだ、二郎衛門さんが笠持ちながらふん♪ふん♪ってノリノリで左右に揺れてるのがめちゃくちゃ可愛かったんだ…!

源右衛門の騒動でばたばたし始めるとき、全く動じずに煙管持ち続ける太夫が素敵。見得を切る音の入り方と太夫の動きがばっちりで、見てて本当に気持ちよかった。あとはおるつが沙霧をかばってたり、男衆が女の子たちを庇いながら「いく?どうする?」ってタイミング図ってたり、結構みんな色々してて、色んなとこ見てるのも楽しかったなぁ。もちろん太夫の脱ぎっぷりも。何回か、肩甲骨全部見えるくらいまでがっつり脱いでるのを目撃出来て本当に眼福でした…美しい…ありがとうございます…ごちそうさまです…。「おやっさん!」って呼ばれる兵庫も、最初は違和感があったんだけどこのあとのストーリーを考えるとすごく好きになった。「脱ぐ!脱ぐんです!」ってばたばたしてるの面白いし、脱ぎ脱ぎすっぽっぽーん♪の捨之介に全部もってかれるのもある意味オイシイ。捨之介ちゃん、お歌が上手だよ。そしてガールズ、ノリ始めて踊り始めるの早いよ!最後のころに初めて気付いたんだけど、おゆうまで手の振りやってて、お前、状況思い出せ!?ってなった。いや、踊りたかったのね。うんうん。二郎衛門から荒武者隊から沙霧までみんなで踊るの楽しかったなぁ。そのあとで兵庫からの攻撃、ぜーんぶさらっと避けちゃう捨之介もさすがの身体能力。あれ、兵庫が殴ってるようで捨之介の足が兵庫に入りっぱなしっていうのが可笑しくて仕方なかった。むしろ兵庫はその姿勢、痛くないのか。で、このへんの沙霧が、ずーっと捨之介のほうを見ながら、うーん?ってしてて、お口むにゅむにゅ、ほっぺたぷくぷくさせてるのを目撃したときはなんて可愛いの…!ってなった。そのお口むにゅむにゅは、だめ…!

柱のところで縮こまって、寒い寒い…ってしてる捨之介は可愛いし、「寒いのか?」って聞く二郎衛門さんは、笠で扇ぎ始めるヒドイ日と男衆に早く上着持ってこいってする日と、ちょこちょこバージョンが違ったかな。あの上着、捨之介が脱いだあとに、うっかり受け取っちゃった男衆が、え?ってしながら畳んでおいてくれるんだよね。優しい。二郎衛門さんが捨之介にお酒を注いでくれて、2人でちんまり飲んでるのも可愛かったなぁ。あのサイズ感、いとおしい。
「ごはんを先に…」の沙霧に乗っかって「おれもー!おれも!」って捨之介が来て、おゆうとおるつに迫っていくのは、日を追うごとに距離が近くなってて面白かった。勢いもだいぶプラスされたよなぁ。
二郎衛門さんの「三界に枷なしのやせ浪人」って手を目一杯動かしながらする自己紹介が大好きでした。笠パッってやるのも、手で波作ってうねうねするのも。大概ここの無界屋シーンの二郎衛門さんの動きは可愛いんだよ。

おるつの紹介する「若くてめんこい娘っ子」5人がにこってするのも好きだったし、「3日で飽きる!」ってされたときの「ちょっとぉ!」も可愛くて。あそこの太夫とガールズ5人が並んで「この無界の里で選ぶのは女だ」って腕組みながらふんって粋に動くのも好きだったなぁ。「いらっしゃいましー」も。おるつが荒武者隊に鉄拳下すのも、最初はひゃあー!って感じで見てるのに最終的にもっとやっちゃえー!なガールズたち、強い。二郎衛門さんもファイティングポーズとって動いてたけど、あれって最初からしてたのかな?途中で気付いたんだよなぁ。「太夫は高嶺の花」ってしてるときは、おひげ直したりしてる可愛いおるつが、「生き地獄の苦しみもご存知だと~」のところでスッと視線を下げるのが好きで。あぁ、一緒に、生きてきたんだなぁ、と思った。一緒に、生き地獄を、生きてきた。

  • 無界の里裏手

沙霧を追ってきた捨之介が、沙霧が何をしているのか一瞬で悟って、さっと横で一緒に祈りを捧げて、花を手向ける。それに対しての沙霧の「ありがと」のトーンがすごく好きだった。
髑髏党が入ってきたところ、しっかり聞いててどう動こうか画策しているのがあの背中で分かる。沙霧が傷つけられないように、真ん中突っ切ってくんだよね。で、きっと、物陰に行ったタイミングで蘭兵衛が帰ってくるから出てこない、のかな。ここの蘭兵衛さん、見切れなく観れるのに3回かかりましたよ…。
最初のころは確かに徳利は持ってたけど、そんなに酔っぱらってなかったのに7月中旬くらいから、みょーうに ちぃしおが さ~わぎだすっとぉ~♪ってむしろ妙な節だよ!ってのがつき始め、足元ふらふらの千鳥足になり、灯篭にがたっともたれかかるほどになり、さらに呂律は曖昧、あげく吐くってこれ書き出すととんでも主だな、おい。にもかかわらず、徳利、刀、槍、煙管、木の枝、お地蔵さんまで使った殺陣は千鳥足の名残で体よろめきながらなのに、めちゃくちゃ速いし、殺傷能力も高い。違う意味で、やっぱり、とんでもない。あの槍を飛ばすの凄かったな。ズバッといく日と、よろめく日とあったけど明らかに後半のほうがよろめくことが多かったから、酔っ払い度との比例なの?野心に生きるは〜の台詞がここに入るのは結構好き。過ぎたる我が身の忘八稼業、の声が強いことが多かったなぁ。1回だけ、女に生きるはうぶすぎる、が、いや、めっちゃ慣れてそうです…!って聞こえたことがあって、あれはたまらなかった。女慣れしてる蘭兵衛さん…。しかし最後のお地蔵さんでチーンって音が入るのは笑ったー。最初見たときはこの名台詞をそう使いますか…!しかも早乙女太一で!?って、ワカ蘭兵衛さんからのあまりのキャラ変にびっくり。王道をバーン!とやるのも新感線だけど、定番をガッシャーン!とするのも新感線。粋じゃねぇよな。…いや、粋だよ。うん。ある意味。

蘭兵衛さん大好きポイントその1は、ここの指笛から「お前たち、戻ったぞ」の穏やかな声色。すっごい好き。一時期「戻ったぞ!」って強い時期もあって、そっちも強い主人で良かったんだけど穏やかに戻ったときは嬉しかったなぁ。この蘭兵衛さん優しいんだよ。太夫の肩ぽんってしたり、腕に触れたりするのも、そうすると安心するって思ってるのかなって。穏やかで気遣いの出来る人。沙霧と話をしながら上向いて笑ったのもはじめはびっくりしたけど、とっても感情表現豊かな蘭兵衛さんなんだよね。
「昔、もっとすごい城を見た」のニュアンスもちょこちょこ違って、昔を懐かしむ感じ、思い出して切なそうな感じ、色んな感情がこもってた。捨之介が戻ってくるのには、なんであんなに驚くのかな、って思うけど。生きてるって思ってなかったのかな…生きてても、自分の前には現れない、と?殿に仕えてた時代、親しかったのかなぁ。たまに帰ってくるお兄ちゃん的な?

 

  • 関東荒野

天魔王様登場。とりあえず言い続けていきたいのは、イグザクトリィなんて、はじめは言ってなかったんだからな!ということ。2回目観に行ったときに突然イグザクトリィ、バット!、ナウ!とか言われて本当にびっくりした。え、これ、笑っていいとこ!?なんだその英単語…!?1番盛り盛りに英単語が多かったのが7月中旬くらいで、いけるとこ全部英単語にしてしまえ!感あったとこからは7月下旬?で落ち着いた。左手の親指、人差し指、中指に爪がついたのも7月中旬くらい。あれ、意味わかんないけど、あれで蘭兵衛さんの顔掴むのめっちゃ好きです。

「ここにあるは~花咲かせるものと地を這うもの」「縁ある衆生、我が同志です」

ここの台詞の抑揚もかなり変わったかな。あんなにわざとらしくなかったはず…なんだけど、何せあの外国人かぶれな抑揚のつけかたが印象的すぎて全部持ってかれてる。蘭兵衛さんは、仮面を外して正体の分かった天魔王に失望、というかくだらないことしやがって、って思ってそう。追加された「あーあ」にそれがこもってる。馬鹿にしてる感じもあって。たまに舌打ちしてた気もするんだけど分かんないな。それにしても終盤、捨之介にほぼ唾吹きかけながら「バァーーット!!」っていう天魔王、ある意味強かった。正直ごめんだけど、むぅーって顔拭う捨之介可愛くて良し!ってなってた。

捨之介から攻撃を受け始めて「ワァーオ!」って言う天魔王が妙に好き。そこからのマント捌きがたまらなく綺麗で、さすが森山天魔王といえばマント。捨之介の動きとぴったりあってたときのあの快感ったらない。捨之介が針を仕込むのにSEついたのは良かったな。うつけの振りをやめた捨之介は、ある意味晴ればれと開き直った顔をするんだよね。「5、4、3、2、1」の数え方好きだった。爆破されたときに後ろに飛ぶように移動する天魔王の動きは、あれ、斜面でやってるの結構凄いよな、ってわりと後半になってから気付いた。ただ蹲ってダメージ受けてるのかと思えば生駒の髪の毛もしゃもしゃして遊んでるし、手を探してるのは縋っているのかと思ったら、手繋いでぶんぶんするんかーい!って全然堪えてなくて笑ってしまった。手繋ぎはとっても可愛いかったけど、隣で美しく微笑む生駒はとっても怖い。

捨之介と蘭兵衛が鉄機兵とやり合い始めて、天魔王が左手の人差し指と中指を立てて自分の目元と2人をそれぞれ指差してロックオン!ってするの好きでした。あれをするの、この2人と贋鉄斎だけなんだよね。たぶん。昔馴染みだけ。たまにそれをやってる天魔王と蘭兵衛の目が合ってるのを見たけどあれは毎回そうだったのかな…2人同時に見えてること少なかったからな。
蘭兵衛は天魔の鎧とか、殿の最期って聞いたところから平静じゃなくなってて、「殿の衣鉢を継ぐなどという思い上がり、俺が正す」あたりは正気だけど、殿、には囚われてるよね。ぐらつくポイント分かって攻めてるんだよなぁ、天魔王。あそこの折られる刀、最初のころは結構先に取れちゃったりしてたけど中盤からはほぼなかったんじゃないかな。刀を持ち直すのに、指を反らせて大きく手を開く蘭兵衛の仕草が好き。
「我が殿、信長公の恨み忘れたか!」「本能寺という地獄でな」
天魔王は確実に蘭兵衛を堕としに行く。殿の死に直面させられて揺れる蘭兵衛の脆さがよく見えた。口元を切られて苦痛に歪む顔。後ろから抱きしめられ、マントで覆われての「…森、蘭丸!」愕然とする蘭兵衛は一瞬だけど赤い鎧を纏った天魔王サイドに堕ちている。だからこそのあの赤照明なのかな。「しっかりしろ、無界屋蘭兵衛!」捨之介の声は、そう考えるとよく届いた。あそこの蘭兵衛の背中を押してく捨之介好き。結構蘭兵衛の肩とか背中とか触るんだよね。やっぱりお兄ちゃんなのかなぁ。


二郎衛門に撃たれて飛び跳ねる天魔王の身軽さはさすが。全体的にとっても軽やか。ここの二郎衛門を庇いながら、前をクロスする捨之介と蘭兵衛の動きも大好き!蘭兵衛が二郎衛門の肩に手をかけるのは、角度によってそう見えたり、見えなかったり。

天魔王がハケる前「共に天と生きるか、それとも死ぬか」の台詞が最後のころ外国人かぶれの抑揚プラス歌うの?みたいになってて意味不明度がとんでもなかった。天魔王様が喋るたびに笑いが起きる…すごい…。

去る天魔王を追いかける蘭兵衛を「蘭兵衛さん!」と止める捨之介。なんでここ、さん付けなのかなぁ。二郎衛門は蘭兵衛と天魔王のことはもともと知っていて、2人もすぐに二郎衛門の正体に気付くけど、捨之介はどうなんだろうね?捨之介→二郎衛門は無界の時点で気付いてそうだけど、二郎衛門のうつけは振りだったか、って台詞からはどっちとも取れるんだよなぁ。でも信長公の忍び、という存在は知っていても、さすがに正体までは知らないか。蘭兵衛が二郎衛門に対して丁寧だけど、結構威圧的に話すところは信長の小姓であったものの流れなのかな。絶対にへりくだったりしない。

  • 関東荒野→無界の里

逃げて来た沙霧が見つけるキツツキ…からコケェー!っと顔出す黄色い嘴付き渡京。最初上唇だけで、7月中旬くらいに下唇にも装着され始めたんだっけな。この嘴の動きプラス頭の動かし方が面白すぎて天才。細かい。うまい。「カッパ!?やけに嘴が黄色いが…」って助けに来たのに腰が引けてる荒武者隊。取った嘴は放り投げるんだけど、最初のころうまくいってなくて沙霧が拾ってぽーん!ってしたりもしてたな。沙霧はあんなに刀を突きつけられたり、囚われたり、絵図面も取られちゃうのにどっか渡京のこと嫌いになれない感じがあるよね。嫌悪感がないというか。
太夫たちが鉄砲撃ちながら入ってくるところ、スクリーンに動物が逃げる様子が映し出されてたんだけど、関東荒野、イノシシとか、いたのかな…。

角丸の言う「天魔王様のご機嫌を損ねたら、焼き豚にされかねんのだ…!」ってあんまり笑う人いなかったけど、個人的には好きだった。だって、天魔王様がそうやって角丸を脅してる図を想像したら面白すぎる。これまでにどんなシチュエーションがあったのかな。天魔王はどう攻めるんだろ?早口まくしたて?外国人かぶれ?バカにしたように笑いながら?それなら面白いけど、実は冷酷無比な超冷たい…とかがあったりする?天魔王と四天王の関係性も考えると深いよなぁ。生駒が別格なのは分かる。

真っ先に駆け込んでくる捨之介、「どうした!」って声を出す蘭兵衛。ここの「どうした!」も語尾が柔らかいときと強いときがあって、柔らかめがとっても好きでした。鉄砲撃ってるのは太夫たちだって分かってるだろうにね。結構心配性。「死にかけた俺も助けてくれた」って太夫の肩ぽんって微笑むのが好き。蘭兵衛はここから下手に立って、「やっぱりお前、持ってたのか?」って絵図面の話をしたあとからは懐手にして背中で話を聞いてる感じ。持ってたのか?っていうわりに沙霧のこと責めてないんだよなぁ。ほぼ最下手で見たとき、話の内容によって目の表情が変わるのがよくわかった。怖い目、哀しい目。天魔王の話をしてるときが哀しい目だった気がするんだけどそう思いたいってのも強いから分かんないな。でも、怖くても、哀しくても、ここだけは殿を通してだけじゃなく、小姓として一緒に殿に仕えた人の男として天魔王をみてる瞬間かな、と思う。だから、その行いを正そうと、思う。自分の手にかけても。そうすると髑髏城に向かうのも納得出来るかなぁ。無界屋のみんなの命を助けたいのはもちろんあるだろうけど、絵図面取り返した髑髏党がわざわざあのあと無界屋の人たちに手を出すとはあんまり思えないんだよね。そんなことしてる場合じゃなくない?で、それが読めない蘭兵衛なわけないと思う。だからやっぱり、殿の衣鉢を継ぐなどという思い上がり、俺が正す、なのかな。そういう意味では殿の遺志には囚われてるし、そこで引きずり出したかった天魔王の思惑通り。欲しいのは蘭兵衛だけ。そこを釣り上げるためだけの、あの登場シーン。人心を掌握する人の男。

絵図面を、持ってたのか?と言われて奥に駆け込む沙霧についてく捨之介。なぜ絵図面を持っていた?赤針斎どのもやられたのか?って言われて泣きながら駆け出す沙霧にもついてく捨之介。兵庫が問いただそうとするのに、「兄貴、それは…」って止める優しさ。これ、一時期兄貴…で固定だったのに、後半指差さないで!とか色々バリエーション豊富に。兵庫の横に立つとちっちゃさが際立つよね、捨之介。
このあたりの、沙霧を慰めようとするけど直接声はかけない、手も出さない、だけどじっとそばにいるっていう捨之介の行動が物凄く好き。沙霧はきっとあからさまな慰めなんて求めてなくて、放っておいて欲しくて、だけど本当は独りなことを思い出してしまって悲しいから、あの距離感は絶妙だったんじゃないかな、と思う。そこにいてくれるって嬉しい。涙をふいて、髑髏党2万人、ぶん殴ってやる!ってやり始める兵庫と荒武者隊を見て笑い始めるの可愛過ぎかー!ってなるからね。捨之介と沙霧が顔見合わせて笑ってるのプライスレス。
ちなみに「兵庫さん」って呆れたように声をかけて、「無茶ですよ」って馬鹿にするというか、ふざけないでくれってしながら、人差し指で髪の毛ぽりぽりする蘭兵衛さんの一連の動きも好きです。この前の「髑髏党2万人相手にどう戦う?」あたりで無界屋の主人に戻るよね。

「おっとう!」で少吉登場。蘭兵衛さん、たまに一緒に「おっとう?」って言ってたけど、基本は覗き込む感じ。ここからの下手無界屋メンバーのわちゃわちゃが大好きでした。7月中旬くらいかな、一時期女の子たちと全然喋らなくて、でも話しかけられると、ん?ってちょっと怖いけど聞いてくれるっていう蘭兵衛さんもいたんだけど、それ以外は女の子たちの話を聞くのに屈み込んで耳を近付ける(懐手のままのときもたまらんし、ちょっと首動くのも好き)、太夫の肩に手をかける、何?触られたの誰?と挙手させる、撃っていいっすか!(ここの女の子たち、なんであんな口悪そうに見えたかな)にやっちまえ、やっちまえって指差して振ってたりとやたら仲良し。可愛い。太夫も首掻っ切る動作入れることがあったり、その前の兵庫に目潰ししようとしてたりこのコンビ結構物騒…。いや、生きて来てる過程からそりゃそうなんだけど、平然と楽しそうにそれを入るのが…いや、大好きですけど。見たなかでは1回だけ蘭兵衛が太夫に銃借りて持ったことがあって触られる女の子たち助ける気出て来ましたか、主人!って思ったんだけど、結果少吉が迫ってくると下がるってのが定番だったね。太夫はあんなに守ろうとするのに…!なんでだよ。

8月中旬くらいからここの少吉がめっちゃ遊び始めたのが面白かったー。「おっとうの味!」ってチュッチュするの最高だった。やり始めてネタが固まってなかったころはみんな素で笑ってて兵庫もわたわたするから余計面白くてね。あとこのあたりから少吉臭い設定が始まって、袂ぱたぱたしすぎな蘭兵衛な!女の子たちですら、口元覆うくらいだったのに、それに加えて大きく扇ぐ、ぱたぱたする、自分のほうにも扇ぐ…って、あなたそれは臭いの?暑いの?少吉が蘭兵衛のお尻触るのも見たかったなぁ…蹴り入れる蘭兵衛さん…。「おばけー!」は見たんだけど、どこをどう切り取っておばけだったんだろう。儚いが代名詞の蘭兵衛だけど、ここの蘭兵衛さん1番生きてるのに。足あるよ?

「くんろ!」は1番最初のころはそんなに日替わりネタ感なかったと思ったのにいつの頃からか今日のくんろは…と定番レポ項目になってて楽しかった。捨之介のツッコミが鋭いときが好きだったな。あと便乗する二郎衛門さん。ここがくるといよいよ逃げるしかなくなる兵庫の可哀想なこと。うるせー!
ろくろで湯呑み作ってます、胃袋!今度みんなで飯行きましょう、黒酢にハマってます、魚焼いたら黒焦げで…、黒砂糖でかりんとう煮てます、黒ヤギを放牧してます、黒縁眼鏡の怪しい人が…、袋詰めのバイトがあって…、髑髏党袋叩き!、黒バラの花言葉は永遠の愛、クロール泳げるようになりました!、四つ葉のクローバーで押し花作りました、南蛮もののクロスに変えましょう、…意外とメモ残してあったな。
蘭兵衛さんはたまにめっちゃツボに入って肩震わせて笑ってました。可愛い。

二郎衛門に呼ばれる前のおるつが髪の毛直してたりするの初々しくて良かった。おるつ、素顔ちょー美人さんだよね。おんぶされちゃう二郎衛門さんのフォルムの可愛さよ。「絶景!絶景!…あ、どうも」
「…ったく、あの狸親父、何考えてる!?」の蘭兵衛さんはここだけなんでやけに軽くてガラ悪いかね?と思ってた。無界屋を褒められて「…だといいが」って微笑むのは、とっても無界屋の主人。この人、ここに誇り…まではいかないかもしれないけど、満足はしてるよね。とにもかくにも女たちと「生きて」きた、という自負。
「おめぇの仕事はここを守ることだ」
「死人に取りつかれた男の相手をすることじゃない」
蘭兵衛は、相手をすることじゃないことを、分かってるのかな、と思う。そもそも相手をしようなんて、対等で考えてない。俺が正す、なんて見下してる…までいかなくても、立場は自分のほうが上だと思ってるから出てくる発言かな、と。殿の衣鉢を継ぐのは自分が良かったし、そんな思い上がったことを言ってる天魔王は許せないから、無界屋のことは大丈夫だろうと思って髑髏城に向かうことを考える。蘭兵衛は、自分も死人=殿に取りつかれてるってことに無自覚。捨之介はそこに気付いてるのかな。気付いてるからこそ釘を刺す意味でこの言葉を口にするのかな。でも、もしかしたらこの言葉は逆効果なのかもしれない。蘭兵衛は、捨之介を信じられないから。

「お前を、信じろと言うのか?」
ゆっくりと含めるように言い回して、怖さを覗かせるのが好きだった。捨之介はそれでも懇願する。「今度は間に合わせる」「頼んだぞ」

太夫の「怖い目をしてるよ」って実はなんでか分からなかった。殿の話をしてたのに、なんで怖くなる必要があるんだろ?と思ってたんだけど、あれは天魔王を倒す算段を考えてるからあの目になるのか。「昔みたいに」の、昔は、殿を裏切ったものに対しての許せない想いと、殿の命令だからといって生き延びてしまった自分への許せなさで、きっと殻に閉じこもってたのを太夫たちが開けてくれたんだろうね。この蘭兵衛さんの良いところは、その開けてもらった、というところに自覚的なところ。そしてそれを本心から良かった、と思ってそうなところ。殿のこと、想ってはいたし、現在進行形だけど、それを置いておける余裕が出来た8年間だったのかな、と思う。だから今更殿の遺志を継ぐなんて言われて天魔王が出てくるのが許せない。太夫に呼びかけられて「どうした」と返事はするけど、全く太夫のこと気にしてない。その前までの蘭兵衛さんならここで振り返りそうだもん。「怖い目してるよ」で、我に帰る感じ。心配かけまいとして笑ってみせる。

「血が出てるよ」ってハンカチ…この時代だと手ぬぐいか、を唇にあてられて、自分で受け取って拭う仕草、たまりませんでした。はむっとするのが好き。そして血がついたほうを中にしてたたみ直してから袂にしまうところ!なんというお行儀の良さ。さすが元小姓。
回転しながら無界屋が見えてきて、2人の言う「救いの里」という言葉。太夫はいつも同じニュアンスだったけど、蘭兵衛さんは時々によって違って。誇りにしてそうなとき、笑みが滲み出しそうなとき、こっちが好きだったけど、取り繕ったようなとき、もうここに心はなさそうなときもあって、あれは辛かった。太夫から蘭の花を渡されて、
「大丈夫、お前を心配させるようなことはしないよ」
このあとの「本当だね?」「ああ」まで含めて、ここのニュアンスも色々で、本当に大丈夫そうなとき、言葉が強いとき、目をしっかり見て言うとき、言い含めるようなとき、「ああ」が生返事なとき。太夫の肩?腕?をぽん、として無界屋へ入っていくときの背中向けるタイミングも「ああ」のニュアンスに合わせてたかな。7月中旬か下旬?からは掃除してる男衆に会釈する仕草が追加されて、あそこまでは無界屋の主人って感じが出てた。まだ無界屋に在る。本当にいそうなときと、カケラのときがあったけどね。8月入ってからしてないときもあったけど、あれは忘れたのか、そういうプランにしたのか、分かんないな。どっちにしろ太夫は蘭兵衛が離れていってしまうのを悟ってる。わかるものよ、女にはね、って、太夫の台詞だけど、ここの太夫もまさにそれ。

  • 鍛冶場

初回観劇の衝撃を私は忘れない。このセットが開いたとき、なんだこりゃ…!?って開いた口が塞がらなくなり、途中まで口ぽかーんとしながら見たあのときを。

雷に撃たれる!?「いったぁぁぁーい!」そりゃそうだ!ちょっとしたら生き返る!?は!?意味わからん!(意味とか求めちゃいけない)のちにスーパー贋鉄斎タイムと呼ばれるようになる、捨之介と贋鉄斎…、阿部サダヲ池田成志による(もはや半分くらい本人だったろ)ネタコーナー。…違う、本当はそこそこの面白さ、笑えるシーンだよね、のはずが花の古田新太による卑怯なやり口が披露されてしまった結果、そこに成志先輩放り込んだらこうなるわ!となるべくしてなったこのシーン。もう本当毎回腹抱えて笑ったわ。初回から爆笑の渦を巻き起こすクオリティの高さだったのに日が経つにつれてウケたところは台詞に組み込み(下北じゃねぇ‼︎とか多分そう)、更にアドリブをのっけるというとんでも仕様。字幕眼鏡あるからアドリブほぼないよね…って言われてたのに、あれはある意味花が大人しかった結果だったんだな…鳥の人たち気にしませんよ。

岩場の洞窟みたいなところ、天才刀鍛冶贋鉄斎の鍛治場。自分で打った刀の切れ味を自分で試す変態刀鍛冶贋鉄斎。しかも自分切って「ふっふっふっ…」のドヤ顔かましたと思ったら雷に撃たれて倒れ込む。ちょっと待て。どっからツッコんでいいのか分からないし、むしろこれはツッコんだら負けのやつか!?そうなのか!?死んでる贋鉄斎を見つけて蘇生しよう…と見せかけて針を仕込む捨之介。この時点で贋鉄斎生き返ること前提なのが怖い。
「こういうときは、心の臓に刺激を…刺激…刺激…(!!)」
客席を爆笑の渦に突き落とす玄翁の登場である。最初のころはまず打つ真似だけしてた気がするんだけど、段々床を打ち付けるようになり、後半になるにつれて叩かれた床から破裂音がするほど滅茶苦茶強くなり(バァーン‼︎)、成志先輩…怖かったろうな…と今になって初めて同情する。見てるときなんてもっとやれ、としか思ってない。

4回くらい?あいだに大変に雷が多いというこの場所のこと、その雷に撃たれることによって雷に対して耐性をつけた自分のこと、放っておいてくれれば生き返りますからね!?と説明を挟みながら雷に撃たれ、心の臓が止まり、玄翁で打ち続けられる贋鉄斎。
「今の話聞いてなかったのか!?」「生き返りますからね!?」
この鍛治場のセット、間口が狭いから基本的にステージの前のほうに2人が立ってやり取りが続いてくんだけど、「ふっふっふっ」って贋鉄斎が下手に進むたび分かってきた客席の笑い堪えられない感じが大好きだった。ほんとハズさない。打たれまいとしてスチャッと起き上がる贋鉄斎は日を追うごとに動作が素早くなってました。
「必死だよ!」「肘は痛いし、足はぐにゃってなるし!」
負けない捨之介も打ちに行く動作が早くなり、止める動作で止まれず滑り込んだり。転びそうになって贋鉄斎に心配されてたこともあった。優しいね。
玄翁にツッコミ入れるのもここだっけ。「曲がってるよ!腐ったバナナみたいになってるよ!」後半は「クイックルワイパーみたいになってるよ!」が定番になり、クイックルワイパーポーズの捨之介が可愛かった。「そのポーズやめろ!」新調したてで「曲がって…ないな?大事に使えよ」も面白かった。曲がったことに対して「謝れー!」と言われる捨之介は適当に「サーセンッ」って言うのが定番だったのに最後の最後で「ごめんなさい♡」をやり始めて、あれは破壊力が強かった…。可愛すぎるだろ…。ちなみに見たなかで1番曲がってたときは6時10分かな…って感じでした。一体あの玄翁何回新調されたんだろう…。4回か5回?とりあえず絶対途中からは曲がりやすい仕様だったよな…?

やっと贋鉄斎が話を聞いてくれそうな流れで、即効「ことわーる!」と言われる捨之介。「まだ何も言ってないよ!」
贋鉄斎が笛…あの太いの笛だよね…をひょろろろー♪って吹くのこのへんだっけ。吹いたあとドヤ顔する→話を聞きながら笛を煙草に見立てて灰を落とすようにぽんぽんするって流れがあったんだけど、最後のほう横笛の形に持ち直して吹く真似し始めて、こんなとこまで更に笑わせにくるか…!って、堪えきれませんでした。負けた。捨之介もここ、贋鉄斎に背中向けてるんだけどちらっと目に入ったのか笑っちゃってて、本当最後の最後まで全く手を抜かずに笑わせに行く贋鉄斎。捨之介は日によって最初のとこから笑い堪えながらやってたたけどね。もれなく「お前、笑ってんじゃねーよ!」って怒られてました。いや、笑うって。
天魔の鎧を知っていて、「信長好みの一品じゃ」と言い、人の男を懐かしむ贋鉄斎は、本当に信長の近くにいたんだろうなぁ、と思う。人の男に対して「人斬りの技ならやつのほうが上だ」っていうしね。ところで小姓が剣を持たなきゃいけない場面って結構やばくないのか?稽古見てた?
「お前のようなちっちゃいやつに敵うものか!」「わかってるよ!(背伸びぴょーん)」
阿部捨之介…!阿部捨之介…!(ちっちゃい可愛さにやられる)

でんでん太鼓に着想を得た雷の力を利用した刀研ぎの仕組みの説明。
「すごい!すごいよ、贋鉄斎!」「とげーーーる!」…可愛いかよ。
逆回転させると逆流するよ、って言い終わる前に逆回転されて再度倒れる贋鉄斎。もちろん玄翁片手に走る捨之介。打ちに行くぜ!ここがスーパーアドリブタイム。打ち続けながら本当色々出てくる。
「贋鉄斎ー!死んじゃだめだー!死んじゃだめだー!」、
「僕が悪いんだ!僕が悪いんだ!」、「がんてっちゃん!がんてっちゃん!」
「がーんてっさぁーい!がーんてっさぁーい!」、「蘇れー!蘇れー!」、
「僕が死んだら良かったんだ!僕にも同じ痛みを!(自分を打ち始める)」、
「何が捨之介だー!何にも捨てられないくせにー!」、
「死んじゃだめだー!どっちが好きか聞きたかったのにー!」、
「よいしょー!よいしょー!生き返ってー!」、これも結構メモ残ってたな。
1番好きだったのが「死んじゃだめだー!…ちょっと待ってて!(上手へダッシュ)
(新しい玄翁登場☆新品だから真っすぐ☆)…打ちやすい…!」これです。
新品用意してあるとか本当に…!そしてやっぱり曲がったやつは打ちにくいんだね!
生き返った贋鉄斎、…というか、捨之介は打ち続けるけど起き上がって眺めてる贋鉄斎。ここからの返しもアドリブ祭り。
「ここちょっと暗いからってなぁ!お前が好き勝手していい場所じゃない!」

これがたぶんデフォルトで、プラスして「1人芝居すんなー!」「…芝居?」「芝居だろうが!」、「うるさい、全力中年が!全力中年が全力少年みたいな芝居すんな!」、「(蘇れー!がガンダムか!という話から)近未来かよ!」、「お前は劇団四季か!」、などなど。全力中年!は中盤結構よく使ってた。あと、打つのに玄翁が横向きだったり、心の臓じゃなくて喉だの鳩尾だの背中だのに入ったときはそのことをお説教したり。「心臓は!ここ!」打つ音のSEがズレたときはそこにもツッコミを入れる。「音ずれたー!」最後のほうはガッと横から蹴り入れるパターンも結構あった。いい感じに本気の蹴り!〆は毎回爆笑を誘った「ここは下北じゃねぇ!!」鉄板です。

うるさいうるさい、黙れ黙れな贋鉄斎は後ろに下がって行くんだけど途中で手をかけた水蒸気に「あっちぃー!あっちぃー!水蒸気!」最初のころの捨之介ってどう反応してたんだっけな…。7月下旬くらいから「お上手ですね」とやり返し始め、もちろん徐々にエスカレート。最初に言い返したの見たとき、ついに反撃したー!と思ったんだよね。にやにや。
「丁寧なお芝居、勉強になります」、「限られた空間での完璧なお芝居」、
「(全力中年!に対しての)初老の丁寧なお芝居」、
「小道具を壊さない完璧なお芝居、勉強になります」基本はアゲるニュアンス。
最初は固まってた成志先輩も、「あざーっす!」と言い始め、2人でぺこりとするようになり「じゃあ、続けまぁーす」ここまで定番になりました。

お願いを聞いてもらえなそうな捨之介は爆薬入り針を仕込んだことを告白。ここの贋鉄斎が、持ってた小道具落っことして唖然とする姿が面白かった。わざとらしいのが良い。そして捨之介の「爆破…させる…」も、はじめのころは普通に言ってたのに、このあとで真似してわざとらしく言う贋鉄斎の言い方を真似し始めるもんだから、どんどんわざとらしい言い方になっていって、終盤はもうそれ贋鉄斎の言い方だね?というカオスなことに。「ばっかじゃねぇの!」針を取り出して、奥にヒュンッって投げる仕草好きだったな。「爆破(ガッシャーン‼︎)」ハッとなって贋鉄斎「喜んでお引き受けしましょう」結構チョロいな!明後日までに打ちあがるかな?に「むーりーだーよ!」「俺に寝るなっていうのか?時間外労働だよ!」「爆破(贋鉄斎のおへそからパーン‼︎)」ここの爆破されて後ずさるような動きをする贋鉄斎が、終盤妙な動作を入れ始め、次の台詞までの間が長い長い…その動きなんですか…!もにょもにょ?うねうね?ぬーん!ってしたり、とにかくなんか変な動き!とりあえず客席も一緒になって笑いを堪える。早く台詞言ってくれ…!
「3日3晩、不眠不休で打たせていただきます…(ガクリ)」「頼んだぜ!」

百人斬れる刀が打てるかな?に対して机上の空論、斬るたびに研ぐ、突くたびに打ち直すを展開する贋鉄斎。出来ないの?と言わんばかりの捨之介、「じゃあ爆破だ!」爽やかに言い放った!捨之介の前に膝立ちになった贋鉄斎との、「ばく…」「待って‼︎」「爆破だ!」「待って‼︎待って‼︎捨之介ちゃん‼︎(捨之介に縋り付いてブンブン)」縋り付く勢いが良すぎて捨之介がここから笑い始めてたこともあったな。
「今ね〜、ボクの頭のなかにねぇ…よか考えがねぇ…」
最初のころはこの台詞のあとに間があって、浮かんできた!だったと思うんだけど徐々に間がやたらと長くなり、巻き舌でルルルルってしてみたり、ディリンク!って…これメモにあったけど我ながら何か分からん。擬音で色々言ってた時期あり、ジブリシリーズあり、お盆時期には声色使い分けて「おぼーん」って言ってみたり、動物シリーズに突入して鳴き声だけだったのが仕草がつき始め、とにかくカオス具合が加速。途中から贋鉄斎が何してるのか捨之介が当てるタイムみたいになってて、ここそんなシーンだったか!?となる。阿部さん、「待って、元ネタが分からない…!」とか「それは、なんですか?」とか素で聞いてる時あったもんな…だいたい客席も同意見だったよ。1番面白かったのはアライグマの真似した日かなぁ。「ラスカルたい!」そう、ここの成志先輩、最後のほうめっちゃ博多弁だった。とよ?とか、うっかり可愛いけど、可愛いけど、可愛くない!負けない!負け…ない…!(負けた)

斬鎧剣の説明する捨之介、ここまでこんだけ笑わせて、あんなに笑ってるのにここの台詞、ほんとかっこよく決めるよな…!って思ってたんだけど、アライグマの日、飛んだんだよね。ここまで含めて面白かったの。本当は斬鎧剣の説明しなきゃいけないのに、
次の俺たちの縁を〜を先に言っちゃって、スクリーンには斬鎧剣、って出てるから飛んだことバレバレで、「ラスカルとか言うから!色々考えちゃったから!」って可愛すぎかよ。
「ざぁんぐぁいけぇーん?」ってぺろぺろメモメモな贋鉄斎は膝立ちのまま捨之介のそばへにじり寄る。ぺろぺろに加えて首の動きが無駄に機敏でおかしかった。捨之介がここに持ってきてくれ、って渡す地図はもちろん贋鉄斎の餌食。顔に貼り付けてふざけまくり。キョンシーやったときが面白かったな。
「アンタそれやりたかっただけだろ‼︎」「先輩、ずりーよ‼︎」
本当に最初のころは「ここ、笑わせないで‼︎」とか、「ちゃんと聞いて‼︎」「それ、地図だから‼︎」ってお願いしてた捨之介だったけど結果、贋鉄斎は何言っても動じないし、笑っちゃうもんだからビシッとしめるの諦めて言い逃げパターンが定着。「頼んだよ‼︎」「信じてるからな‼︎」だいたい半笑いでした。

捨之介が鍛冶場を出て行って、やるしかないか…の贋鉄斎。刀片手にお馴染み「ふっふっふ…」客席(それ、だめなやつ…‼︎) 雷ガッシャーン‼︎贋鉄斎ばったーん。…ですよねー、ですよねー…!捨之介「大丈夫かー‼︎(玄翁片手に振り上げながら)」最後の最後まで爆笑さらっていった。

スクリーンが閉じて、しっとりとした音楽が流れ始めるんだけど、客席は完全に笑いの余韻でざわざわ。複数回観てる人にとっては、やっべぇ黄泉の笛くる…!で(心が)ざわざわ。スッと下手から歩いて登場する花魁姿の太夫。このときの髪と簪が大好き。正面で止まって、一礼する優雅さで一気に会場を静める。美しい。
♪~幸せは 束の間だけど〜♪って少し低音な歌い始め。
会場はぐるりと回って無界屋へ。太夫は一緒に回りながら、下手の階段のところでぴょんっと舞台に移動。ここ、真正面だったことがあって、こんなに美人、こんなに近くで見られることない…!と思って一心不乱に見つめ続けてしまった。美しい(2回目)。
♪~胡蝶の蘭が 群れ咲く頃には 〜♪ は、蘭兵衛さん…!となるし、♪~信じているよ 貴方 だけど今日は 胸が騒ぐ〜♪ は、太夫…!って泣きたくなる。この曲の太夫は本当に切ない。でも、それを見上げてお酒を飲んでる兵庫も切ないんだよね。無界屋ではガールズと荒武者隊がわいわいしてて楽しそう。二郎衛門とおるつたちはおるつが俵担いで力自慢してて、試しに持ってみてひっくり返る二郎衛門さんがただの可愛いでした。

スクリーンが閉じて、白の曼珠沙華の映像。笛の音が鳴り始める。開いた間口から見える、白に赤の曼珠沙華を纏った蘭兵衛の背中姿。なんて立ち姿が綺麗なんだろうな、と思う。
「ここから先は髑髏城。怪しいものを通しはしない」「どけ。死にたくなければな」
太夫の歌が流れながらの殺陣、大っ好きだった。太夫の気持ちが届いて欲しかった。
「やめろやめろ!この笛は黄泉の笛。あの世とこの世の境で鳴く縁切り笛だ」
「あんまりこいつを鳴かせるな」
この、やめろやめろ!で階段登って振り返るのもたまらなかった。ちょっとがなる声も好き。あんまりこいつを鳴かせるな、は低いトーンで、落差が良かったんだよね。ここで笛が二つに分かれて、後ろの月に髑髏が映る。1回映ってないの見たんだけど、映ってない時期もあったの…か?月が禍々しく揺らめくような映像だけだったときもあって、でも気付いたら髑髏も映って、禍々しく揺らめくも追加されてて、んー?とは思ったんだけど、それより何より蘭兵衛さん見るのに必死だからどこでどうなってたか分かんないや。

黄泉の笛を横向きに持ちながらスライドさせるように持ち直す仕草も、二刀流になって、笛をくるくる回しながらの殺陣も好き。あのくるくる回しながらの殺陣、本当なんで落とさないのか不思議でならなかった…。たぶん公演中1回も落としてないんじゃないかな。蘭兵衛さん、一幕の殺陣は飛んだり跳ねたりはもちろんだけど、結構蹴りが入るのが好きだったんだよね。そのお着物なのに結構な蹴りをかます。あっさり髑髏党をねじ伏せてしまう強さ。
「こんな程度のやつらに守られて満足しているのか、あいつは」
捨之介も最初の殺陣のところで似たようなことを言う。「あっけねぇ」この2人、強いからこそ、どちらも1人でどうにかしようとする。でも、贋鉄斎をして「人斬りの腕ならやつのほうが上」と言われる天魔王は、さらに人心を掴むという武器までもっていて、実は3人のなかで1番強いのかな。だけど、1番独りなのは天魔王。強かったからこそ、独りになってしまった。周りに誰もいなかった、寄せ付けなかった孤独。哀しい。

「お待ちください!」と駆け込んでくる生駒。このときの衣装大好き!
「先日は」と軽く一礼する少しの動きのなんと綺麗なこと。「天魔王様が髑髏城でお待ちです」と誘い込むような台詞。蘭兵衛は「ほお?」ってまだ自分が上のような言い回しをするけど、ここの来た時点で絡めとられてるんだよな。来なくたって、良かったはずなのに。着物を直しながら階段へ。

「さぁ、無界屋蘭兵衛最後の大商いだ」

ここ、「さぁ…」って聞こえたときと、「さぁて…」って聞こえたときあったな。太夫からもらった蘭の花を掲げつつ
「武士を捨て、意地を捨て、昔を捨て、…殿を捨て、拾った命だ」
はじめのころは、しゃがみ込んで蘭の花をそっと置いてたんだけど、7月中旬くらいからかな、ここの殿を捨て、にかけて掲げてたとこから蘭の花を落とすようになって、落ちた音に唖然として最初見たときは嘘でしょ…?ってなった。もうここで裏切ってるじゃん!って。だけど本当終盤だけ、また低い位置から落とすではなく置くようになったんだよね。置くほうが好きだったなぁ…落とすの、本当切なくなったもん。蘭兵衛の場合は、その切なさが好き…!ってなるからどうしようもないんだけど。

立ち上がって振り返りざま、袖を翻しながら「安くはないぞ、天魔王」ここの見得の切り方大好きだったー。厳しい顔してたとこから、ふっと顔が柔らかくなって、また階段を上っていく背中も。黄泉の国に、向かってしまった。

駆け込んでくる沙霧が蘭の花を見つけて拾う。この子はこれを太夫がつけていたものだと覚えてるんだね。持って、蘭兵衛のあとを追いかける。あんなに行きたくなかった、髑髏城へ。