髑髏城の七人

6月29日 マチネ ステージアラウンド東京

久しぶりに観終わったあと、どうしようもなく感想文を書きたくなった。

 

初日あけての2公演目。

正直想像以上でもなく、予想以上でもなく、期待以上でもなかった。この座組で、ショーアップバージョンなら、こんなもんだろうな、って。とにもかくにも詰め込みすぎてシーンごとの余韻もなくばたばたしすぎ!ってのが観終わった直後の感想。ちょっと拍子抜けした。期待値高すぎたなぁって。でもなんか、凄いもん観たな?って感じはあって。なんでだろ?って考えてるとじわじわ色々浮かんでくるもんだから、そのじわじわを書いて、整理しておきたいな、っていうのがこの記事。

主役3人のことです。

 

忍びの者で、おちゃらけてて、不真面目キャラなのか?と思いきや。うつけのふりをしてたのはなんでだろう?って考えたときに、天魔王を倒すには、近付くためにはこれしかなかったってセリフが答えだとすると、この人いつから天魔王のこと倒したかったんだ?って。明智が裏切ること、それは天魔王が唆してやらせているということを知っていて、蘭丸に伝えるために走ったのだとすると、殿が死んでしまう前からだから結構根が深いのよね…この人、8年間それのために生きてきたの?浮世の義理も、昔の縁も、むしろずっと抱いてる。一体全体どこらへんが捨之介?

なんとなく、今回の3人ではもちろん1番年上なんだけど、殿に仕えてたときの序列というか、立場としては小姓の2人より下だったのかなぁ。だから2人と少し距離があるし、扱いも結構雑。そう、同僚感がない。本人はきっと間に合わなかった自分への後悔と、殿を死に追いやった天魔王への復讐で生きてるって思ってるんだけど、周りから見るとその飄々としたなかに愛嬌とか人を助ける部分が垣間見えて味方したくなっちゃう捨之介像なのかなぁ…。

あー、やっぱり書き出すとちょっとまとまるな。ぐちゃぐちゃメモじゃダメだな。

 

終わった直後、なんかこの天魔王、キャラ薄くない?って思った。ワカのときのような、殿の変わりに天になる!っていうのでもなさそうだし、花のように狂ってるわけでもない。あ、あれは、全部正気で狂ってる、って解釈が好きです。余談。なんだろう、殿のことはもう好きじゃなさそうだけど、天にはなりたいの?どのタイミングで殿が必要なくなっちゃったのかな、この人。殿に一緒に死ねと言われたのに、生き残り、あまつさえ鎧を着込んで現れて。あの鎧は殿から送られたってエピソードが嘘にしか聞こえなかったんだよねぇ。ただただ自分の思い通りにいかせたいのかなぁ…ってたどり着いたときにすごい幼稚だな!と思ってしまって。そう思ったらあのマント捌きとか、ちょー小物感!大仰なぶんだけ小物!なんかもったいないな!と思うんだけど、蘭丸だけには執着がみえるんだよなぁ。捨之介なんて全然興味なさそう。蘭丸は堕としにかかるのに。あの1幕の後ろから抱きしめてからの「…森、蘭丸?」たまらんよね!!!

蘭丸に殿からの「生きよ」という遺言を伝えなかったのは、伝えたら本当に蘭丸は懸命に生きるだろうし、自分のところにはきてくれないって悟ったからなのかなぁ。というか、殿は天魔王の裏切りに気付いてたのかな。薄々あやしいと思ってて、最期あたりに気付くのかな。そうしたらなぁ、鎧のエピソードが本当でも、ちょっと良い気がする。天になれるかどうかやってみろ、っていう殿からの最後の宿題。でも天魔王にはその真意がみえてない。殿は天魔王のこと、信じてくれてるってこと。信じてる…うーん、仕方ないって苦笑して前向きに諦めている、というか。こいつに裏切られたのならしょうがない、とか。あれ、やっぱり超絶なる信頼か?なんか、すごくすごく狭いんだな、この天魔王。そこが、哀しい。

あれ?結構語れる。そうか、キャラ薄くないのか。これは、次観たら化けてるかな。

 

とにもかくにも蘭兵衛さんという人が好きです。どう考えても、どう良くみようとしても、最低最悪な男だと分かるんだけど。でもこういう人に弱いのは女の性だと思う。仕方ない。好きなんだから。なんだかでも、この蘭兵衛さんは、とっても地に足ついてるな?という印象。ワカは死にそうだし、花は死にたそうだったけど、この人、とっても無界屋蘭兵衛だな?ここでとっても生きてるな?登場シーン、いきなりその名台詞でギャグかましにいくなんて一体誰が予想した!?と。あんな使い方もありなのか…すげぇ…。でも、森蘭丸としての記憶は、思い出にするにはまだ時間が足りなかったのかなぁ。天魔王に名前を言われたとき、即効で堕ちそうだったもんね。マジか!?と思ったら、スっと戻ってきたから、いいな、と思ったけど。開けられちゃった蓋からは、殿への想いが溢れてきたのかなぁ。ものすごい殿のこと好きだけど、自分が愛されてたことには無自覚で、なんならものすごい片思いだと思ってるんじゃないかな、と思ったんだよね。だから天魔王の歌う口説きの言葉で、殿に1番愛されたって言われると縋ってしまう。あの表情たまらんかった。そんなことないって思ってたから嬉しいんだろうなって。そんな大好きな殿が託した天魔王の鎧なら、一緒にいたいと思ったのかなぁ。夢見酒、口づけられたあと、自分から天魔王に手を伸ばすもんね。あの、ガッといく感じもとても好きでした。あぁ、選んでしまった。無界屋襲撃のところ、太夫に蘭兵衛と呼ばれて疼くなって言うのとか本当に最低なんだけど、本当に好き!!!銃撃から天魔王を庇おうとしてさっと動くところとかねぇ…ずるいよねぇ。相変わらずひとつひとつの所作、動き、殺陣が本当に綺麗で、2幕の赤い衣装になってからは倍増で目が離せなくてどうしようかと思いました。足りない、目が全然足りない。全部スローモーションで観たい。

 

なんか、すっきり。よし、これでいつ2回目観に行っても大丈夫。